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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)二次性高血圧の検査でARBを中止した理由
日経DI2013年2月号

2013/02/10
坂口裕一

日経ドラッグインフォメーション 2013年2月号 No.184

出題と解答 : 笹川 大介
(はらだ薬局[鹿児島県薩摩川内市])

A1

アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の服用下ではARR(アルドステロン/レニン比)が低下し、検査結果が偽陰性になる恐れがあるため。

A2

(1)~(4)の全て

 高血圧は、原因の明らかでない本態性高血圧と、特定の原因で発症する二次性高血圧の大きく2つに分けられる。  高血圧のほとんどは本態性高血圧であるが、Fさんのように薬物治療に抵抗を示す場合には二次性高血圧が疑われる。  二次性高血圧には、腎性高血圧(腎実質性・腎血管性)、内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症など)のほか、睡眠時無呼吸症候群、カンゾウの長期服用による偽アルドステロン症のような薬剤性の高血圧などがある。

 今回、Fさんが主治医から言われた原発性アルドステロン症とは、副腎の腫瘍や過形成により、アルドステロンが過剰に分泌される疾患である。

 アルドステロンが過剰に分泌されると、体内にナトリウムがより多く貯留し、高血圧を来す。同時に、カリウムの排泄が促進されることで、低カリウム血症や血中のHCO3増加による代謝性アルカローシスのリスクが高まる。アルドステロンそのものによる臓器障害(脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、心肥大、不整脈、腎不全など)が引き起こされることもある。  原発性アルドステロン症は、検査技術の進歩で比較的容易に診断できるようになり、最近では高血圧患者の約5~20%を占めることが分かってきた。治療抵抗性の高血圧(降圧薬を3種類以上使ってもコントロールができない)の25%が、本疾患との報告もある。

 原発性アルドステロン症の診断では、血液検査で、血漿レニン活性(plasma renin activity:PRA)と血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration:PAC)を同時に測定する。このレニン活性とアルドステロン濃度の比(ARR:アルドステロン/レニン比)が200を超える場合、同症が強く疑われる。

 ただし、ARBやアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を服用していると、レニン活性が上昇、アルドステロン濃度が低下する結果、見かけのARRが低値となり、疾患を見逃す(偽陰性)恐れがある。

 日本内分泌学会による『原発性アルドステロン症の診断治療ガイドラインー2009ー』には、ARBとACE阻害薬の中止期間は記載されていないが、「レニン活性≧1.0ng/mL/時であれば薬剤中止後に再検査を行う」とされている。

 Fさんはこれまでカルシウム拮抗薬のニフェジピン(商品名アダラート)とARBのオルメサルタンメドキソミル(オルメテック)を服用していたが、ARBが検査に影響を与える恐れがあるため、主治医はオルメサルタンを中止し、検査値に影響を与えないα遮断薬のドキサゾシンメシル酸塩(カルデナリン)に変更したと考えられる。

 降圧薬ではほかに、β遮断薬、利尿薬、抗アルドステロン薬も検査前の中止が必要である。β遮断薬は、レニン活性を著しく下げて、見かけのARRを上げ偽陽性を示すことがある。ガイドラインでは検査前にβ遮断薬の2週間以上の中止が望ましいとしている。

 一方、利尿薬や抗アルドステロン薬は、レニン活性とアルドステロン濃度の両者を上昇させるが、上昇率はレニン活性がアルドステロン濃度を上回るため、見かけのARRは低下し、偽陰性を示す可能性がある。利尿薬と抗アルドステロン薬はARRへの影響が最も大きく、6週間以上中止して検査を行うこととされている。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 聞きなれない病名を言われて不安になられたかもしれませんね。原発性アルドステロン症は、腎臓の上にある副腎から、アルドステロンというホルモンが出過ぎるという病気です。このホルモンには、体の中に塩分をためて血圧を上げる働きがあり、お薬を飲んでも血圧が下がりにくくなります。それで先生はFさんの高血圧の原因が、アルドステロンの出過ぎかもしれないと考えられたのでしょう。

 原発性アルドステロン症を診断するためには血液検査が必要ですが、オルメテックを飲んだまま検査をすると、結果が陰性になってしまうことがあります。そのため、先生は今回、検査に影響しないカルデナリンに変更したのだと思います。これまで通り、毎日朝食後に1錠ずつお飲みください。何か不安なことがありましたら、私どもか先生にご相談ください。

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