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医師が語る 処方箋の裏側
気管支喘息の学童に モンテルカストを1週間
日経DI2012年9月号

2012/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年9月号 No.179

 気管支喘息の治療は、長期管理が基本。小児でもそれは同じだ。6~15歳の学童なら、年に数回軽い発作を起こす「間欠型」より重症の場合(治療ステップ2以降)は、吸入ステロイドを中心とする長期管理が診療ガイドラインで推奨されている。

 だが、気管支喘息の子やその保護者に聞いてみると、吸入ステロイドを続けるのは、医師が思っている以上に難しいようだ。秋風が吹いてきた頃、久しぶりに発作が出たといって受診した上田まゆみちゃん(8歳、仮名)もそうだった。「前に先生が渡した、吸う薬はどうしたの」と聞くと、咳が治まったのでやめたという。

 以前は「軽症持続型」と判断して吸入ステロイドを処方したまゆみちゃんに対して、再び同じ薬を処方しても、またやめてしまうかもしれない。そこで私は、治療をステップダウンして、「1週間頑張って飲もうね」と、ロイコトリエン受容体拮抗薬のモンテルカストナトリウム(商品名キプレス、シングレア)を7日分処方した。

 ロイコトリエン受容体拮抗薬は、既に起こっている発作を止める薬ではなく、長期管理薬に位置付けられている。だが、短期間の使用でも効果があることを示すランダム化比較試験(RCT)が行われている。

 間欠型気管支喘息の2~14歳の患者220人をモンテルカスト群(107人)とプラセボ群(113人)に分け、7日間投与したところ、医療機関への予定外の受診は、モンテルカスト群で有意に少なかった。症状スコアや、学校/保育所を休んだ日数も、やはりモンテルカスト群で有意に少ないという結果だった(Am J Respir Crit Care Med. 2007; 175: 323-9.)。

 まゆみちゃんは私との約束を守って1週間の治療コースを終了、幸い、その後は発作を起こさずに済んでいる。(談)

林 敬次氏
Hayashi Keiji
1973年大阪市立大学医学部卒業。大阪市内の病院や保健所での勤務を経て、79年より高槻赤十字病院(大阪府高槻市)に勤務。同病院リハビリテーション部長、小児科部長を経て、2007年、はやし小児科(大阪市城東区)を開業。専門は小児科、アレルギー科。エビデンスに基づく医療政策の実現を目指す「医療問題研究会」(http://ebm-jp.com/)でも活動している。

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