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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)抗菌薬とアミティーザの飲み合わせ
日経DI2013年2月号

2013/02/10
坂口裕一

日経ドラッグインフォメーション 2013年2月号 No.184

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(2)腸管での水分分泌を促進し、便の水分含有量を高める。

A2

Aさんに以前処方されていた酸化マグネシウム(商品名マグミット他)は、テトラサイクリン系薬など一部の抗菌薬と離溶性キレートを形成し、吸収を低下させるため。

 便秘とは、結腸内に便が滞留し、3~4日以上排便がない状態をいう。また、毎日排便があっても、排便時に不快感や腹痛、排便後に残便感などを伴う状態も便秘と呼ぶ。

 便秘と診断された場合は下剤が処方される。下剤には、その作用機序から、(1)浸透圧比を高めて腸管内に水分を引き寄せる作用を主とする塩類下剤、(2)腸を刺激してその蠕動運動を活発にする刺激性下剤、(3)腸内で膨張して排泄を促進する膨張性下剤─など様々な種類がある。

 Aさんが現在服用しているルビプロストン(商品名アミティーザ)は、2012年11月に発売された、従来の下剤とは異なる作用機序を持つ便秘治療薬である。同薬を服用した患者のうち、60~75%で24時間以内に自然排便が認められるとされる。

 ルビプロストンの作用には、腸管の水分分泌を担う塩化物イオン(クロライドイオン)が関与している。粘膜上皮細胞内の基底膜側にあるNa-K-2Cl共輸送体などを介して粘膜上皮細胞内に取り込まれたクロライドイオンは、小腸上皮頂端膜(腸管内腔側)に存在するタイプ2 クロライドイオンチャネル(ClC-2)を介して腸管内腔に移動する。それに伴い、ナトリウムイオンも受動的に腸管内腔に移動する結果、腸管内腔に水が分泌される。

 ルビプロストンは、小腸上皮頂端膜に存在するClC-2を活性化することで、腸管の水分分泌を促進。便を軟らかくして腸管内での輸送性を高め、排便を促進するのである。

 さて、主治医が以前Aさんに話した「抗生剤と下剤を一緒に飲むと、抗生剤の効果が落ちる」という相互作用は、主として塩類下剤であるマグネシウム系の下剤で起こりやすい。Aさんが以前服用していた酸化マグネシウム(マグミット他)は、抗菌薬のうちテトラサイクリン系薬(テトラサイクリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩など)やニューキノロン系薬(シプロフロキサシン、トスフロキサシントシル酸塩水和物など)と併用すると、抗菌薬と離溶性キレートを形成して、吸収が低下することがあるためである。

 今回、Aさんに処方されたレボフロキサシン水和物(クラビット他)もニューキノロン系抗菌薬であり、添付文書には併用注意薬として「アルミニウムまたはマグネシウム含有の制酸薬等、鉄剤」との記載がある。従って、マグネシウム系の下剤との併用は避けるべきである。

 一方、ルビプロストンはニューキノロン系の抗菌薬とキレートを作らず、その他の相互作用も報告されていない。そのため、医師はAさんに「今回は変更しなくてよい」と話したと思われる。

 なお、ルビプロストンの適応症は「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」であり、薬剤性および症候性便秘には適応がないことに注意したい。また、肝機能や腎機能に障害のある患者には、用量を減らすなど慎重に投与する必要がある。

 妊娠する可能性のある婦人に投与する場合には、妊娠検査を行うなど妊娠中でないことを確認するとともに、妊娠に及ぼす危険性について患者に十分に説明し、服薬中は避妊させる。

 副作用として、臨床試験では下痢(30%)や悪心(23%)が報告されている。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 普段飲んでいる便秘のお薬と、今日出された抗生剤を一緒に飲んでよいか、ご心配なのですね。

 確かに、便秘のお薬の中には、抗生剤と一緒に飲まない方がよいものがあります。これは、抗生剤の中に、マグネシウムや鉄などとくっついて効果が落ちるものがあるためです。以前、Aさんに処方されていたマグミットにはマグネシウムが含まれているので、抗生剤とは飲み合わせが悪いのです。それで、抗生剤を飲んでいる間は、マグネシウムを含まない下剤に変更されました。

 でも、Aさんが今、お飲みになっているアミティーザというお薬には、マグネシウムや鉄などが含まれませんので、飲み合わせが問題にならないのです。安心して飲んでくださいね。

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