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医師が語る 処方箋の裏側
抗うつ薬と抗不安薬を使ううつ病以外の精神疾患とは
日経DI2012年12月号

2012/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年12月号 No.182

 みなさんは、右の処方箋から患者さんの疾患をどう推察するだろうか。

 北川優子さん(仮名、30歳)は、憔悴しきった表情で当院を訪れ、「電車に乗れなくなった」と訴えた。1週間ほど前、飛行機の搭乗中に過呼吸や動悸、強い不安、冷や汗などが生じるパニック発作を経験してから、飛行機はもちろん電車にも乗れなくなったという。北川さんに対する右の処方は、パニック障害の典型的な処方パターンだ。不安が強いうつ病でも、同じような処方となる場合がある。

 数ある抗不安薬の中でもアルプラゾラム(商品名ソラナックス、コンスタン他)は、強めの抗不安効果が一番早く発揮されるという印象があり、パニック発作時の頓服薬としてよく用いられる。

 当初はアルプラゾラムのみで様子を見たが、「仕事中も不安になる」と言うので、長時間作用型の抗不安薬であるロフラゼプ酸エチル(メイラックス他)を追加した。ロフラゼプ酸は、弱めの効果が長く、半日程度持続するという印象。朝1回の服用で日中の不安を程良く和らげるので使い勝手が良い。なお、夜間の抗不安効果を期待して夕1回の使用で睡眠薬のように用いたり、朝夕1回ずつの処方も多い。

 しかし、それでも日中の不安が残るとのこと。そこで選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のパロキセチン塩酸塩水和物の徐放錠(パキシルCR)を加えた。SSRIには抗うつ効果のみならず、抗不安効果もある。4~6週間服用を続けないとしっかりした抗不安効果を発揮しないことが多いため、徐々に効かせるつもりで追加した。パキシルCRの用法は1日1回夕食後とされているが、実際には朝に使うことも多い。最後に、抗うつ薬や抗不安薬の作用時間や効果には個人差があり、ここに挙げた通りにはならないケースもあることは付け加えておきたい。(談)

山田 康氏
Yamada Yasushi
1993年東京医科歯科大学医学部卒業。井之頭病院(東京都三鷹市)を経て2001年に慶應義塾大学医学部精神神経科助手。07年から法務省の矯正施設の医療課長として勤務後、08年に秋葉原ガーデンクリニック(東京都千代田区)を開業。専門は児童思春期精神医学で、摂食障害や不登校の若年者の診療経験が豊富。

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