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薬局なんでも相談室2
相談室2:パキシルCR錠の特徴は
日経DI2012年10月号

2012/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年10月号 No.180

 CRとはcontrolled releaseの略で、いわゆる徐放製剤のことです。CR錠の開発の目的は、大きく分けて(1)忍容性の向上を目指す、(2)服薬回数を減らして利便性を高める─で、どちらも治療からの脱落を減らす(=アドヒアランスを高める)ことが期待できます。

 ご質問のパキシルCR錠の主な目的は前者で、薬物血中濃度の上昇を緩やかにすることにより、投与初期に出現しやすい悪心(吐き気)や中枢性の副作用(眠気や不安)を減らせる可能性があります。

 実際、米国とカナダで実施された臨床試験では、CR錠は従来の速放錠と比較して、治療1週目における悪心の出現率が有意に低かったと報告されています。治療継続率も、CR錠は速放錠と比較して、有意に高かったとされています。ただし、CR錠も速放錠も用法は同じ(1日1回、夕食後に投与)ですので、利便性が高まるわけではありません。

 パキシルCR錠は、全体が腸溶性フィルムで覆われており、その内部は、有効成分を含む徐放層(親水性マトリックスで構成され、水が内部に浸透するとゲル化して薬物の放出が制限される)と、その表面積を減らして有効成分が溶け出るのをコントロールするためのバリアー層を組み合わせた構造になっています。腸溶性フィルムは、pH5.5以上で溶解するため、pHが低い胃内では薬物の放出は開始されません。十二指腸から小腸において外側のフィルムが溶け出し、薬物の放出が開始されます。さらに、徐放層とバリアー層との働きによって、ゆっくりと持続的に放出される仕組みになっています。

 パキシルCR錠では、速放錠の1.25倍の有効成分量が含まれるので、CR錠の25mgは、パキシル錠20mgに相当します。パキシルCR錠は、初回通過効果(薬物が腸から吸収されるとまず肝臓に入り、そこで代謝されて消失すること)を強く受ける分、有効成分が多めになっていると考えられます。

 うつ病やうつ状態に対する有効性は、速放錠とCR錠との間で大きな差はないと言ってよいでしょう。ただし、速放錠には、うつ病・うつ状態の他にパニック障害、強迫性障害、社会不安障害に対する適応が承認されていますが、CR錠で承認されているのはうつ病・うつ状態だけですので、注意が必要です。

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