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薬局なんでも相談室1
相談室1:カルシウム拮抗薬同士は併用できる?
日経DI2013年2月号

2013/02/10
大用昌之

日経ドラッグインフォメーション 2013年2月号 No.184

 日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2009』では、高血圧治療において降圧薬を併用する場合には、作用機序の異なる薬剤を併用することが原則とされています。多くの臨床試験でも、副作用を減らして降圧効果を高めるために、異なる作用機序の降圧薬の併用が有用であることが示されています。

 ご質問のカルシウム拮抗薬(以下、Ca拮抗薬)は、平滑筋に発現しているCaチャネル(L型、N型、T型など)をブロックすることにより、平滑筋を弛緩させて血圧を下げます。現在、降圧薬として使われている長時間作用型のCa拮抗薬のほとんどが、L型Caチャネルをブロックして血圧を下げます。アムロジピンベシル酸塩(商品名アムロジン、ノルバスク他)はニフェジピン(アダラート他)と並んで、代表的なL型のCa拮抗薬です。

 一方、シルニジピン(アテレック他)はL型だけでなくN型のCaチャネルをブロックします。同薬は交感神経終末からのノルアドレナリンの放出を抑制するため、Ca拮抗薬にしばしば見られる頻脈の副作用が少ないといわれています。

 また、エホニジピン(ランデル)やアゼルニジピン(カルブロック)はL型とT型のCaチャネルをブロックします。T型Caチャネルは幼若期の心筋細胞や洞房結節細胞、血管平滑筋などに存在します。これらのCa拮抗薬も頻脈を起こしにくいといわれています。

 これらのCa拮抗薬の作用の違いとして最近注目されているのが、慢性腎臓病(CKD)における尿蛋白の減少効果です。

尿蛋白減少効果が高いN型とT型

 L型Caチャネルは、糸球体の輸入細動脈にのみ分布するのに対し、N型やT型のCaチャンネルは、輸入細動脈のみならず輸出細動脈にも分布しています。従って、薬剤がN型やT型のCaチャネルをブロックすると、輸入細動脈と輸出細動脈とを拡張して、糸球体内静水圧が下がるため、尿蛋白が減少すると推測されています。

 実際に、アムロジピンとシルニジピンを比較したランダム化比較試験であるCARTER試験(Kidney Int.2007;72:1543-9.)では、シルニジピンで血圧を下げた方が尿蛋白がより多く減少することが示されました。エホニジピンやアゼルニジピンも尿蛋白を減らすことが明らかにされています。

 以上のことから、CKDの患者で十分な降圧を図るためにアムロジピンやニフェジピンを使用し、同時に尿蛋白を減少させることを目的にシルニジピンを併用するという腎臓内科の専門医がいます。相談者の方が応需した処方箋も、そうした意図で書かれたものかもしれません。

 ただし、腎機能の予後に関して、これらのCa拮抗薬の間で差があるか、また、併用により、心血管疾患発症抑制効果が改善するかは不明です。原則としては、やはり、降圧薬の組み合わせは作用機序の異なるものを選ぶべきだと考えます。

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