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OTC薬ネット販売「事実上解禁」の波紋、他
日経DI2013年2月号

2013/02/10
坂口裕一

日経ドラッグインフォメーション 2013年2月号 No.184

OTC薬ネット販売「事実上解禁」の波紋
厚労省は薬事法改正も視野に入れたルール作りに着手へ

 一般用医薬品(OTC薬)などのインターネット販売を行うケンコーコム(東京都港区)とウェルネット(横浜市栄区)が国を相手に、OTC薬のネット販売権の確認などを求めた行政訴訟の上告審が1月11日、最高裁判所であった。最高裁第二小法廷(竹内行夫裁判長)は、「店舗販売業者に対し、第1・2類医薬品の郵便等販売を一律に禁止する厚生労働省の規定は、新薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効」とし、国の上告を棄却する判決を言い渡した。

   OTC薬のネット販売をめぐる一連の訴訟は、厚労省が09年、改正薬事法の施行に伴って発出した省令で、第1・2類医薬品の対面によらない販売を禁じたことに対し、同年5月、ケンコーコムらが東京地方裁判所に提訴したことに始まった(表)。10年3月の1審判決では原告の請求が退けられたが、12年4月の控訴審判決は1審判決を取り消し、原告のネット販売権を認めた。国はこれを不服として、12年5月に最高裁に上告していた。

 今回の判決は、OTC薬のネット販売を省令で禁じることが違法だと判断したもので、ネット販売にお墨付きを与えたわけではない。しかし、現状の規制が否定されたことで、新たな動きが出始めている。

最高裁判決後の記者会見で話すケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏(手前から3人目)。

新規参入相次ぐ可能性も
 最高裁判決を受けてケンコーコムは即日、第1・2類医薬品のネット販売を再開。同社代表取締役の後藤玄利氏は、「ネット販売において、利便性と安全性はトレードオフではなく、両立できると考えている。今後は、特に安全性を担保する仕組みづくりを重点的に行っていきたい」と話す。

 後藤氏が理事長を務める日本オンラインドラッグ協会は同日、「一般用医薬品のインターネット販売に関するガイドライン」を発表。販売時の情報提供の方法や相談応需体制などを例示し、ネット販売に携わる薬局・店舗に遵守を求めている。

 今後、新たに参入する企業が出てくる可能性もある。実際、日本オンラインドラッグ協会には、判決後2週間で、「ネット販売について数社から相談や問い合わせがあった」(同協会事務局)という。従来から第3類医薬品のネット販売を手掛けるある薬局は、第1・2類医薬品の販売について、「他の店舗の出方を見ながら判断していく。皆が販売を始めるようなら、当店でもやらざるを得ない」と明かす。

 今やネット販売のルール作りは、待ったなしの状況だ。厚労省は、2月にも検討会を立ち上げ、薬事法改正も視野に入れたネット販売のルール作りに着手する。

表 ネット販売の規制をめぐる行政訴訟の経緯(編集部まとめ)

問われるOTC薬の販売体制
 だが一方で、OTC薬の販売体制や情報提供の在り方に関して議論されるべきは、ネット販売だけではないはずだ。

 厚労省が11年に薬局・薬店を対象に実施した覆面調査では、第1類医薬品の対面販売時に、薬剤師が文書を使って詳細な説明を行っていたのは55.2%にとどまった。31.5%だった前年調査に比べ、薬剤師による情報提供の実施率は改善したものの、いまだに半数近くが改正薬事法に提示された方法を遵守していないことが明らかになった。ネット販売を支持する立場からは、「対面販売であれば安全性が確保できるという根拠はどこにあるのか」との声も聞こえてくる。

 日本薬剤師会会長の児玉孝氏は1月24日の定例記者会見で、「ネット販売だけに焦点を当てて議論するのではなく、医薬品の供給体制の一つとしてネット販売を捉え、その上で安全性をどう担保していくかを考えなくてはならない」と語った。今後、一般用医薬品委員会が中心となって問題点や対応策を整理し、ネット販売に対する日薬としての考え方を会員に示していくとしている。

 これまで、ネット販売と対面販売の対立構造が作られる中で、利用者にとっての利便性と安全性の両立という視点が置き去りにされてきた感がある。企業や業界団体には、今度こそ建設的な議論を進めてもらいたい。


日医の要請受け、購入条件見直し
エパデールのスイッチOTC薬、購入には医療機関の受診が必要

 2012年12月28日に承認された、エパデール(一般名イコサペント酸エチル)のスイッチOTC薬について、購入時に患者が記入する「セルフチェックシート」に、「医療機関を受診した人に限る」旨の文言が盛り込まれることが決まった。13年1月9日の日本医師会の定例記者会見で、副会長の中川俊男氏が明らかにした。

 エパデールのスイッチOTC薬の効能・効果は「健康診断等で指摘された、境界領域の中性脂肪値(150mg/dL以上300mg/dL未満)の改善」。自覚症状のない生活習慣病に対して長期服用するOTC薬はこれまでに例がないことなどから、同薬の承認に当たっては、発売後、一定数のデータが蓄積されるまでの間、服用対象者の選択や生活習慣の改善に向けた指導、セルフチェックシートによる購入者の健康状態の把握といった使用実態について、調査することが課せられていた。

