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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A) リリカが増量された線維筋痛症の患者
日経DI2012年12月号

2012/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年12月号 No.182

出題と解答 : 笹川 大介
(はらだ薬局[鹿児島県薩摩川内市])

A1

線維筋痛症に伴う疼痛に対してプレガバリン(商品名リリカ)を使用する場合は、1日最高用量が450mgであるため、過量投与となる。

 線維筋痛症は、原因不明の全身の疼痛を主症状とするリウマチ性疾患である。疼痛は、腱付着部や筋肉、関節などに発生して、四肢から身体全体に拡散する。痛みは耐えきれないほど激しい。副症状として、不眠、うつ病などの精神神経症状や、過敏性大腸症候群、逆流性食道炎などの自律神経系の症状を伴う。

 厚生労働省の研究班の調査によると、わが国の有病率は人口比1.66%で、患者の数は推定200万人以上。30~40歳代に多く、女性が8割を占める。

 治療では、三環系抗うつ薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)など、症状に応じて様々な薬が用いられるが、「線維筋痛症に伴う疼痛」に対して適応を取得している薬剤は、Fさんに処方されているプレガバリン(商品名リリカ)のみである。

 同薬は、2010年6月に「帯状疱疹後神経痛」の適応症で発売されたが、同年10月に効能・効果として「末梢性神経障害性疼痛」に拡大承認された。さらに12年6月に、「線維筋痛症に伴う疼痛」の適応も取得した。

 プレガバリンは、痛みを脳に伝える上行性神経の前シナプスに作用し、カルシウムイオン(Ca2+)チャネルに作用して痛みを伝達するグルタミン酸の放出を抑えることで鎮痛効果を示す。

 プレガバリンを使用する際には、1日最高用量が、末梢性神経障害性疼痛に

 使用する場合は600mgであるのに対して、線維筋痛症に伴う疼痛に使用する場合は450mgであることに注意が必要である。

 海外のプラセボ対照試験において600mg/日投与が実施されたが、増量による有効性が認められなかった上、副作用が用量依存的であったことから、450mg/日を上回る量の投与は推奨されないと判断された。

 Fさんの主治医は、同薬の線維筋痛症の疼痛に対する1日最高用量が450mgであることを知りながら増量した可能性が高いが、臨床試験の結果を踏まえると、450mgを超える用量に関して、薬剤師は疑義照会をしなければならない。

 疑義照会では、投与量の上限について指摘するだけでなく、線維筋痛症の疼痛や副症状に対して効果が示されている別の薬を提示して、プレガバリンの投与量を維持して、別の薬を追加することを提案したい。

 日本線維筋痛症学会が発行する『線維筋痛症診療ガイドライン2011』は、薬物治療について、エビデンスレベルに応じて薬ごとに推奨度を提示している。その中で、日本で最も推奨度が高い(推奨度B)薬剤として、プレガバリンのほか、三環系抗うつ薬のアミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール)や、SNRIのミルナシプラン塩酸塩(トレドミン)とデュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)などが挙げられている。治療では、これら複数の薬を症状に応じて使い分ける。

こんな疑義照会を

イラスト:加賀 たえこ

 Fさんの処方箋を拝見して、連絡させていただきました。これまで1日450mg処方されていたリリカが、1日600mgに増量されています。ご本人は線維筋痛症のため服用していると話されています。

 リリカの添付文書には、線維筋痛症の疼痛に対しては、1日の投与量が450mgを超えないよう書かれています。これは臨床試験で1日600mgを投与して効果を検討したところ、増量のベネフィットが認められなかった上、副作用が増加したことによるようです。

 治療上可能であれば、リリカを増量する代わりに、三環系抗うつ薬やSNRIなど、線維筋痛症の疼痛や副症状に対する効果が示されている別のお薬の追加をご検討いただけないでしょうか。

参考文献
日本線維筋痛症学会『線維筋痛症診療ガイドライン2011』(日本医事新報社)

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