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特集:薬局の災害対策
実践編2 設備・備品
日経DI2013年3月号

2013/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年3月号 No.185

 たとえ電気や水道などのライフラインが止まっても、患者は薬を求めてやって来る。災害時にも調剤ができるように、用意しておきたい設備や備品を紹介しよう。

 災害時は、スタッフやその家族、患者の安全を第一に考える必要があるが、それらが確保できたときには、「患者に薬を渡すという薬局の使命を遂行するよう、最大限の努力をすることが大切」と金井氏は強く訴える。

 大規模な災害時は、電気や水道などのライフラインが寸断されると考えておいた方がよい。停電でレセコンや分包機などが使えなくなると、業務が困難になるため、「最も準備しておきたい設備は発電機」(金井氏)だ。

 薬局の消費電力を計算すると、だいたい5000~6000Wが必要となる。それだけの電力を賄える発電機を用意しておきたい。「40万~50万円程度で購入できるので、医療提供施設として備えておくべきだろう」と金井氏は説明する。

 同社では全薬局に発電機を配備。屋外に発電機を置き、室内の壁に専用コンセントを設けている。専用コンセントの近くには、パソコン、分包機、照明などの機器につなぐ延長コードを用意し、いざというときに慌てずに使えるようにしている(写真[1][2][3])。

●電源を確保する

薬局の外に設置された発電機[1]。屋内にコンセントを設置しておくと、いざというときに使いやすい[2]。コンセントごとにどの機器に接続するかを決めておき、接続のための延長コードも用意しておく[3](写真はいずれも、うおぬま調剤グループのなのはな調剤薬局)

電気がなくても調剤可能に

 発電機の設置が難しい場合にはせめて、停電時でも調剤ができるように準備しておこう。東日本大震災の際は、「電子てんびんが使えず、粉薬を秤量できずに困った」という声が多く聞かれた。メディカルコスモでは、東日本大震災後、全店舗に電気を使わない上皿てんびんを配備した(写真[4])。

●電気なしでも調剤できるようにしておく

電気を使わないてんびんは、ぜひ用意しておきたい[4]。分包機が使えない場合を想定してチャック付きポリ袋[5]、薬袋を手書きすることを考えて専用の薬袋[6]も用意しておこう。([4]はメディカルコスモ、[5][6]はエルム&パーム)

 分包機が使えない場合を想定して、薬包紙の折り方をマスターしておくことも大切だ。エルム&パームでは、新入社員研修で行っていた薬包紙の折り方の実習が役立った。錠剤の一包化は、チャック付きポリ袋があれば、薬包紙を使わずに“分包”ができる(写真[5])。薬袋は、普段使用している印字用の薬袋ではなく、〇をつけるだけで用法・用量などが示せる、手書き用薬袋も用意しておくといい(写真[6])。

備蓄医薬品はOD錠の採用も

 医薬品の備蓄については、江戸川区薬剤師会会営臨海薬局(東京都江戸川区)のケースが参考になる。東京臨海病院(400床)の門前に位置する同薬局では、今後4年間で計3000万円を投じて、医薬品を備蓄する方針を決定した。備蓄品目は、東京都などが示している備蓄医薬品リストのほか、「東京臨海病院の処方を考慮しつつ、医薬品卸から区内で使用されている薬の情報を入手して決める。水なしで飲める口腔崩壊錠(OD錠)を採用するなど、災害時を想定して選択していきたい」と同薬局薬局長の小野幸夫氏。使用期限を鑑みて流通在庫として使用し、できる限り損失を防ぐつもりだという。

 同薬局のある地域は、荒川、江戸川、東京湾に接しており、首都直下型地震など大災害発生時には「橋が通行できなくなり、孤立する可能性が高い。災害発生初期は外からの援助なしに医薬品を提供できるようにしておく必要がある」(同薬剤師会会長の篠原昭典氏)という事情がある。地域の状況に応じて、医薬品の備蓄を考える必要がある。

備品の置き場所にも留意

 懐中電灯やラジオ、乾電池、消火器などの防災用品や水、食料など、一般家庭でも必要な災害用の備蓄は当然、薬局にも備えておきたい。

 意外と役に立つのが容器類だ。断水時、生活用水を川からくんできたり、給水車から水を運ぶときなどに使うポリタンクを用意しておこう(写真[7])。

●様々な容器を用意しておく

水を運ぶのに使うポリタンク[7]やガソリンの携行缶[8]は備えておくと便利。ポリタンクは折り畳み式が場所を取らなくていい。([7]はエルム&パーム、[8]はメディカルコスモ)

 東日本大震災後は、ガソリン不足が深刻化し、スタンドに長時間並ばなければガソリンを買えない状況となった。携行缶があれば、誰かがスタンドに並んでガソリンを運ぶことも可能だ。

 これらの災害用の設備や備品は、常に使える状態にしておくことが大切だ。特に、発電機など普段使わない機器は、全員が動かせるように、最低でも1度は使ってみる必要がある。メンテナンスも重要だ。

 備品は、必ず全員が置き場所を把握しておく。うおぬま調剤グループでは、店舗間で異動したスタッフには、まず災害用備品の保管場所を確認させるという。「実際に災害が起こったときをシミュレーションしながら、備品の置き場所を考えるようにしておくことも大切」と金井氏。 下記のリストで備品の点検と置き場所の確認をしたい。

『薬剤師のための災害対策マニュアル』を参考に、編集部で作成。

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