 なお、セルフチェックシートの内容については、同薬の発売前に「厚生労働省が公表する予定はない」(審査管理課)。また、製造元である持田製薬も、「公表の時期や、製造元と販売元のどちらが公表するかは未定」(同社広報)としている。

 日医は、02年に厚労省検討会がまとめた中間報告書「セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」の見直しも要望、厚労省はこれを了承した。


小児の医薬品誤飲事故を受け厚労省が注意喚起
甘い液剤やOD錠は要注意

 厚生労働省は1月4日、小児の医薬品の誤飲事故防止策を徹底するよう、医療機関や薬局、製薬会社に対して注意喚起を行った。2011年度の厚労省調査で、小児の誤飲事故の原因として、「たばこ」に続いて「医薬品・医薬部外品」が多かったことを受けたもの。

 調査結果によると、医薬品の誤飲事故は、自ら包装を開けて薬を取り出せるようになる1~2歳児に多く、机や棚の上に薬が放置されていた場合や、保護者が目を離した隙に起きやすい傾向にあった。また、口腔内崩壊錠を大量に摂取したケースや、錠剤をラムネと間違えて摂取したケースも報告されている。


チェーンドラッグ協会がマニュアル作成
登録販売者試験の不正受験の再発防止へ

 日本チェーンドラッグストア協会はこのほど、「登録販売者試験実務経験証明不備・不正防止対策マニュアル」をまとめ、同協会のウェブサイト上で公開した。

 2012年11月に大手スーパーの西友(東京都北区)やドラッグストアチェーンのカメガヤ(横浜市港北区)で、登録販売者の受験資格である実務経験の証明に不正があったことが相次いで発覚。それを受けて協会は対策本部を設置し、不正の再発防止や登録販売者制度への信頼回復に向けた対策を検討していた。

 マニュアルには、法令・通知の内容や、実務経験を証明する流れ、実務経験を詳細に記録するための様式などがまとめられている。実務経験者の名札着用や、薬事法遵守のための企業向けチェックリスト、登録販売者試験の受験申請を行う際に疑義や問い合わせにすぐに対応するための「受験者本人申告書」など、協会としての基準や様式も盛り込んだ。さらに、開設者・管理者・実務経験者の心得や、不正を行った企業に対する協会の処分についても言及している。

 なお、同協会は13年1月18日、不正問題を起こした西友とカメガヤに対し、「業界や登録販売者制度に対する消費者の信頼を失い、混乱を招いた」として、それぞれ退会勧告と厳重注意の処分を通達した。


「健康支援拠点」としての薬局のあり方を提示
日薬が調査結果を報告

 地域住民の健康づくりのため、身近で専門的な支援・相談に取り組む薬局が増えている。日本薬剤師会が2012年2~3月に都道府県薬剤師会を対象に行った調査で、日薬が05年に事業として開始した「健康介護まちかど相談薬局」が、現在も1万軒以上に上ることが分かった。

 事業開始当初は、介護保険サービスの利用者や家族からの苦情・相談に対する申し立て機関の紹介といった窓口としての役割や、生活機能に応じた服薬管理などを担っていた。今回の調査では、認知症サポーターや禁煙支援、自殺予防、癌療養支援など、健康支援・相談に関する多彩な取り組みが報告された。


メサペイン錠5mg、同錠10mg《2012年11月22日薬価収載》
強オピオイドでも鎮痛困難な癌性疼痛に有効

 2012年11月22日、癌疼痛治療薬のメサドン塩酸塩(商品名メサペイン錠5mg、同錠10mg)が薬価収載された。近く発売される見込みである。適応は、「他の強オピオイド鎮痛剤で治療困難な、中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」。他の強オピオイド鎮痛薬から切り替えて使用する。成人に対する初回投与量は、同薬の投与前に使用していた強オピオイド鎮痛薬の用法・用量を勘案して、1回5~15mgを1日3回経口投与する。

 中等度から高度の疼痛を伴う各種の癌に対しては、世界保健機関(WHO)による「三段階除痛ラダー」に基づき、強オピオイドのモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルが使用される。しかし、これらの強オピオイドでも鎮痛が得られない症例や、オピオイド耐性が発現した症例などに対して、日本では従来、有効な薬剤がなく、欧米で広く使用されているメサドンの早期導入が望まれていた。

 メサドンは、モルヒネと同様にμオピオイド受容体を介して鎮痛作用を示すが、モルヒネなど他のμオピオイド受容体作動薬との交叉耐性が不完全という特徴を持つ。そのため、他のオピオイド鎮痛薬で鎮痛が得られない症例や、耐性が発現している症例などにも有効であると期待されている。

 国内で実施された、オピオイド鎮痛薬の使用患者を対象とした切り替え試験において、何らかの副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が76.2%に認められている。主な副作用は、傾眠(52.4%)、悪心(23.8%)、嘔吐(19.0%)、QT延長・せん妄・便秘(各9.5%)だった。重大な副作用としては、他のオピオイド鎮痛薬と同様に、依存性、呼吸停止、呼吸抑制などがある。

 同薬の処方・使用に当たって、医師は製造販売業者の提供する講習を受講すること、薬剤師は処方医が講習を終了した医師であることを確認した上で調剤することが定められている。

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