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CaseStudy
セガミ薬局江津店(熊本市南区)
日経DI2012年10月号

2012/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年10月号 No.180

 「ハイリスク薬の投薬時に、シートを手元に置いて患者から聞き取りを行うことで、重要事項の確認漏れが減っただけでなく、薬歴の記載内容のばらつきも少なくなった」。こう手応えを語るのは、セガミ薬局江津店(熊本市南区)薬局長で管理薬剤師の山田嘉貴氏だ。

 ハイリスク薬を服用している患者には、副作用やその初期症状を伝え、そうした症状や検査値の変動などがないかを常に確認する必要がある。しかし、確認事項が多岐にわたるため、確認・記載漏れが起こりやすく、安全管理の質の担保が課題となっていた。

 これを解決するために山田氏は、セガミ薬局の運営会社であるセガミメディクスの九州地区の10店舗と協力して、ハイリスク薬の服薬指導時に活用するチェックシートを作成した。

 作成に当たって、まずは各店舗の薬剤師にアンケートを実施。その結果、「治療領域別に分かりやすくまとめてほしい」「常用量が書いてあると助かる」「検査値の判断がしやすいように、基準値を添えてほしい」「簡単かつスムーズに投薬や薬歴記載ができるようにしてほしい」といった意見が寄せられた。

シート活用で患者も話しやすく

 これらの意見を踏まえ、開発したのが表2のようなシートだ。治療領域と薬剤の分類(表1)ごとに、薬剤の情報、共通チェック項目、薬剤によって異なるチェック項目の3つを、A4判1枚に収まるように配置した。掲載する薬剤は、使用頻度や在庫状況に応じて、各店舗ごとに追加・削除する。

表1 セガミ薬局江津店で作成したチェックシートの治療領域と薬剤の分類

店舗で在庫している薬剤数やチェック項目数などを勘案して、例えば抗癌剤は5種類、免疫抑制剤は2種類、不整脈用薬は4種類というように分割している。

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表2 血液凝固阻止薬のチェックシート

チェックシートは、薬剤の情報、共通チェック項目、薬剤によって異なるチェック項目の3つの部分で構成されている。

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 薬剤によって異なるチェック項目は、薬剤名の下に番号を記すようにした。例えば、アスピリンの薬剤名の下にある「〈1、2、3、8〉」は、薬剤によって異なる項目の「1皮膚障害」「2血球」「3潰瘍」「8喘息発作」について確認する必要があることを示している。

 同店では、処方入力時に、薬歴からアレルギー・副作用歴、併用薬、既往歴などの情報を抽出した「薬歴支援シート」を紙に印刷している。これとチェックシートを投薬カウンターに並べ、チェックシートに沿って患者に質問する(写真1)。

写真1 チェックシートを使ってハイリスク薬の服薬指導を行う

投薬カウンターで、チェックシートに書かれた項目に沿って、患者に確認していく。チェックシートは、使用頻度や在庫状況に合わせて作成した。セガミ薬局江津店では、現在のところ、9の治療領域で全20種類(表1)のチェックシートを作っている。
写真:浦川 祐史

 SOAP形式で薬歴を記載している同店では、チェックシートの項目は基本的にO情報とし、それ以外に患者の訴えがあればS情報として薬歴支援シートに手書きで書き込んでいる。

 患者に確認できた項目は、チェックシートのボックスに印を付ける。症状や検査値などを聞き取った場合は、該当項目を丸で囲んだり、手書きで書き込んだりする。

 チェックシートの運用は今年7月上旬に始まったばかりだが、「投薬カウンターでチェックシートを使いながら質問をしていくと、患者の協力を得やすいと感じた。それまであまり話ができずに終わっていた患者から、色々な情報を聞けたケースもあった」と山田氏は話す。

 その一方で、忙しい時間帯はチェックシートを用意することが負担になったり、1回に多種類のハイリスク薬を投薬する際には複数のシートを使用することになり、かえって煩雑になったなど、新たな課題も浮かび上がってきた。

 共同開発した店舗の中には、複数のシートをラミネート加工して投薬台に置いておき、チェック内容は薬歴支援シートに書き込むようにしたところもある。「今後は、直に書き込むシートと、ラミネート加工したシートの両方を用意して、状況に応じて使い分ける形にすることを検討している」(山田氏)という。

チェック項目は自動転記

 チェックシートを使って聞き取った内容を、いかにスムーズに薬歴に記載するかという点にも工夫を凝らした。

 電子薬歴を作成する際、キー入力欄で薬剤名を選択すると、チェック項目が自動でO情報に転記されるように、ハイリスク薬専用のマスタを作成したのだ(図2)。「専用マスタを作成したことで、転記漏れや記載ミスがなくなり、転記のスピードも上がった」と山田氏は話す。また、以前は薬剤師ごとに書き方が異なり、過去のデータを参照しにくいこともあったが、マスタを使うことで、データの比較確認が容易になったという。

 なお同店では、薬歴支援シートに手書きで書いたS情報は、スキャンして薬歴システムに取り込んでいる。

図2 チェックシートの情報を薬歴に転記する工夫

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全国の店舗での活用目指す

 「チェックシートの導入で、服薬指導のレベルが向上し、薬歴も充実してきた。それが次回以降のより良い服薬指導につながっている」。シートの効果をこう語る山田氏は、「さらに改良を重ね、九州地区のみならず、全国の店舗に広めていきたい」と力を込める。

「今回作成したチェックシートを、九州地区のみならず全国の店舗に広めていきたい」と語るセガミ薬局江津店の山田嘉貴氏。

 セガミ薬局を運営するセガミメディクスは、2008年にセイジョーと経営統合し、ココカラファインの傘下企業となった。さらに来年4月には、ココカラファイン傘下のドラッグストア・調剤薬局事業を手掛ける子会社6社が、セガミメディクスを存続会社として合併し、ココカラファイン ヘルスケアとして生まれ変わる。「合併で大きな組織になった後も、広く活用してもらえるようなシートに磨き上げていきたい」と山田氏は語っている。(佐原 加奈子)

今年5月の「ココカラファイン合同フォーラム」で、山田氏らはチェックシートの開発を報告。優秀な演題として高く評価された。(写真提供:セガミメディクス)

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