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薬局なんでも相談室1
相談室1: 脱法ハーブって何?
日経DI2012年8月号

2012/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年8月号 No.178

 脱法ハーブは、法的規制(麻薬、覚醒剤、指定薬物などが対象)を受けない化合物(粉末、液剤)を、乱用目的で乾燥した植物片に混ぜたものをいいます。脱法ハーブというのは俗称で、行政用語では、「違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)」と呼ばれています。

 脱法ハーブから検出される化合物の大部分は、図1のような合成カンナビノイドであることが明らかになっています。このほか、アンフェタミンやセロトニンの誘導体の構造を持つ化合物も検出されています。

図1 脱法ハーブの成分として検出されている合成カンナビノイドの例

 合成カンナビノイドは、中枢神経系を調節し、幻覚や幻聴、意識障害といった強力な精神作用と薬物依存を来し、大麻の精神活性物質であるΔ9テトラヒドロカンナビノールよりも強力な作用を示します。作用の発現は速く、吸煙して数秒で効果が現れます。

 厚生労働省の調査によれば、日本国内で違法ドラッグを販売しているのは2012年3月末で389店に上り、特に都内で急増したといわれています。04年に欧州で見つかったのを発端に、数年のうちに世界各地に出回るようになりました。繁華街の雑貨店でお香や芳香剤、観賞用植物などとして売られています。自動販売機やインターネットを通じて販売し、消費者宅まで配達する業者もあるようです。

 パッケージには使用方法として「絶対に吸引しないでください」と書かれていますが、実際には巻きタバコやパイプなどで吸煙されています。

 脱法ハーブの吸引による健康被害で問題になるのが、原因となる化合物の特定が難しく、その毒性の予測も難しいことです。覚醒剤やコカインは簡易的な検出キットがありますが、カンナビノイドなどは迅速な同定が難しく、適切な処置を行えない可能性があります。

 実は、脱法ハーブに混入している化合物は、抗癌剤や鎮痛薬を開発する際に合成されたものの、医薬品には至らなかったものを悪用しているケースが多いと指摘されています。さらにそこから側鎖や置換基が改変された類縁体が400種類以上あるともいわれ、ある化合物を法律で規制しても、側鎖を変えた別の化合物がすぐに作られて市場に出回るため、いたちごっことなってしまうのです。

 厚労省は7月1日、脱法ハーブに混入していた9種類の化合物を新たに指定薬物としました。指定薬物は、販売、輸入などを禁止するもので、麻薬とは違い、所持している消費者を取り締まるものではありません。そのため、東京都のように、知事指定薬として、条例で所持を規制する動きも見られます。

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