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DIクイズ2(A)
DIクイズ2(A) 昼より夜が高いパターンを示す高血圧
日経DI2012年8月号

2012/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年8月号 No.178

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(3)riser型

A2

(1)睡眠時無呼吸症候群、(3)糖尿病による自律神経障害、
(4)食塩の過剰摂取による循環血液量の増加

 Bさんの話から、Bさんは、自由行動下血圧測定(ambulatory blood pressure monitoring:ABPM)を受けて、昼間よりも夜間に血圧が高いと判明したと考えられる。通常、夜間血圧は昼間の血圧に比べて10~20%低下する。この正常な変動パターンをdipper型と言い、夜間の血圧下降が0~10%しかないパターンをnon-dipper型、逆に夜間血圧が昼間の血圧よりも上昇するパターンをriser型と言う。riser型は脳、心臓、腎臓などの臓器障害や心血管死のリスクがとりわけ高い(参考文献1)。riser型における脳卒中の危険性は、dipper型やnon-dipper型の2倍あるといわれ、脳卒中の独立したリスク因子とされる。さらにriser型は、認知症や脳萎縮とも関連している。Bさんはriser型に該当し、血圧をただ下げるだけではなく、血圧の日内変動パターンも是正することが重要である。

 riser型の原因には、(1)心不全や慢性腎不全、食塩過剰摂取などによる循環血液量の増加、(2)睡眠時無呼吸症候群、不眠、抑うつ状態などによる睡眠障害、(3)糖尿病などによる自律神経障害、(4)服薬中の降圧薬の効果減弱─などがある。Bさんがなぜriser型を示すのかは今後の精査が必要だが、主治医は、まずはさらに高い降圧効果を得るために、カンデサルタンシレキセチル(商品名ブロプレス)からアジルサルタン(アジルバ)へと降圧薬を変更したと考えられる。

 2012年5月に発売されたアジルサルタンは、アンジオテンシンIIのタイプ1受容体を選択的に阻害する新規アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)である。本態性高血圧患者を対象に、アジルサルタン投与群(311例)、カンデサルタン投与群(309例)に分け、16週間投薬した二重盲検比較試験では、アジルサルタン投与群においてカンデサルタン投与群に比べて有意に高い降圧効果が得られた(表)。また、アジルサルタン投与群では24時間を通じて降圧効果が得られることもABPMで確認された。

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 このためBさんの場合、アジルサルタンの投与によって昼間や夜間の高血圧が是正される可能性がある。さらに、アジルサルタンは夜間高血圧を下げて血圧の日内変動を正常に近づける効果もあるともいわれており、Bさんのriser型の日内変動に良い影響を及ぼす可能性がある。

参考文献
1)今月の治療 2003;391:43-5.
2)苅尾七臣『やさしい高血圧の自己管理 改訂版』(医薬ジャーナル、2011年)
3)日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2009』

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 夜中に血圧が高いことが分かったのですね。確かに、夜の血圧は昼よりも1~2割低くなるのが普通です。夜の血圧が高くなる原因には、食塩の取り過ぎや睡眠不足、糖尿病、血圧の薬の効果が夜に弱まるなど、色々なものがあります。それで先生は、まずはお薬をより強力なものに替えて血圧をしっかり治療しつつ、原因を明らかにするための検査を進めていこうとおっしゃったのだと思います。

 今回新しく出たアジルバというお薬は、1日1回飲むことで、昼も夜も血圧を下げる効果が続きます。今までお飲みだったブロプレスよりも効果が強く、1日の血圧のリズムを正常なパターンに近づける効果もあるのではないかといわれていますので、Bさんの状態に合うお薬だと先生はお考えになったのだと思います。

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