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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)抗凝固薬切り替え時の服薬方法
日経DI2012年7月号

2012/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年7月号 No.177

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(4)ワーファリン最終投与後、抗凝固薬未投与期間をおいて、 イグザレルトを開始。

 心房細動患者の脳卒中発症予防に対して使用できる経口抗凝固薬は、長らくワルファリンカリウム(商品名ワーファリン他)しかなかったが、2011年3月にダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(プラザキサ)が発売され、さらに12年4月にNさんに処方されたリバーロキサバン(イグザレルト)が発売された。

 ダビガトランは、血液凝固因子のトロンビンに結合し、フィブリノゲンからフィブリンへの変換を阻害することで抗凝固作用を示す抗トロンビン薬である。一方のリバーロキサバンは、血液凝固第Xa因子の働きを阻害し、トロンビンの生成を抑制することで抗凝固作用を示す抗Xa薬である。

 ワルファリンは、抗凝固作用に個人差が大きく、また同じ患者でも生活の変化や薬の相互作用などにより効果が変化することがあるため、定期的にプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)を測定して投与量を調整しなくてはならない。これに対し、ダビガトランとリバーロキサバンはPT-INRの測定やワルファリンのような細かな用量調整は必須ではない。

 また、ダビガトランとリバーロキサバンは、ワルファリンとは異なり、納豆などのビタミンKを多く含有する食品の摂取に気を使う必要がない。こうした使いやすさから、今後薬剤師がダビガトランやリバーロキサバンへの切り替え処方箋を目にする機会は増えると考えられる。

 Nさんのように抗凝固薬をワルファリンからリバーロキサバンに切り替える時に重要なのは、PT-INRの値によっては、ワルファリンもリバーロキサバンも投与しない期間(抗凝固薬の未投与期間)が生じることである。

 ワルファリンを用いる抗凝固療法では、患者の原疾患や危険因子などに応じてPT-INRの管理目標値(治療域)が定められている。ただ、現実にはワルファリンの服用下でもPT-INR値が治療域の下限を下回っている例は少なくない。そのような患者では、ワルファリンの中止後、すみやかにリバーロキサバンの服用を開始しても差し支えない。しかし、ワルファリン投与でPT-INRが治療域にコントロールされていた患者の場合は、ワルファリンの中止後、抗凝固薬の未投与期間を設け、PT-INRが治療域の下限を下回ってからリバーロキサバンを開始する。

 ワルファリンの抗凝固効果は通常、経口投与後48~72時間持続するが、これには個人差が大きいため切り替え時にはPT-INR値によるモニタリングが欠かせない。モニタリング期間中は、ワルファリンの休薬に伴い血栓塞栓症を起こすリスクと、ワルファリンの抗凝固効果が残っている状態でリバーロキサバンを追加することで出血を起こすリスクの両方に配慮しなければならない。

 Nさんは主治医にリバーロキサバンをまだ飲まないよう指示されていることから、主治医は抗凝固薬の未投与期間を設け、PT-INR値の推移を見ようとしていると推測される。Nさんには、リバーロキサバンは医師の指示があるまで飲み始めてはいけないことを十分に理解してもらうことが大切である。また、納豆などのビタミンK含有食品は、ワルファリンによる抗凝固作用が継続している間は、引き続き食べてはいけないことも伝える必要がある。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 先生は、新しいお薬は血液検査をしてから飲み始めるようにとおっしゃったのではないかと思います。実は、ワーファリンは中止してからも効果がしばらく続きます。どれくらい続くかには個人差があるので、血液検査をしないと、新しいお薬を始める時期は決められないのです。今、ワーファリンの効果が残っているのに、新しいお薬を飲み始めてしまうと、血液をさらさらにする効果が強くなりすぎて危険ですから、新しいお薬は先生の指示があるまでは絶対に飲まないでくださいね。

 それから、納豆などビタミンKを多く含む食品も、ワーファリンの効果が残っている間はお控えください。血液検査でOKが出て、新しいお薬を飲み始めたら、納豆などをお召し上がりになっても大丈夫ですよ。

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