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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A) 喘息とCOPDの違いを聞く患者家族
日経DI2012年12月号

2012/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年12月号 No.182

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(1)喫煙、(3)好中球、(5)労作性

A2

(2)長時間作用型抗コリン薬、(4)長時間作用型β2刺激薬

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。このCOPDと気管支喘息は、いずれも慢性の炎症性呼吸器疾患で、閉塞性換気障害により呼吸困難症状が見られる。

 ただし、喘息では主としてアレルギー反応により気道炎症が惹起されるのに対し、COPDはたばこの煙を主とする有害物質を長期にわたって吸入することで、炎症が引き起こされると考えられている。疫学的には、喘息は小児から高齢者まで全年齢層で発症するが、COPDは40歳以上の中高年層に多いという特徴がある。

 臨床的には、喘息は可逆性のある気道狭窄で、発作性の咳や呼吸苦を呈し、日内変動(夜から早朝にかけて発作が起こりやすい)や季節変動がある。一方、COPDは喘息に比べて可逆性に乏しいため、発作性に症状が出ることは少なく、労作時に息切れなどの症状が強く出る。

 病理組織学的には、喘息はCD4陽性T細胞から放出されるTh2系サイトカインにより局所に誘導される好酸球や肥満細胞による気道炎症であるのに対し、COPDにはCD8陽性T細胞やマクロファージ、好中球が関与しているとされる。

 そのため、両疾患の薬物治療に使用される薬剤は異なっている。好酸球性の炎症疾患である喘息の管理は吸入ステロイドが中心で、これにロイコトリエン受容体拮抗薬、気管支拡張薬、抗アレルギー薬などを組み合わせる。一方のCOPDの管理には気管支拡張薬が用いられる。気管支拡張薬には抗コリン薬、β2刺激薬、メチルキサンチンの3種類があるが、2009年に発表された日本呼吸器学会の『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版』では、安定期のCOPDに対する第一選択薬として、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)または長時間作用型β2刺激薬(LABA)が推奨されている。これに、労作時の呼吸困難など必要に応じて短時間作用型の気管支拡張薬(SAMA、SABA)を使用する。前立腺肥大や緑内障を併存していて抗コリン薬を使えない患者には、SABAやLABAが用いられることが多い。

 以上のように、COPDと喘息は全く異なる疾患であり、薬物治療も異なると考えられてきた。しかし喘息が重症化して気道のリモデリングなどにより気流閉塞の可逆性が失われた症例、喘息とCOPDを合併している症例、重症のCOPDで好中球に加えて好酸球も関与している症例など、典型例と異なり両疾患の鑑別が難しい症例も少なくない。実際、両疾患の適応を持つ薬剤もある。

 さて、今回Cさんに処方されたインダカテロールマレイン酸塩(商品名オンブレス)は、COPDの適応で11年9月に発売されたLABAで、24時間気管支拡張効果が持続するのに加えて、投与後5分で有意な呼吸機能改善効果を示すとされる。同薬は吸入用カプセルであり、必ず専用の吸入用器具(ブリーズヘラー)を用いて吸入する。カプセルであることから、間違えて内服することのないように注意したい。また過度に使用を続けた場合、不整脈、心停止を起こす恐れがあるので、使用が過度にならないように指導する。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 確かにCOPDと気管支喘息は、両方とも呼吸が苦しくなる病気で、違いが分かりにくいですよね。

 COPDは咳や痰が出て、階段を上ったりしたときに息苦しくなりますが、じっとしているときにはあまり症状が出ません。一方の喘息は、夜中など寝ているときにも発作が起こります。また、喘息はアレルギーで起こりますが、COPDはたばこの煙など有害な物質を吸い込むことによって起こります。

 ですから、COPD治療の第一歩は何と言っても禁煙です。私どもの薬局にも禁煙補助薬がありますし、一度、医師の禁煙指導を受けられてもよいと思います。

 今回、お父様に処方されているオンブレスは、狭くなった気管支を広げるお薬です。カプセルに入った吸入薬ですので、決して内服しないでくださいね。副作用が起きやすくなるので、吸入し過ぎないようにしてください。これから、お父様もご一緒に吸入方法について詳しくご説明したいのですが、お時間は大丈夫でしょうか。

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