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エパデールのスイッチOTC薬化で露呈した日薬の弱腰ぶり
日経DI2013年3月号

2013/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年3月号 No.185

 昨年10月、2度の継続審議の末、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の一般用医薬品部会で、エパデール(一般名イコサペント酸エチル)のスイッチOTC化を承認することが了承された。ご存じのように、生活習慣病治療薬としては初のスイッチ化である。それまでのロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)やアレジオン(エピナスチン塩酸塩)とは、また違った意味で注目されており、発売への期待が高まっていた。

 それをものの見事に打ち砕いたのが日本医師会だ。もともと、エパデールのスイッチOTC薬化に一貫して反対の姿勢を崩さなかった日医は、承認が了承された後も決して諦めることはなく、むしろ、了承後に反対の姿勢を強めてきたといっていい。

 最終的には12月28日に正式に承認されたが、日医は年明けすぐの定例記者会見で、エパデールを購入する際のセルフチェックシートに修正を加えたことを明らかにした。さらにその中で、「このお薬の使用は、医療機関を受診された方に限られます」と明記したことを、行政やメーカーの発表を待たずに説明した。

 つまり、OTC薬でありながら、それを医師の監督下から外に出すことを許さなかったわけだ。「基本的に,生活習慣病治療薬がOTC薬化されるのはなじまない」と、言葉こそ柔らかいが、日医のスイッチOTC薬化反対の姿勢はあくまでもかたくなだった。

 日医がここまで譲らないのは、患者のことを心の底から心配してというのは大義名分であって、恐らくは生活習慣病指導管理料への影響を心配してのことだろう。直ちに指導管理料が見直されることはないにせよ、エパデールがOTC薬としてある程度の「実績」を残せば、診療報酬に影響が出るのは必至だ。

 日医のこのような姿勢に対しては、批判の声もあるだろう。しかし、自分たちの商売の種を守ろうとするのは、職能団体の行動としては至極当然のものである。これに対して、日本薬剤師会はどうだろうか。

 OTC薬の中でも第1類医薬品の販売は、薬剤師のみに許された行為である。そのような専権事項であるにもかかわらず、ルール策定の主導権を握るどころか、全くの蚊帳の外で、存在感すらない。

 今回の日医の行動は、第1類医薬品の販売に従事する薬剤師の職能に対する侵害という見方もできる。これに対して日薬の会長は、医薬品の業界団体の集まりで「日医と話し合いたい」と語ったと報じられているが、どうしてこんな弱腰で臨むことしかできないのだろうか。

 日薬が、会員に対して経済的な支援をしてくれる組織でないことは百も承知である。そうであるならばなおのこと、ありとあらゆる大義名分を掲げてでもわれわれの職能を死守する姿勢を表明することが必要ではないだろうか。

 登録販売者の誕生を許したことで、薬剤師はOTC薬販売の独占的な立場を既に失っている。そしてさらに今回は、生活習慣病治療薬の第1類医薬品へのスイッチOTC薬化を実質的に潰されたわけである。薬剤師がOTC薬販売に関われる場所は、どんどん狭くなるばかりだ。

 日薬の会員離れが言われて久しいが、今回のようなふがいない対応が続くのであれば、この流れはさらに加速するだろう。「身内に対してはいつも厳しい」と評判の日薬だが、お偉い方たちの内弁慶ぶりには心底あきれる。

 今からでも遅くはない。日薬は、今回の件に関して声明すべきだ。「OTC薬のエパデールは、薬剤師の判断に基づいて販売していく」と。

(十日十月)

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