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CaseStudy
竹内薬局港北ニュータウン店(横浜市都筑区)
日経DI2013年2月号

2013/02/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年2月号 No.184

 「当店は小児科の門前薬局だが、調剤時間が短い。その分、待合室の患者が座っているところまで出向いて相談に乗るなど、患者の応対に十分な時間をかけられる。患者や保護者から『待ち時間が短くて助かる』と言われることも多い」。こう話すのは、竹内薬局港北ニュータウン店(横浜市都筑区)管理薬剤師の橋本幾代氏だ。

「計量調剤の手間を省く機器やシステムの導入で、混雑時でも処方箋を受けてから10分ほどで薬剤を交付できる」と話す、竹内薬局港北ニュータウン店の橋本幾代氏。
写真:秋元 忍

 同店は、小学生ぐらいまでの子どもを持つファミリー世帯が多く住む新興住宅地にあり、2012年4月に別の薬局を引き継ぐ形でオープンした。

 同店のはす向かいには小児科診療所があり、近隣にはマンションや分譲住宅のほか、幼稚園や保育所もある。1日に応需する80~120枚の処方箋のうち、95%は小児患者が占める。

 小児科の門前薬局といえば、散剤や液剤の計量調剤が多く、感染症が流行する冬場には待ち時間が長くなりがち。しかし、同店では、「混雑時でも処方箋を受け付けてから10分ほどで薬を交付できる。騒がしい待合室で長時間待つのは、子どもにも保護者にとってもストレス。開局時から調剤をできるだけ早くして、『待ち時間をより短く』という患者のニーズに応えられるよう努めてきた」と橋本氏は話す。

 このような短時間で薬剤を交付できるのは、計量調剤の自動化システムを導入しているからだ。散剤を計量する電子てんびんは、散剤鑑査システムと連動しており、薬剤ごとに、秤量すべき製剤量が自動的に計算され、表示される。液剤も、製剤量の自動計算に加え、自動液剤分注機「LiQ」(高園産業)の導入により、薬剤師の煩雑な作業が徹底的に効率化されている。

調剤にかかる時間の短縮で、待合室に出向いての服薬指導など、患者サービスの充実が可能になった。

製剤量への換算や賦形が自動化

 自動化システムの具体的な流れを見ていこう(図1)。

図1 竹内薬局港北ニュータウン店で導入している調剤システムの流れ

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 処方箋を受け付けた薬剤師は、門前の小児科で印字された2次元バーコードをスキャンして、処方内容と患者の氏名や年齢などをレセコンに入力する。処方鑑査を行った後、レセコンの「連動」ボタンをクリックすると、散剤の処方内容は電子てんびんに、液剤の情報は自動液剤分注機に、それぞれ送信される。

 このシステムで便利なのは、処方箋には成分量で記載されていても、自動的に製剤量に換算される点。処方日数を乗じた全量も示されるので、薬剤師が一から計算するよりも早く計量調剤に取りかかれる。

 散剤を秤量する電子てんびんは、薬剤が正しく秤量されなかった場合に、エラーを知らせる音が鳴る。例えばモニターには「2.7g」と表示されているのに薬剤師が「2.1g」と見間違えて秤量するといったミスが防げるというわけだ。調剤の速さだけを重視するのではなく、正確さも担保する仕組みになっている。

 液剤に関しては、賦形量の計算も自動化。さらに、自動分注機には、アスベリンシロップ0.5%(一般名チペピジンヒベンズ酸塩)やペリアクチンシロップ0.04%(シプロヘプタジン塩酸塩水和物)など、よく処方される薬剤が500mLの瓶ごと7種類セットしてある。セット済みの液剤や賦形に使う単シロップは自動的に計量されるので、薬剤師が投薬瓶を置くだけで液剤の調剤が完了する。分注機にセットされていない液剤が処方された場合は、薬剤師が最後に手で計量して加える。

 分注し終わると、それを知らせる音が鳴るよう設定しているので、薬剤師は分注機の前で待たず、他の作業ができて効率的だ。

 橋本氏は「複数の液剤を薬剤師が手で計量すると、それだけで5分程度はかかるが、分注機を使えば1分ほどで完了する。使うべき投薬瓶の指示や賦形の計算を全て機械が行ってくれるのも、調剤時間の短縮につながっている」と話す。

待たないと評判、高齢患者も増加

 さらに、早く調剤できるようにするため、図2のような工夫もしている。

図2 調剤スピードを上げる工夫

散剤の混和には、セラミックス製品で定評のあるニッカトー(堺市堺区)の乳鉢を採用。軽くて、急いで混ぜても中身がこぼれにくい構造になっている。「他社のものより持ちやすく、素早く混和できる」と同店の橋本幾代氏。

門前の小児科では、皮膚外用薬と白色ワセリンの混合指示がよくある。混雑時にその都度計量しなくても済むように、ワセリン10gを入れた軟膏つぼを3~4個予製して、ワセリン500g入りの瓶の横に置いている。

 例えば乳鉢は、計量した散剤を急いで混ぜても周囲に飛び散らず、軽くて持ちやすいものを採用した。チェーン内の別の薬局から使いやすいという話を聞き、繁忙期に備えて秋ごろから使い始めたという。

 また、門前の小児科の処方箋では、皮膚外用薬と白色ワセリンの混合指示がしばしばあるため、軟膏希釈用のワセリンを10gずつ軟膏つぼに予製している。

 こうした取り組みが「あの薬局は待ち時間が短い」という評判を生み、同店では徐々に高齢者の処方箋を応需する機会が増えてきた。近隣には、高齢世帯が多く住む集合住宅もあることから「今後は訪問服薬指導など、より地域に密着したサービスを提供できるように取り組んでいきたい」と橋本氏は話している。(河野 紀子)

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