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OTCセレクトガイド
頭痛
日経DI2013年3月号

2013/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年3月号 No.185

講師 三上 彰貴子
Mikami Akiko
株式会社A.M.C 代表取締役社長
製薬会社勤務後、経営学修士(MBA)を取得。コンサルティング会社勤務を経て2005年より現職。医療分野のコンサルティングなどを行う傍ら、OTC薬に関する寄稿や講師としての活動も行う。薬剤師。

 頭痛薬は、一般用医薬品(OTC薬)の中でも購入する患者が多く、製品数も多い。その中から、患者に合った製品を薦めるには、まず、患者の頭痛のタイプを見極める必要がある。

 頭痛には、基礎疾患のない一次性頭痛(慢性頭痛)と、別の原因疾患による二次性頭痛がある。一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛があり、このうちOTC薬の適応となるのは、緊張型頭痛と軽度の片頭痛である。二次性頭痛はOTC薬の適応にはならない。

 緊張型頭痛は、頭頸部を包む筋肉が収縮して、後頭部から首筋にかけて締め付けられるような痛みや肩凝りを伴うことが多い。

 緊張型頭痛は、頭痛の発症が1月当たり15日未満の反復発作性と、15日以上~ほぼ毎日症状がある状態が6カ月近く続く慢性に分けられる。反復発作性で筋収縮が見られる場合に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の有効性が高いといわれている。

 一方、片頭痛は、頭痛の前にキラキラした星が見えて、視界がかすむといった特徴的な訴えが多く、吐き気や嘔吐を伴うほか、光や音に過敏になることもある。月経前に起こることが多い。

 軽度から中程度の片頭痛に対しては、アスピリンとアセトアミノフェン、カフェインの配合剤(AAC処方)が薦められる。このほか、イブプロフェンやアスピリンの単味、アセトアミノフェンの単味も推奨されている。

この成分に注目

 OTCの鎮痛薬には、単味の製品と数種類の成分が配合されている製品がある。

解熱鎮痛成分

 プロピオン酸系のイブプロフェンとロキソプロフェンナトリウム、サリチル酸系のアスピリンやエテンザミドおよびサザピリン、アニリン系のアセトアミノフェン、ピリン系のイソプロピルアンチピリンなど。

 イブプロフェンは、鎮痛・解熱作用より抗炎症作用が強く、作用発現時間が1~2時間、持続時間は3~6時間、半減期は1.8時間である。

 イソプロピルアンチピリンは、抗炎症作用より鎮痛作用が強い。中枢性で即効性がある。鎮痛・解熱薬と配合したときに、臨床効果が高いとされている。ピリンアレルギーのある患者には禁忌なので、注意する。

 ロキソプロフェンナトリウムは、解熱・鎮痛作用に加えて抗炎症作用もある。プロドラックで、胃腸障害が少ない。作用発現時間は0.45~0.79時間と早く、持続時間は1.3~2時間、半減期は1.3時間である。

 アスピリンは、中枢性の知覚神経を抑制し、末梢性では痛覚の過敏状態を抑える働きがある。作用発現時間は30分で、約6時間と持続時間が長い。半減期は2~5時間。

 エテンザミドは、単独で使われることはなく、他の成分との併用により鎮痛作用を示す。アセトアミノフェンとカフェインを配合したACE(エース)処方が、有名である。

 サザピリンは、サリチル酸に分解されて作用を発現する。持続時間が長く、胃腸障害が少ない点が特徴である。

 アセトアミノフェンは、中枢性の解熱鎮痛作用を示す。30分で発現し、3~4時間の持続効果がある。半減期は成人で2.63時間、新生児で5時間である。

催眠鎮静成分

 ブロムワレリル尿素は主に大脳皮質に作用し、意識の麻痺を起こして鎮痛作用を高め、鎮静作用も持つ。過剰摂取による臭素中毒に注意が必要だ。20~30分で作用が発現し、持続時間は3~4時間。

