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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)HbA1cの表記の説明を求める患者
日経DI2013年3月号

2013/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年3月号 No.185

出題と解答 : 後藤 洋仁
(横浜市立大学附属病院薬剤部)

A1

(2)日常診療において、NGSP値単独表記となる。
(4)特定健診において、NGSP値単独表記となる。

A2

(3)6.5

 HbA1cは、直前の食事の影響を受けず、日内変動のばらつきが少ないため、過去1~2カ月間の血糖値の平均を反映する長期血糖コントロールの指標として広く用いられている。

 HbA1cは、血中総ヘモグロビンに占める糖化ヘモグロビンの割合を示したもので、その表記には、長年日本で使われてきたJapan Diabetes Society(JDS)値と、国際標準値として米国などが用いているNational Glycohemoglobin Standardization Program(NGSP)値がある。

 いずれも測定の原理・定義は全く同じであるが、JDS値は1990年代前半、NGSP値は80年代前半の技術で測定された値を基準に、測定技術の精度向上に合わせてそれぞれ補正を重ねてきた。その結果、同じ検体を測定しても、JDS値はNGSP値より約0.4ポイント低くなる状況が問題視されるようになった。

 HbA1cは80年代ごろから、血糖管理の状態を反映する指標として使われ始めたが、2009年3月に米国糖尿病学会(ADA)など3団体の国際専門家委員会が、糖尿病の診断基準を「HbA1c(NGSP値)6.5%以上」とする勧告を発表。日本においても10年7月の糖尿病診断基準改訂の際、診断基準の一つにHbA1cが取り入れられた。それまでの「指標」から「診断基準」へと重要性が増し、国際的な標準化が避けられなくなったというわけである。NGSP値の採用により、国際間のデータ比較時に数値の補正の必要がなくなり、糖尿病管理指針や診断基準の統一化を図ることも可能となる。

 JDS値とNGSP値の関係式は「NGSP値(%)=1.019×JDS値(%)+0.30」ではあるが、これを計算しやすくするため、日本糖尿病学会はNGSP値を「JDS値+0.4」とした。

 JDS値からNGSP値への移行は、段階を踏んで進められている。まずは10年7月から学術論文や国際学会の発表に適用された。日常臨床においては、12年4月1日以降、JDS値とNGSP値が併記されるようになっているが、13年4月1日以降は、基本的にはNGSP値単独表記となる。

 なお、特定健診については、13年4月1日から保険者・受診者への結果報告のいずれもNGSP値のみとなる。検査機関(登録衛生検査所)が特定健診のフォーマットに結果を記載(印字)して医療機関に返却する場合も、NGSP値のみで行われる。ただし1年間は移行期間とされているため、併記が残ることも考えられる。

 これらの移行期間を経て、最終的に、14年4月1日をもって日本で使用されるHbA1cの表記は全てNGSP値となる。

 今回、Gさんの主治医が、「4月から検査結果のHbA1c値の書き方が変わる」と言ったのは、これまでJDS値とNGSP値を併記していたが、4月以降はNGSP値単独表記になることを指している。

 患者が、表記変更を理解せずに、JDS値のみを記憶していた場合、「HbA1cが0.4も高くなってしまった」と糖尿病が悪化したと受け取ってしまう可能性がある。また、診断基準や目標値もNGSP値で表記されることになり、糖尿病の診断基準が6.1%以上から6.5%以上に引き上げられたと誤解する可能性もある。そのような患者には、診断基準や目標値が緩和されたわけではなく本質的には変更はないことを伝える必要がある。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 こちらのJDSと書かれている値は、日本国内でのみ通用する表記でしたが、これを国際的な表記であるNGSP値に段階的に変更することになったのです。NGSP値はJDS値に0.4を足した値です。

 先生が「この4月から検査結果のHbA1c値の書き方が変わる」とおっしゃったのは、これまで併記されていたJDS値とNGSP値が、NGSP値のみになるということです。Gさんが今日、お持ちになられた検査結果では、「HbA1c 7.2(JDS)」と「HbA1c 7.6(NGSP)」と書かれていますが、4月以降は1つの数字のみになり、それはNGSP値ですのでご注意ください。主治医の先生がおっしゃられている目標値までHbA1cが下がるように、きちんとお薬を飲んでくださいね。

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