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もっとカッコいい薬剤師
薬剤師の「ハンドパワー」を侮るなかれ
日経DI2012年11月号

2012/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年11月号 No.181

 はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る─。これは、石川啄木『一握の砂』の有名な一節である。読者の中で、「四六時中働いているのに生活が苦しい」なんていう人はほとんどいないだろうが、自分の手をまじまじと見つめたことはあるだろうか。

 薬剤師の手は、実に芸達者で働き者だ。スパーテルや軟膏ヘラ、メートグラスを操り、時には何百錠もの錠剤をPTPシートから外し、一日中乳棒を回すこともある。患者さんに薬を手渡したり、吸入薬やインスリン製剤を実際に手で持って使い方を説明したりもする。在宅業務では患者さんの手をそっと包み込んだり、背中をさすることだってあるかもしれない。薬剤師にとって、手は大事な商売道具、いや、最高の“相棒”なのだ。手に勝る道具はないともいえるだろう。

 だからこそ、毎日のケアは欠かせない。カッコいい薬剤師を目指す者であれば、優しく手を洗い、ハンドクリームを入念に擦り込んで保湿し、おまけにネイル保護液で爪もいたわってほしい。最良の道具である手は、最高に美しくなければならないのだ。

 さらに、美しい手をより美しく見せる秘訣は、「手の動き」にある。まるで熟練のバーテンダーかスーパーマジシャン(まさにハンドパワー)を思わせる、一切無駄のない流れるような手の動き─そんな手つきで調剤すれば、同僚や待合室の患者さんがうっとり見とれてしまうこと請け合いである。

 薬剤師が手(の動き)を磨けば磨くほど、調剤技術の神髄に近づくことができるはずである。「嘘だぁ」と思った読者は、ぜひ一度、自分の手をじっと見つめてみてほしい。猫の手も借りたいほど忙しいと思っていても、実はおぬしの“手”抜きが原因かもしれないぞ……なんてね。 (ジャック)

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