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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A) 急性鼻副鼻腔炎へのステロイド点鼻薬の可否
日経DI2012年10月号

2012/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年10月号 No.180

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(3)10日間以上

A2

(1)使用を継続してもよい

 鼻腔と副鼻腔は自然孔と呼ばれる細いトンネルでつながっており、これを介して副鼻腔の換気が行われるとともに、副鼻腔内の分泌物や異物が鼻腔に送り出されている。しかし、ウイルスや細菌が鼻腔に侵入すると、鼻腔粘膜が炎症を起こし、自然孔が塞がる。すると、副鼻腔粘膜の自浄作用が損なわれて、炎症が引き起こされる。このほか、自然孔が塞がる前に、ウイルスや細菌が直接、副鼻腔に侵入して炎症を起こすこともある。

 急性鼻副鼻腔炎は、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う。急性副鼻腔炎と呼ばれることもあるが、副鼻腔における急性炎症の多くは急性鼻炎に引き続き生じ、ほとんどが急性鼻炎を伴っているため、最近は急性副鼻腔炎(acute sinusitis)ではなく急性鼻副鼻腔炎(acute rhinosinusitis)という疾患名が適切であるとされている。

 細菌による急性鼻副鼻腔炎は、ライノウイルスやアデノウイルス、エコーウイルスなどによるウイルス性の鼻副鼻腔炎に続いて発症することが多い。急性ウイルス性鼻副鼻腔炎は、特別な治療をしなくても10日以内に治癒することから、膿性鼻汁が10日間以上持続する場合、または5~7日後に悪化をみる場合は、細菌の二次感染による急性細菌性鼻副鼻腔炎と診断される。

 細菌性鼻副鼻腔炎は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスが3大起炎菌とされているため、抗菌薬はそれらに感受性を持つペニシリン系薬が第一選択とされている。

 また、Tさんに処方されたレボフロキサシン水和物の1日1回投与製剤(商品名クラビット)やメシル酸ガレノキサシン水和物(ジェニナック)、モキシフロキサシン塩酸塩(アベロックス)などのニューキノロン系薬は、ペニシリン耐性菌にも良好な感受性を示す。そのためニューキノロン系薬は、中等症でペニシリン系薬による治療効果がみられない成人症例の第二選択薬、または重症例に対する第一選択薬の一つとして推奨されている。

 なお、3大起炎菌での感受性が低いとされるマクロライド系薬だが、15員環のアジスロマイシン水和物(ジスロマック)はインフルエンザ菌に対して良好な感受性を持つことや、高用量単回投与が可能であることから、細菌性鼻副鼻腔炎に有効とされる(適応は成人のみ)。

 さて、Tさんが「できれば使いたい」と希望しているステロイドの点鼻薬であるが、海外では単独あるいは抗菌薬との併用で急性鼻副鼻腔炎の治療効果が認められている。ただし、Tさんの使用しているベクロメタゾンプロピオン酸エステルの点鼻薬(アルデシンAQネーザル他)の適応疾患には鼻副鼻腔炎が含まれていない。そのため今回、医師は同薬を処方しなかったものと推察されるが、Tさんがアレルギー性鼻炎の治療のために処方されているステロイド点鼻薬を抗菌薬と併用することには問題がなく、急性鼻副鼻腔炎の治療にも有効と考えられる。

『急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版』(日本鼻科学会編)

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 鼻が詰まって息苦しかったり、頭痛がしたり、つらいですね。

 鼻の奥には、鼻腔と副鼻腔という空間があって、その間は細いトンネルでつながっています。急性鼻副鼻腔炎は、鼻腔から副鼻腔に、空気と一緒にウイルスや細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。

 炎症がありますと熱が出ますし、副鼻腔は額の辺りにも広がっていますので、鼻の病気ですが頭痛がすることがあるのです。

 Tさんが普段使っているステロイドの点鼻薬は、アレルギー性鼻炎の治療薬ですが、炎症を抑える効果があり、海外では抗生物質と一緒に急性鼻副鼻腔炎の治療に用いられています。ですから、安心して一緒に使ってください。

 抗生物質のクラビットは1日1回服用で5日分出ています。症状がよくなっても、5日間はきちんと飲んでくださいね。

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