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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)軟膏が変更された褥瘡患者
日経DI2013年1月号

2013/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年1月号 No.183

出題と解答 : 後藤 洋仁
(横浜市立大学附属病院[横浜市金沢区]薬剤部)

A1

(2)白糖は高浸透圧性で、褥瘡から出る多量の滲出液を吸収し、局所の浮腫を軽減する。
(4)使用時に混ぜることにより軟らかくなる。

 褥瘡は、長時間の臥床などで持続的な圧力が掛かり、皮膚や深部組織が虚血状態になることで引き起こされる皮膚病変である。慢性期の深い褥瘡は、創面の色調によって「黒色期」「黄色期」「赤色期」「白色期」に分類される。

 黒色期は、表面の壊死組織が乾燥し、黒色化してかさぶたのようになっている状態をいう。壊死組織は細菌感染の温床であり、放置するとさらに患部の壊死が進み、敗血症などに至る危険性があるため、黒色壊死組織の除去(デブリドマン)を行う。その下層には黄土色の深部壊死組織が残存しており、滲出液が増加する状態を黄色期という。

 さらに黄土色の壊死組織を除去し、鮮紅色の肉芽が表面に現れた状態が赤色期である。肉芽形成がさらに進み、皮膚表面レベルまで達すると、周囲の皮膚よりも色の白い新生上皮が形成され白色期となる。つまり、黒色期、黄色期、赤色期、白色期の順に治癒に向かう。

 Gさんに処方されたイソジンシュガーパスタ軟膏(一般名精製白糖・ポビドンヨード配合剤)は、1g中に精製白糖700mgとポビドンヨード30mgが配合された軟膏である。黒色期から黄色期にかけて、多量の滲出液や局所感染を伴う場合によく用いられる。

 ポビドンヨードは細菌や真菌、ウイルスなどに幅広い殺菌作用を有しながら、うがい薬にも使用されるように粘膜の消毒にも使用できるのが特徴である。精製白糖は、吸水性に優れ、滲出液を吸収して局所の浮腫を軽減することにより肉芽形成を促進させ、傷の治りを早くする。白糖・ポビドンヨード配合剤は、もともと院内製剤として病院薬剤部で調製されていたが、製薬会社が製品として開発し、販売されるようになった。

 Gさんの妻が疑問に感じている「イソジンシュガーパスタ軟膏」の名前だが、シュガーは白糖を指し、パスタはパスタ剤(paste)を指す。パスタ剤は泥膏とも呼ばれ、軟膏基剤に粉末剤が練り合わさり、軟膏よりも粘度の高い外用薬である。以前は「イソジンシュガーパスタ」の商品名で販売されていたが、2008年に医療事故防止対策のため剤形を商品名に加えることとなり、「イソジンシュガーパスタ軟膏」と商品名が改まった。

 イソジンシュガーパスタ軟膏は、使用時に力を加えることにより軟らかくなる性質を持つ。創面の滲出液が多いときは、あまり練らずに塗って滲出液を吸収させるとよい。イソジンシュガーパスタ軟膏を広範囲に伸ばして使用したいときは、よく練っておくと塗りやすい。これは、ガーゼに塗布して使用する際も同様である。

 なお、患者が白糖・ポビドンヨード配合剤をガーゼに塗布することが困難な場合は、シート状の軟膏であるユーパスタコーワ軟膏分包もある。

 ただし、褥瘡の時期によって使用される薬剤は変わる。赤色期や白色期にかけては、白糖の吸水性やポビドンヨードの細胞毒性が、創傷治癒を妨げてしまう。このため通常、白糖・ポビドンヨード配合剤は使われない。肉芽形成や上皮化促進作用のあるブクラデシンナトリウム(アクトシン)、トレチノイントコフェリル(オルセノン)、トラフェルミン(フィブラスト)などの薬剤が用いられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 褥瘡の治療で、傷をきれいにしてもらったのですね。今回処方されたイソジンシュガーパスタ軟膏は、確かに食べ物の名前かと思ってしまいますね。おっしゃる通り、シュガーは白糖の意味ですが、パスタはスパゲティではなく、パスタ剤という粘度の高い種類の外用薬を指します。

 白糖は吸水力が高いので、きれいにした傷からたくさん出てくる液を吸収して、傷の治りを早くしてくれます。軟膏にはうがい薬にも使われるポビドンヨードが配合されていて、幅広い殺菌力もあります。ですので、今のGさんの褥瘡の状態にはぴったりのお薬です。お薬を塗るときは、あまり練らずに塗り付けると水分を吸収しやすいと思います。もし塗りにくい場合は、私どもか先生にご相談ください。

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