DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)褥瘡の再発予防に医師が勧めた健康食品
日経DI2013年2月号

2013/02/10
坂口裕一

日経ドラッグインフォメーション 2013年2月号 No.184

出題と解答 : 松本 弘行
(岡本薬局みなみ店[千葉県市原市])

A1

皮膚の表面に皮脂膜が作られない瘢痕部のバリア機能を高め、 皮膚を保護するため。

A2

(1)血管の拡張による血流の改善、
(3)細胞増殖の促進、
(4)コラーゲンの合成促進

 褥瘡(床ずれ)は、脳梗塞の後遺症などで、自力で寝返りや姿勢の保持ができなくなった患者に発生することが多い。健常人は寝ている間も無意識に体位を変えているが、体を自由に動かすことができないと、身体と布団の接触面などで、体重による長時間の持続的な圧迫が起こる。そのため、特に骨が突出し脂肪や筋肉の薄い部位の軟部組織で血行障害が起こり、その部位が壊死して褥瘡となる。仰臥位では仙骨部や後頭部、座位では尾骨部や坐骨部など、体位によって発生しやすい部位が異なる。

 褥瘡は、発生直後から1~2週間を急性期、それ以降を慢性期とし、症状の持続期間や褥瘡の深さ、状態などにより治療方法が変わってくる。Bさんの褥瘡の症状や経過は明らかではないが、入院が必要であったことから、傷は深かったと考えられる。

 傷が深い褥瘡は、治癒しても表皮は汗腺や毛包がない瘢痕となる。瘢痕化した皮膚では、表面に皮脂膜が作られずバリア機能が落ちるため、保湿剤などでバリア機能を補う必要がある。そのため、Bさんの主治医はヘパリン類似物質のヒルドイド軟膏を、褥瘡治癒部に塗るよう指示したと考えられる。

 褥瘡の治癒促進や予防には、(1)体位変換などによる体圧分散(除圧)、(2)汗や尿、便などによる皮膚の湿潤の除去とスキンケア、(3)栄養管理─などが重要である。  このうち栄養管理については、褥瘡患者のほとんどが低栄養状態にあると考えられており、治療には栄養素の補充が重要となる。具体的には、摂取する総エネルギー量を増やすとともに、蛋白質、アルギニンやグルタミンなどのアミノ酸、亜鉛、鉄、銅などのミネラル類、ビタミンA、C、Eなどのビタミン類を補う。

 これらの栄養素のうちアルギニンには、(1)免疫能の賦活、(2)血管拡張による微小循環動態の改善、(3)細胞増殖の促進(細胞成長因子であるポリアミンへの変換による)、(4)創傷治癒の促進(コラーゲン合成能向上による)、(5)成長ホルモンの分泌促進─などの効果があり、褥瘡患者では積極的な摂取が有効とされる。実際に、褥瘡患者にアルギニン強化栄養剤を服用させると治りが早いとの報告や、発症予防を示唆する報告がある。

 アルギニンの1日必要量は体重50~60kgの成人で6~7gだが、一般的な食事からの摂取量は4g程度にとどまる。そのため、Bさんが入院していた病院では、褥瘡患者にアルギニン添加ゼリーを入院食として提供していたと考えられる。

 アルギニン入りの健康食品は、Bさんが入院中に摂取していた「アイソカル・ジェリーArg」(ネスレ ヘルスサイエンスカンパニー)のほか「明治メイバランスArg Mini」(明治)など、飲料やサプリメントとして、また様々な味付けで、幾つかのメーカーが販売している。

 薬局で今回のような相談を受けた場合の対応としては、まずは医薬品卸に当該食品の取り扱いがあるかを確認したい。医療機関で採用している健康食品の場合、医薬品卸経由で入手できることが多いためである。医薬品卸が取り扱っていない場合には、メーカーに直接発注するか、メーカーが一般向けの通信販売を行っている場合は、通信販売の利用を勧めてもいいだろう。

参考文献
1) 日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)」(2012) 2)月刊ナーシング 2007;27:73-6.

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 お父様、大変でしたね。褥瘡が治ってご自宅に戻れたとのこと、何よりでした。

 先生から勧められたのは、こちらのパンフレットの「アイソカル・ジェリーArg」でお間違いございませんか。このゼリーに含まれているアルギニンという栄養素は、免疫を強めたり、傷の治りを早める効果が確認されていて、褥瘡の方には特に必要な栄養素です。食事だけでは十分な量が取れないので、先生はご自宅でもアルギニンゼリーのような健康食品をお勧めになったのだと思います。薬局でお取り寄せできるか、すぐにお調べしますね。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