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患者指導ワンポイントレッスン
鼻噴霧用ステロイドの使い方
日経DI2013年2月号

2013/02/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年2月号 No.184

 今年も花粉症の季節がやってくる。花粉症とは、スギやヒノキなどの花粉が抗原となって起こるアレルギー性鼻炎である。全国的に花粉飛散量が少なかった昨年に比べ、今年は例年並み以上と予想されており、医療機関を受診する患者が増えると思われる。

 アレルギー性鼻炎の薬物療法では、経口薬と点鼻薬が用いられる。点鼻薬には、鼻噴霧用ステロイド、抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬などがある。中でも鼻噴霧用ステロイドは顕著な効果を示すことから、軽症から最重症まで広く使用されている。

 鼻噴霧用ステロイドは、液剤とドライパウダーの剤形があるが、主に鼻閉が強い場合には液剤を、くしゃみ・鼻漏過多の場合はドライパウダーを使う。薬剤によって、1日4回、1日2回、1日1回と投与回数が異なる。また、使用開始時の空打ち回数、使用時の振とうの必要性が薬剤によって異なることにも注意したい。また、防腐剤などの違いによって臭いが異なり、中には臭いを消す工夫がなされた薬剤もある。

 薬液を噴霧するデバイスも、親指で押すタイプ、手のひらで握るタイプなど薬剤によって様々である。特に高齢者やリウマチ患者などで握力が弱い場合、噴霧器によってはうまく噴霧できないことがある。薬局での投薬時に、デモ器などを使って、確実に噴霧できるかどうか確かめる必要があるだろう。

 薬局での服薬指導の際、患者から、投与回数が生活スタイルに合わない、うまく噴霧できない、臭いが不快である、などの訴えがあれば、医師に処方変更を提案してほしい。

噴霧前に鼻閉を取り除く

 鼻噴霧用ステロイドを鼻粘膜にできるだけ広範囲に散布するためには、噴霧前に鼻閉を取り除くことが大切である。鼻腔内に鼻汁が多い場合には、鼻をよくかんで通りをよくしておく。

 鼻粘膜の腫脹があれば、血管収縮薬を点鼻し、数分して鼻閉が改善してから使用する。通常、鼻噴霧用ステロイドの効果は数日のうちに表れて鼻閉も改善するため、血管収縮薬の使用は1週間以内で済み、点鼻薬性鼻炎の発症の心配はない。

 噴霧する際には、片方の鼻孔を指で塞ぎ、もう片方の鼻孔に容器のノズルを入れて噴霧する。鼻中隔(鼻腔の内部を左右に仕切る壁)に向けて噴霧し続けると、その部分から出血しやすくなるため、鼻中隔に対してノズルが平行、あるいは少し外側に向くようにする。脇が開いているとノズルの先が鼻中隔側に向きやすいので、私は脇を閉めて噴霧するように指導している。噴霧後は、薬液を鼻腔の奥まで行きわたらせるために、上を向いた状態で、鼻から息を吸って口から吐くようにさせる。合わせて、しばらくは鼻をかまないように伝えておく。

点鼻薬の重要性と安全性を指導

 鼻粘膜からの吸収は皮下注射と同等とされており、点鼻薬を確実に使用することが重要である。しかし、内服薬と点鼻薬を一緒に処方すると、内服薬に比べて点鼻薬のコンプライアンスは低いのが現状だ。加えて、ステロイドと聞くと、不安を抱く患者は少なくない。

 私は患者に対し、アレルギー性鼻炎では鼻粘膜で反応が起こっており、直接その場に到達し、反応を予防・改善する点鼻薬が重要であることを伝えている。また、鼻噴霧用ステロイドは微量で強力な効果が得られること、吸収されにくい上、吸収されてもすぐに分解されるため、長期に使用しても全身的副作用はほとんどないことを説明している。薬局での服薬指導時にも、鼻噴霧用ステロイドの重要性と安全性を繰り返し伝えてほしい。

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