 アリルイソプロピルアセチル尿素も鎮静、鎮痛作用を高める。乗り物酔いの薬などにも配合されている。

 両成分とも緊張性頭痛に薦められるが、眠気を起こしやすいので、注意が必要である。ストレスが強くいらいらすると訴える患者には、こうした鎮静成分入りの製品を薦めるとよい。

中枢興奮成分

 カフェイン、無水カフェインなど。脳細動脈に直接作用し、脳血管の収縮により血流量を減少させ、鎮痛効果を示す。また、中枢興奮作用により頭痛によるだるさや集中力の低減などを改善する効果もある。

生薬成分

 カンゾウには、グリチルリチンによる抗炎症作用があり、シャクヤクとショウガは鎮痛作用、ジリュウには解熱作用がある。

制酸成分

 合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイトなど。胃酸の中和や抗ペプシン作用がある。このほかプロスタグランジンが末梢で合成されるのを阻害して、NSAIDsによる胃腸障害を軽減する。ただし、両成分にはアルミニウムが含まれるため、長期の連用によるアルミニウム脳症や骨症に注意する。

製品セレクト

 頭痛の患者に、まず薦めたいのが、第1類医薬品であるナロンメディカル(大正製薬)やロキソニンS(第一三共ヘルスケア)である。

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 ナロンメディカルは、イブプロフェンの単味製剤で、1回量(2錠)中に200mgが配合されている。1日2回までだが、再度症状が表れたら3回目を服用できる。医療用医薬品のイブプロフェンの1日量が600mgなので、「医療用と同量配合」を前面に押し出している。

 直径が8mmと小粒な白い錠剤が特徴で、16錠入りと24錠入りがある。

 イブプロフェンの単味では、液状で1カプセルに200mgを配合した、リングルアイビー200(佐藤製薬)や同ブランドの錠剤(リングルアイビー錠200)もある。これらは、1回1カプセルまたは1錠服用で、1日2回(400mg)までとなっているため、指定第2類医薬品に分類されている。

 ロキソニンSは、ロキソプロフェンナトリウム水和物の単味で、作用発現時間が短く、即効性を売りにしている。プロドラッグで、胃への負担を軽減した点も特徴である。

 1回1錠、1日2回までの服用で、こちらも再度症状が表れれば3錠まで服用できる。

 イブプロフェンとロキソプロフェンは15歳未満は服用できず、他の解熱鎮痛薬やかぜ薬との併用はできない。また、服用したら飲酒をしないこと、出産予定日の12週間以内は禁忌であることも念頭に、患者に薦めてよいかを判断する。

 鎮痛作用の強いピリン系を好む患者には、セデス・ハイ(塩野義製薬)を薦めることが多い。

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 指定第2類医薬品で、鎮痛成分のイソプロピルアンチピリンとアセトアミノフェン、鎮静成分のアリルイソプロピルアセチル尿素、中枢興奮成分の無水カフェインがバランスよく配合されている。医療用医薬品のSG配合顆粒と配合成分が同じである。

こんな製品も

 胃が弱いという患者には、制酸成分の酸化マグネシウムを配合した(a)イブクイック頭痛薬(エスエス製薬)を薦めたい。

 酸化マグネシウムのほか、1回量(2錠)にイブプロフェン150mg、アリルイソプロピルアセチル尿素60mg、無水カフェイン80mgを配合している。

 1回2錠、1日3回を限度として、空腹時を避けて服用する。

 一方、漢方薬を希望する患者には、(b)奥田脳神経薬(奥田製薬)や(c)漢方ズッキノン(小林製薬)が向いている。

 奥田脳神経薬は、鎮痛・鎮静成分のあるチョウトウやサンソウニン、テンナンショウ、インヨウカク、サイシンのほか、頭痛や頭重に効果があるシンイ、疲労回復を早めるニンジン、催眠鎮静成分のブロムワレリル尿素が配合されている。カフェインは、ブロムワレリル尿素による眠気防止で配合しているともいわれるが、血管収縮作用があるため、血管が拡張して痛む片頭痛への効果を高める作用もある。いらいらしたり、ストレスを感じている患者に薦めるとよい。

