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薬剤師と政治の関係を改めて考えてみる
日経DI2013年1月号

2013/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年1月号 No.183

 昨年末に第46回衆議院議員選挙が行われた。その結果はともかく、良い機会なので「薬剤師と政治」について、改めて考えてみた。

 職場となっている薬局内で、日ごろ政治について話し合うことはあるだろうか?「いやいや、政治と宗教の話はタブー。あえて話題にしようとは思わない」という人が、ほとんどではないだろうか。それどころか、政治の「せ」でも口にしようものなら、白い目で見られるような空気すら漂っていると感じるのは、筆者だけではないはずだ。

 しかし、よく考えてみてほしい。薬局の多くは民間企業という立場でありながら、薬事法という法律で規定されている。さらにわれわれ薬剤師は、薬剤師法という身分法によっても別に規定されている。法律による薬局や薬剤師への規定を、「縛られている」と感じるか、あるいは「守られている」と感じるかはそれぞれだが、われわれの業界は、法律と極めて深い関係にあることは紛れもない事実である。

 また昨年春、6年制薬学部の教育課程を修めた薬剤師が誕生したことは、薬剤師なら誰もが知っているだろう。では、それを機に薬剤師の国家公務員初任給が、医療職俸給表(二)の「2級1号俸(17万8200円)」から「2級15号俸、(20万800円)」に変わったことは、どれだけ知られているだろうか。

 国家公務員の給与は、人事院の管轄だ。しかし、縦割り行政といわれる中で、こうした給与の話を議論しようとすると、そう簡単ではない。薬剤師の国家公務員初任給であれば、厚生労働省、総務省、文部科学省の間で、たらい回しになるのではなかろうか。

 こうした状況を解決できるのが、政治である。「政治とは調整である」と言い切る人もいるように、いかんともしがたい状況を打破するには、やはり政治家の力が必要だ。薬剤師の国家公務員初任給の件でも、政治家が大きな役割を果たしたと聞く。

 残念だが現場の人間では、どうやっても手が届く問題ではない。ましてや、この給与の問題に関しては、「薬剤師を養成する薬学部は6年制になったし、最近の薬剤師さんは頑張っているから、給与も見直しましょう」といった話には、黙っていたのでは絶対にならない。

 薬剤師の社会的評価から給料に至るまで、政治の関わりを無視することはできないわけだ。それだけに、立法府である国会や一人ひとりの国会議員が薬剤師をどう思っているか、さらに言えば薬剤師免許を持つ議員がどれだけいるかということを、もっと意識する必要があるだろう。

 もちろん、自らの地位向上や保身といったことにとらわれていては、到底、社会の理解は得られない。しかし、「薬剤師が関わることで、よりよい医療が提供できる」という自負があるのならば、それを実現するために、政治への関与が不可欠となってくる。

 こう考えると、「薬剤師議員」を推すこと、そしてその活動を支援することに、薬剤師はもっと熱心になっていいのではないか。その議員にロビー活動してもらうというのではなく、われわれが行う日常業務の延長線上にある「政治」に、もっと関わっていくべきだと思うのだ。思想信条の問題もあり強制はできないが、自分が生涯を捧げると誓った、薬剤師という職業である。それを軸にして投票を行い、議員を支援することは、自然なことではないだろうか。

 薬剤師議員なら、薬学という共通言語を持つ。いわば、ルーツは同じである。政党は違っても、政治への志は、きっと共感できるに違いない。今夏には、参議院議員選挙も行われる。新年を機に薬剤師は政治をもっと身近なものとして捉え、そして自ら参加していくべきだと考える。 (十日十月)

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