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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A) ランマークの投与を開始する骨転移患者
日経DI2012年12月号

2012/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年12月号 No.182

出題と解答 : 安 武夫
(湘南鎌倉総合病院[神奈川県鎌倉市]薬剤部)

A1

ビタミンD

A2

1日当たり、カルシウムとして500mg、天然型ビタミンDとして400IU。

 悪性腫瘍の骨転移は、前立腺癌や乳癌、肺癌などで多く認められる。進行すると疼痛や病的骨折などを来し、患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる。

 骨転移を起こした部位では、腫瘍により破骨細胞が活性化し、骨吸収が異常に亢進している。近年、破骨細胞の活性化には、破骨細胞や破骨細胞前駆細胞の表面に発現するNF-κB活性化受容体(RANK)と、そのリガンド(RANKL)によるシグナル伝達が関与していることが明らかになった。そこで、RANKLに結合するヒト型IgG2モノクローナル抗体として開発されたのがデノスマブ(商品名ランマーク)である。多発性骨髄腫や固形癌骨転移による骨病変に対し、120mgを4週間に1回、皮下投与する。

 一方で、デノスマブは骨からのカルシウム(Ca)の溶出を抑制する作用もあるため、低Ca血症を起こす恐れがある。実際、同薬の第3相臨床試験では、5.8%(165/2841例)の患者で低Ca血症が報告された。また、2012年4月17日の発売から8月31日までの間に、死亡例2例を含む重篤な低Ca血症が32例報告されている(推定使用患者数約7300人)。そのため9月に添付文書が改訂され、重篤な低Ca血症の発現を軽減するため、(1)投与前および投与後頻回に血清補正Ca値を測定すること、(2)CaとビタミンDの経口補充の下で同薬を投与すること─といった警告が記載された。毎日少なくともCaとして500mgおよび天然型ビタミンDとして400IUを投与することが推奨されている。

 Caおよび天然型ビタミンDの補充には、一般用医薬品(OTC薬)やサプリメントなどを用いる。デノスマブの臨床試験では、1日量(2錠)にCa610mgと天然型ビタミンD3(コレカルシフェロール)400IUを含む第2類医薬品の新カルシチュウD3が用いられたが、同等の成分を配合するOTC薬は複数販売されている(表)。サプリメントはOTC薬に比べて安価で済む一方、推奨量と同等のCaとビタミンDを摂取する上で服用方法が煩雑になる場合があり、服薬アドヒアランスの維持に留意する必要がある。

表 デノスマブ投与時のカルシウムおよびビタミンDの補充に用いるOTC医薬品の例

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 また、腎機能障害がある患者では、ビタミンDの活性化が障害されているため、腎機能に応じてカルシトリオール(ロカルトロール他)などの活性型ビタミンDを使用し、Caについては腎臓専門医に相談することが望ましいとされている。

 低Ca血症の初期症状には、手指や唇、舌のしびれのほか、手足の震えや筋肉の脱力感、痙攣、不整脈などがある。これらの症状を認めた場合は速やかに受診するよう指導すべきである。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Aさんが来週から使われるお薬は、ランマークという注射薬ですね。このお薬は、骨を壊す細胞に作用して、骨が壊れるのを防ぎます。ただ、血液中のカルシウム濃度を下げる副作用があるので、それを防ぐために、決められた量のカルシウムと、カルシウムの吸収を良くするビタミンDを補う必要があります。サプリメントでも問題ありませんが、決められた量をきちんと補うには、両方の成分を含むお薬をお勧めします。当店では、1日1回の服用で済むこちらの2種類をご用意しております。

 血液中のカルシウム濃度が低くなると、手先や唇にしびれを感じたり、筋肉に力が入りにくくなったりします。ランマークの注射を始めた後、これらの症状が現れた場合は、すぐに病院を受診するようにしてください。

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