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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)フォルテオが2年しか使えない理由
日経DI2013年3月号

2013/03/10
山口 望未

日経ドラッグインフォメーション 2013年3月号 No.185

出題と解答 : 笠原 英城
(千葉県済生会習志野病院[千葉県習志野市]薬剤部)

A1

(2)骨芽細胞機能の活性化による骨新生の誘発。

A2

(2)骨腫瘍の発生頻度が増加するため。

 日本の骨粗鬆症患者数は約1100万人と推定されるが、実際に治療を受けているのはその20%程度(約200万~300万人)とされている。現在、骨粗鬆症治療薬の中心は内服薬のビスホスホネート製剤であり、週1回および月1回投与製剤などが使用されている。

 2010年10月に発売されたテリパラチド(遺伝子組換え)の自己注射製剤(商品名フォルテオ)は、適応の範囲が「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」と限定されているが、その効果の高さから処方数が増加している。“自己注射”という言葉からインスリン製剤を思い浮かべる薬剤師も多いと思うが、最近では骨粗鬆症に限らず関節リウマチや糖尿病などの領域で新たな自己注射製剤が発売されているので、これらの基本的な手技と注意点を覚えておきたい。

 ビスホスホネートは、破骨細胞の活性を抑制することで骨吸収を減少させて骨量の低下を防ぐ。一方、テリパラチドは骨芽細胞を活性化させることによって骨新生を促す。同薬は副甲状腺ホルモン(PTH)の活性部位を構成する34個のアミノ酸からなるペプチドで、PTH受容体のアゴニストとして作用する薬剤(PTH製剤)である。骨折の危険性の高い閉経後骨粗鬆症女性を対象に行われた海外での臨床試験では、1日1回19カ月間の投与で、プラセボに比べて新規椎体骨折の相対リスクを65%減少させた。

 PTH製剤は、「PTHパラドックス」といわれる通り、その作用にはユニークな面がある。PTH製剤を間欠的に投与すると骨形成が亢進し、骨吸収された分よりも多くの骨が形成されるため、骨形成終了時には骨量が増加する。一方で、持続的に投与すると骨形成と骨吸収両方の亢進が見られ、骨吸収が形成を上回り骨量の減少が生じる。ラットを用いた実験では、フォルテオを1日1回投与した場合骨密度が増加したが、同分量を6分割して1時間ごとに6回投与した場合は骨密度が減少した。

 同薬には「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」という適応の制限以外に、「本剤の投与は24カ月間までとする」と投与期間の制限も定められている。これらの主な理由は、骨腫瘍が発生する可能性が否定できないためである。

 同薬をラットに2年間皮下投与した癌原性試験において、骨肉腫を含む骨腫瘍病変の発生が投与期間、投与量に依存して認められた。この結果、米国では臨床試験が一時中断された。しかしその後、ラットとヒトでは骨の生理が異なり、骨肉腫がヒトで発生する可能性は低いとの結論に至り、投与期間に2年間の制限を設けた上で、骨折リスクが高い患者に絞った形で02年に米国で承認された経緯がある。米国での発売から10年以上経過しているにもかかわらず、投与期間の制限は外れていない。当面は「フォルテオは2年間限定の薬剤」と考えた方がよいだろう。

 なお、フォルテオの類似薬にはテリボン(一般名テリパラチド酢酸塩)があり、成分はフォルテオと同じく34個のアミノ酸からなるペプチドである。生理食塩液に溶解して週1回皮下注射することで、骨折を有意に抑制する。こちらは投与期間が72週間までと決められている。

 フォルテオを旅行などで持ち歩くときは、専用のバッグとポーチ、保冷剤を使う。保冷剤とキットを直接触れたまま保存すると、薬剤が凍ってキットが破損し、正確に打てなくなることもあるので注意を要する。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 入院されて大変でしたね。これまでお飲みになっていたフォサマックは、骨がもろくなるのを防ぐ薬でしたが、今回の注射薬は骨を作る機能を高めて丈夫にする薬です。毎日ご自分で注射するのは慣れるまでご不便だと思いますが、注射する場所を毎日変えて説明書通りに注射してください。また、旅行などで持ち歩かれるときは、専用のバッグとポーチ、保冷剤を使う必要がありますから、その使い方をよく見てくださいね。

 この注射薬が2年間しか使えない理由は、それ以上長い期間使うと、骨に良くない作用が出てきてしまう可能性があるからです。とはいえ、2年間きちんと打てば骨折しにくくなる効果が非常に高いですから、きちんと打っていきましょう。

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