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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A) 抜歯前のビスホスホネート製剤の休薬基準
日経DI2012年10月号

2012/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年10月号 No.180

出題と解答 : 伊藤 雅之
(コスモファーマ東京[福島県郡山市])

A1

(2)経口BP製剤の投与期間が3年未満の患者(顎骨壊死の危険因子あり)
(4)経口BP製剤の投与期間が3年以上の患者

A2

侵襲的歯科治療の3カ月前から中止し、術創が再生粘膜上皮で完全に覆われる2~3週間後か、十分な骨性治癒が期待できる2~3カ月後から再開する。

 ビスホスホネート(BP)製剤関連顎骨壊死(BRONJ)の典型症状は、疼痛を伴う顎骨の露出である。顎のしびれやうずき、歯の動揺、軟組織の腫脹などを認めることもある。発生機序は明らかになっていないが、BP製剤の骨代謝回転抑制作用や血管新生抑制作用が関与する可能性が指摘されている。

 日本骨粗鬆症学会や日本口腔外科学会などから成る合同委員会は2010年、BRONJに対するポジションペーパー(参考文献1)をまとめた。それによると、BRONJの危険因子として、(1)BP製剤による要因(窒素含有製剤や注射薬の使用)、(2)局所的要因(抜歯やインプラント埋め込みなどの侵襲的歯科治療、口腔衛生状態の不良)、(3)全身的要因(癌、腎透析、糖尿病、肥満など)、(4)先天的要因(特定の遺伝子多型)、(5)その他(ステロイドなどの特定の薬剤の使用、喫煙、飲酒)─などが挙げられる。

 BP製剤の投与中に抜歯などの侵襲的歯科治療を行う場合には、これらの危険因子を踏まえた対応法が提唱されている(図)。経口BP製剤を服用中の患者では、投与期間が3年未満かつ前述の危険因子がない場合は、原則として休薬は不要とされる。一方、経口BP製剤を3年以上服用している患者や、3年未満であっても危険因子がある患者に関しては、処方医と歯科医の間で骨疾患の状況と侵襲的歯科治療の必要性を検討し、休薬の要否を決定する。休薬する場合は、歯科治療前は少なくとも3カ月間中止し、治療後は術創が再生粘膜上皮で完全に覆われる2~3週間後か、十分な骨性治癒が期待できる2~3カ月後に再開することが望ましいとされている。

図 BP製剤を使用中の患者が侵襲的歯科治療を受ける際の対応1)

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 なお、注射用BP製剤については、投与を継続し、原則として侵襲的歯科治療を避けることとされている。

 Kさんにミノドロン酸水和物(商品名ボノテオ、リカルボン)を処方した整形外科医は、服用期間、他の危険因子、骨粗鬆症治療の必要性を勘案した上で、BP製剤を継続したまま抜歯してよいと判断したのだろう。一方、Kさんの友人は、BP製剤の投与期間が3年以上だったり、他の危険因子を持っていたと推測される。

 BRONJを防ぐためには、危険因子をできるだけ取り除くことが重要である。口腔衛生状態を良好に保つよう指導し、定期的な歯科検診を促すようにしたい。


1)ビスフォスフォネート関連顎骨壊死検討委員会「ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー」(和文簡略版、2011年11月部分改訂)

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 「顎の骨が溶けるかもしれない」とご友人に聞いて、不安に思われたでしょうね。このお薬は、服用中に抜歯すると、ごくまれにそのような副作用を起こすといわれています。中でも、3年以上服用している人や、癌や糖尿病の患者さんなどは、副作用が起こりやすくなるので、抜歯の前に一時的にお薬をお休みすることがあります。

 ただ、Kさんはお薬を飲み始めて1年ほどですし、先生は副作用のリスクと骨粗鬆症の治療の必要性を吟味した上で、お薬を続けたまま抜歯してよいと判断されたのでしょう。ですからお薬はきちんと服用してくださいね。万一、歯のぐらつきや歯茎の腫れを感じたら、すぐに先生方か私たちに相談してください。副作用を防ぐためにも今度、歯医者さんで正しい歯磨きの仕方を教わって、口の中をきれいに保つよう心掛けてください。

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