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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A) GLP1受容体作動薬が追加された糖尿病患者
日経DI2012年12月号

2012/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年12月号 No.182

出題と解答 : 後藤 洋仁
(横浜市立大学附属病院[横浜市金沢区]薬剤部)

A1

(3)初回使用の直前のみ空打ちを行い、2回目以降は空打ちを行わない。

 エキセナチド(商品名バイエッタ)は、2010年12月に発売されたグルカゴン様ペプチド1(GLP1)受容体作動薬である。GLP1は、小腸下部のL細胞から分泌される「インクレチン」という消化管ホルモンの一つ。GLP1には、血糖依存的に膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促す作用がある。つまり、血糖値が低いときにはほとんど作用せず、血糖値が高いときにインスリン分泌を強める。

 さらにGLP1には、高血糖時におけるグルカゴンの分泌抑制作用や、胃内容物の排出抑制作用、中枢性の食欲抑制作用などといった、糖尿病の治療にプラスに働く様々な作用がある。ここに注目し開発されたのがインクレチン関連薬であり、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)阻害薬とGLP1受容体作動薬がある。

 DPP4阻害薬はGLP1を不活性化するDPP4の活性を抑える薬剤で、GLP1受容体作動薬はGLP1と類似の構造を持つが失活しにくい薬剤である。11月中旬現在、DPP4阻害薬で5剤6銘柄、GLP1受容体作動薬で2剤が国内で使用可能となっている。

 エキセナチドはトカゲの一種の唾液から単離されたペプチドExendin-4と同じアミノ酸配列を有する化合物で、GLP1に対応する部分のアミノ酸配列は、53%の相同性を示す。血中濃度半減期(T1/2)は約1.3時間である。

 エキセナチドは自己注射剤であるが、インスリン製剤とは異なり、細かな単位設定が必要ないのが大きなメリットの一つである。1回5μgまたは10μgを皮下注射する。投与のタイミングは1日2回、朝夕食前60分以内である。用法設定の参考となった海外の臨床試験によると、エキセナチドを食事60分前、15分前、食直前に投与したときは、いずれの場合も食後血糖値の上昇が認められなかった。しかし、エキセナチドを食後に投与した場合は食後血糖値が上昇した。このため、患者には、食前投与のタイミングを守るよう指導することが重要である。

 また、デバイスの正しい使い方を指導することも大切である。エキセナチドでは、初回使用時に空打ちを1回行えば、2回目以降は空打ちを行わなくてもよい。5μg投与用のバイエッタペンでは、1本に56回分の薬液が含まれているが、不必要に空打ちを続けると56回使用できなくなるので注意が必要である。

 空打ちは、カートリッジ内の空気を抜き、ピストン棒とゴム栓を密着させて薬液がきちんと出ることを確認するために行う。Gさんが言うようにインスリン注射では毎回、使用前に空打ちをしなくてはならない。一方、バイエッタペンは、適切に保管し初回使用時に空打ちを正しく行えば、2回目以降は投与量の精度が保たれる。

 ただし、エキセナチドでも、カートリッジに非常に大きな気泡が入ってしまった場合は、2回目以降であっても気泡を取り除くために空打ちをする。バイエッタペンに注射針を付けたまま保管すると、気泡が入ることがある。注射針は使用の都度使い捨てにし、保管時には針を付けたままにしないようにする。

 なおエキセナチドの保管は、未使用の製剤は冷蔵庫で、使用中の製剤は25℃以下に保つ。冷蔵庫での保管は、凍結させないように注意が必要である。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 確かにインスリン注射では毎回空打ちをしますが、Gさんに今回処方されたバイエッタという注射薬は、毎回空打ちする必要はありません。ただし、初めて使う直前に1回だけ空打ちをする必要があります。1回空打ちを行えば、2回目以降は空打ちをしなくても、決められた投与量がきちんと出ることが確認されています。

 空打ちは、注射器の気泡を抜き、薬液がきちんと出ることを確認するために行うものです。バイエッタの場合、注射後に注射針を抜いて保管していれば、大きな気泡は入りません。気泡が入らないようにするため、保管時は注射針を抜くことを忘れないでください。

 ただ、注射器に大きな気泡が入ってしまった場合は、2回目以降の使用でも、空打ちをして気泡を取り除いてくださいね。

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