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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)膀胱炎にウラリットが処方された理由
日経DI2013年1月号

2013/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年1月号 No.183

出題と解答 : 東風平 秀博
(田辺薬局株式会社[東京都中央区])

A1

尿アルカリ化により、膀胱粘膜下知覚神経への酸の刺激を軽減し、間質性膀胱炎の症状を緩和することが示唆されるため。

A2

柑橘類、カリウムを多く含む食品、香辛料などが刺激源になっていることがあるので、刺激源を特定して避けるようにする。

 間質性膀胱炎は、通常の膀胱炎と異なり細菌感染はなく、結石・腫瘍など明らかな疾患も認められない慢性進行性疾患である。最も訴えの多い症状は頻尿と尿意切迫感で、膀胱充満時に疼痛を訴える患者も多い。

 間質性膀胱炎は、間質の肥満細胞の活性化や、尿路上皮のグリコサミノグリカン(GAG)層の異常などに起因すると考えられているが、なぜ異常が生じるのかは、いまだ解明されていない。完治を目的とした治療法はまだないため、対症療法が中心となっている。

 間質性膀胱炎の治療には、膀胱水圧拡張術、内服薬による治療、膀胱内注入療法、電気刺激治療、高度の萎縮膀胱に対する外科的治療などがあるが、わが国で現在、保険診療で認められている間質性膀胱炎の治療法は、膀胱水圧拡張術のみである。

 内服薬治療としては、三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、経口ステロイドなどが適応外で使用されている。

 抗アレルギー薬のスプラタストトシル酸塩(商品名アイピーディ)は、Th2サイトカイン(IL4、IL5)産生を選択的に阻害することにより、好酸球組織浸潤およびIgE抗体産生を抑制する。同薬は、14人の間質性膀胱炎患者を対象にした非ランダム化試験において、1回排尿量と症状スコアの改善が認められたことから、日本と欧米で治験が行われた。しかし、日本の試験で症状スコアの改善量においてプラセボ投与群に対する優越性を示すことができず、間質性膀胱炎での開発は中止されている。開発は中止されたものの、実際に使用して症状の改善が見られるケースが少なくないことから、引き続き処方されているのが実情である。

 痛みに対しては、慢性の疼痛に対して非オピオイド鎮痛薬のアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが用いられる。慢性的な激しい痛みには、オピオイド鎮痛薬が使用されることもある。

 このほか、Aさんに処方されたクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物(ウラリット)も間質性膀胱炎の患者に処方されることがある。これは、間質性膀胱炎患者ではpH6.0未満の酸性尿の頻度が高く、尿のpHと症状の間に一定の関連性があることが示唆され、さらに患者にクエン酸塩製剤を投与したところ症状の改善が認められたからである。尿アルカリ化により、膀胱粘膜下知覚神経への酸の刺激が軽減されたと考えられている。

 間質性膀胱炎の症状緩和には、食事療法も重要である。症状を悪化させる可能性が示唆される食べ物として、オレンジなどの柑橘類、タマネギ、キュウリ、トマトなどカリウムを多く含む野菜、酢の物、トウガラシやワサビ、カラシ、ショウガなどの香辛料のほか、ヨーグルトなどの乳製品、大豆食品も挙げられている。患者によって刺激源になる食品が異なることから、摂取した食品や調味料と、症状の有無を関連付けることで刺激源を特定し、これを避けるようにすれば、症状の緩和につながると考えられている。

参考文献
1)日本泌尿器科学会誌2012;103:282.

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 間質性膀胱炎は完全に治すことが難しい病気ですが、適切な治療によって症状を緩和することができます。

 今回、Aさんに処方されたウラリットは、先生がおっしゃった通り、痛風のお薬です。痛風は尿酸が体内に蓄積し、結晶化して関節に痛みを引き起こす病気ですが、酸性下で結晶になりやすいので、アルカリ性にするためにウラリットを服用します。間質性膀胱炎は、痛風とは全く違う病気ですが、患者さんの中には尿が酸性になっていて、それが膀胱の粘膜を刺激していることがあると報告されています。そこで、尿をアルカリ性にするために、ウラリットが使われることがあるのです。

 ウラリットを服用して尿をアルカリ化すると同時に、食べ物にも気を付けた方がよいとされています。オレンジなどの柑橘類や酢などは避けた方がよいでしょう。食品や調味料と症状との関係を調べて、刺激となる食品をなるべく食べないようにしましょう。

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