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特集:薬局の災害対策
調査編 薬局の災害対策に関する意識調査から
日経DI2013年3月号

2013/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年3月号 No.185

 本誌の調査では、災害対策マニュアルを整備している薬局は3割弱。甚大な被害が想定される地域であっても、その対策は不十分だ。具体的な対策を取っている薬局も決して多くはない。

 「あなたの薬局には、災害が起こったときの対策マニュアルがありますか」─。本誌が2013年1月に実施した調査の結果、災害対策マニュアルが「ある」と答えた人は27.8%に過ぎず、「ない」と「分からない」を合わせると71.4%に上った(Q1)。また、日本薬剤師会が配布している『薬剤師のための災害対策マニュアル』を知らないという人が、46.6%と約半数を占めた(Q2)。

 もちろん、マニュアルを作ったり読んだりすることが災害対策の全てではないが、災害対策への薬局の意識の低さがうかがえる。

 災害対策マニュアルの有無を、東日本大震災の主な被災県、首都直下型地震および南海トラフ巨大地震で特に甚大な被害が想定されている都県を抽出して比較した。すると、東日本大震災(岩手・宮城・福島、n=22)では50.0%が「ある」と答えたが、首都直下型地震(東京・千葉・神奈川を抽出、n=138)では26.1%、南海トラフ巨大地震(静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知・宮崎を抽出、n=80)では20.1%にとどまった。「大地震が想定されている地域でも、十分な対策が取られているとはいえない結果。さらなる啓発活動が必要だ」と、東北大学大学院薬学研究科教授で『薬剤師のための災害対策マニュアル』を取りまとめた富岡佳久氏は指摘する。

東北大学の富岡佳久氏は、「各組織、地域の実情に合った実践的な対策を考えてほしい」と話す。

 日本薬剤師会副会長の小田利郎氏も「災害対策については、47都道府県薬剤師会の間でかなり温度差がある」と認める。今後、日本薬剤師会として、全国の意見を集約して、すり合わせをしながら災害対策に対する意識を高めていくという。

「首都直下型地震を想定し、日薬の本部機能の在り方も検討する」と話す日本薬剤師会の小田利郎氏。

日薬版の事業継続計画を

 その活動の一つとして日本薬剤師会は、来る3月18日に全国災害対策担当者会議を開催する。47都道府県の地域防災計画の策定に関わる担当役員を集め、災害時における活動のほか、日薬版事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の体制づくりなどについて説明する。

 薬局が被災しても事業を継続するためには、何をしておくべきなのか。調査で、現在、薬局でどのような災害対策を講じているかを聞いたところ、最も多いのが「患者情報データなどのバックアップ」の40.9%で、多くは10%程度にとどまっていた(Q3)。

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 今後は、薬局の規模や地域特性に応じて、事業を継続するという観点から災害対策を進めることが求められる。そこで、次からの実践編では、連絡網・マニュアル、設備・備品、地域連携、日ごろの服薬指導の4つの視点から、薬局が取り組むべき災害対策について具体的にまとめてみた。

『薬剤師のための災害対策マニュアル』

 平成23年度厚生労働科学研究「薬局及び薬剤師に関する災害対策マニュアルの策定に関する研究」研究班(研究代表者:東北大学大学院薬学研究科教授の富岡佳久氏)の報告書として12年3月に公表された。日本薬剤師会のウェブサイトで入手できる。「東日本大震災における日本薬剤師会の活動報告書」とともに『薬剤師のための災害対策マニュアル』として書籍化されている(薬事日報社、税込み2730円)。

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