 15歳以上から服用でき、1日2回、1回5錠服用と他の頭痛薬に比べて1回量が多いので、販売時にはその点を患者に伝える。

 漢方ズッキノンは、肩凝りや上半身の強い緊張で、こめかみおよび後頭部が締め付けられるような痛みを慢性的に感じている患者に薦める。

 チョウトウコウやチンピ、ハンゲ、バクモントウ、ブクリョウ、ニンジンといった11種類の生薬からなる釣藤散エキスが配合されている顆粒である。1回1包を1日2回、食前または食間に服用する。15歳以上で服用できる。

 小児で月経に伴う頭痛を訴える患者には、(d)バファリンルナJ(ライオン)がお薦めである。アセトアミノフェンの単味で、苦くないフルーツ味のチュアブル錠である。錠剤の大きさは1cmほどでPTPシートから取り出しやすい。ピンク色のパッケージで女子向けを売りにしている。7歳以上11歳未満で1回1錠、11歳以上15歳未満で1回2錠を、1日3回を限度として服用する。

 なお、同じブランドの小児用には、3歳から飲める錠剤やチュアブル錠などもある。

 頭痛の原因として多いのが、パソコンを長時間使うことによる肩凝りであり、こうした患者は眼精疲労も伴うことが多い。

 このような患者には、鎮痛成分の入った頭痛薬とともに、(e)新キューピーコーワi(興和)も薦めるとよいだろう。活性型ビタミンB1、オキソアミヂン末、L-アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、γオリザノールのほか、ビタミンB2、B6、B12、ビタミンEを配合している。

 服用すると、ビタミンB2のため尿が黄色くなることがあるので、販売時に患者に伝える。

 肩凝りの強い患者には、首の付け根に直接貼る(f)めぐりズム 蒸気でGood-Night(花王)も薦めるとよい。蒸気が出るシートで、約40℃が約30分持続する。蒸しタオルを首に当てたような気持ちよさが得られる。

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患者へのアドバイス

受診勧奨

 頭痛のうち、眼の周囲から前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が続いていたり、涙や鼻水といった症状も見られる場合には、群発頭痛が疑われる。

 群発頭痛や生活に支障のあるような重い片頭痛では、医療用医薬品のトリプタン系薬の適応となるため、医療機関の受診を勧める。

 患者の訴えの中で、突然の頭痛や今までに経験したことがない頭痛、頻度や程度が増していく頭痛、神経脱落症状のある頭痛は、クモ膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎といった脳血管疾患の可能性もあるため、速やかに受診するように勧める。

 また、ニトログリセリンやイソソルビドといった血管拡張薬やエルゴタミン製剤、H2受容体拮抗薬などを大量に連用すると、薬物乱用頭痛の原因となり得る。アスピリンやアセトアミノフェンといった鎮痛薬も薬物乱用頭痛を引き起こしやすい。

 薬物乱用頭痛は、鎮痛薬を服用し過ぎて痛みの感受性が高くなり、軽い頭痛でも強い痛みに感じ、さらに鎮痛薬を服用せざるを得ない状態を指す。OTCの鎮痛薬を1カ月に10日以上、または週に3日以上服用している患者には受診を促す。

 受診を勧める際は、頭痛があった日とその痛みの程度、OTC薬の服用時間や種類、量を記録しておき、受診時に医師に見せるよう伝えるとよいだろう。

 また、患者は痛みの原因について不安を感じていることが多い。そこで、睡眠を十分に取って疲労をためない、ストレッチをして身体をリラックスさせる、コーヒーなどのカフェイン入り飲料を飲み過ぎないといった生活上のアドバイスも併せて行うようにしたい。

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