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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A) 膵石に出された抗てんかん薬
日経DI2012年10月号

2012/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年10月号 No.180

出題と解答 : 笹川 大介
(はらだ薬局[鹿児島県薩摩川内市])

A1

(3) ミノアレ(一般名トリメタジオン)

A2

トリメタジオンは、体内で脱メチル化されてジメタジオンとなる。ジメタジオンは有機弱酸で、膵石の主成分である炭酸カルシウムを溶解する作用がある。

 膵石は、膵臓で産生された膵液が通る「膵管」という管の中にできる結石である。慢性膵炎の代表的な合併症の一つで、慢性膵炎患者の40~50%にみられる。膵石の主成分は炭酸カルシウムである。膵液がうっ滞して蛋白質が析出し、カルシウムがその周囲に沈着して膵石が形成されると考えられている。以前は、慢性膵炎が進行した末期像で膵石がみられるとされてきたが、近年は画像診断技術の進歩により、病期が早い段階で膵石が見つかるケースが増えてきた。

 膵石は、膵管内の膵液の流れをせき止めて膵管内圧を上昇させるため、強い腹痛や背部痛の原因となるだけでなく、炎症を惹起して慢性膵炎の病態を悪化させることがある。このため、膵石による腹痛が長引いたり、急性増悪を繰り返す場合は、膵石を取り除く治療が必要となる。

 膵石の治療としては、現在、「体外式衝撃波結石粉砕法(ESWL)」や内視鏡治療が広く行われている。ESWLは、体の外から膵石に衝撃波を当てて膵石を細かく砕く治療法である。侵襲度が低く、繰り返し施行できるというメリットがある。膵石の完全消失率は、ESWL単独では53.3~81.8%、内視鏡治療とESWLの併用では76~100%と高い(参考文献1)。

 一方で、ESWLや内視鏡治療で膵石除去が困難なケースなどでは、外科手術や薬物療法が考慮される。薬物療法では、てんかんの小発作治療薬であるトリメタジオン(商品名ミノアレ)が適応外で使われる。トリメタジオンは、肝臓の薬物代謝酵素チトクロームP(CYP)450によって脱メチル化され、ジメタジオンとなる。ジメタジオンは有機弱酸であり、膵液中に排泄されると、膵石を構成する炭酸カルシウムを溶解する働きがある。

 実際、膵石患者41例にトリメタジオンを投与した国内の臨床試験では、29例(71%)に膵石溶解を認めた(参考文献2)。なお、膵石が溶解した29例のうち、12例は膵石数の減少や大きさの縮小が50%以上の「明らかな溶解」で、17例はそれよりも少ない「部分的な溶解」だった。また、アミラーゼやトリプシンなどの消化酵素を産生して十二指腸に分泌する膵臓の「外分泌機能」に関するデータがあった20例では、7例(35%)で外分泌機能が正常化した。疼痛があった26例では、21例(81%)で疼痛が消失した。さらに経過観察期間中、トリメタジオンによる重大な副作用は認められず、副作用による投与中止例はなかった。

 この臨床試験では、観察期間が8~260カ月に及び、トリメタジオンによる膵石の溶解効果は、多くの場合トリメタジオンの服用開始から6カ月以上たってから出現していた。投与方法は、最初の1~2カ月間はトリメタジオンを1日0.6g、3回に分けて毎食後に投与し、副作用がないことを確認してから1日0.9gに増量し、維持量とした。

 トリメタジオンによる薬物療法は、効果の出現までに長期間を要する。このため、Cさんには、長期間にわたってしっかりとトリメタジオンを服用するよう、服薬指導することが必要である。

1)日本膵臓学会
  「膵石症の内視鏡治療ガイドライン(2010年)」
2)胆と膵2005;26:889-96.

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 てんかんのお薬と聞いて驚かれたかもしれませんね。ただ、膵臓に石があるときは、ミノアレというてんかん患者さん向けの粉薬を使うことがあります。ミノアレは、膵臓が出す消化液に溶け込んで、消化液が通る管に詰まった石を徐々に溶かす効果があるといわれています。実際に、膵臓に石がある患者さんにミノアレを飲んでもらったところ、7割くらいの患者さんで、膵臓の石が溶ける効果がみられました。膵臓に石があると、背中の痛みの原因になります。部分的にでも膵臓の石が溶けると、痛みが緩和する効果が期待できます。

 ミノアレの効果はゆっくりと表れるので、長期間お薬を飲まなくてはなりません。飲み続ける上で何かお困りのことがありましたら、私どもにご相談ください。

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