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医師が語る 処方箋の裏側
痒みや赤みのあるざ瘡にプロトピックを使う理由
日経DI2012年7月号

2012/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年7月号 No.177

 「にきびが治らないんです」。山本祐介さん(仮名、24歳)は1年ほど前ににきび(ざ瘡)が悪化。近医でアダパレンの外用薬(商品名ディフェリンゲル)や外用抗菌薬などによる治療を受けたが、よくならず当院を受診した。

 山本さんは中等症の成人ざ瘡で、耳の前から頬にかけてと額に、面皰と紅色丘疹を認めた。皮膚は赤くかさついており、尋ねてみると案の定、痒みも感じていた。

 皮膚の「かさつき」は、乾燥肌で片付けてしまいがちだが、実は軽い皮膚炎の表れであることが多い。私は山本さんのような皮膚炎を伴うざ瘡に対して、ディフェリンゲルに加えて、炎症を抑えるために、アトピー性皮膚炎の治療薬である外用のタクロリムス水和物(プロトピック軟膏0.1%)をよく併用する。

 プロトピック軟膏はざ瘡と似た「酒さ」によく効くことが知られている。当初は、プロトピック軟膏により炎症を抑えることで、ディフェリンゲルの副作用(皮膚の乾燥、不快感)を緩和する目的で使い始めたが、ざ瘡自体が改善する例も多いと感じている。ただし、プロトピック軟膏の免疫抑制作用による細菌感染には注意が必要で、膿疱が多ければ内服の抗菌薬を併用する。奏効率は8割以上という印象だ。

 薬の使い方は、入浴後に、プロトピック軟膏を顔の赤みや痒み、かさつきがある部分全体に薄く塗布する。その際、面皰や紅色丘疹部分に重なっても構わない。そして、就寝前に、面皰や紅色丘疹部分と、ざ瘡が出やすい部分にディフェリンゲルを塗る。油性のプロトピック軟膏と水性のディフェリンゲルは重ねて塗ると“のり”が悪いため、時間をあけて使用する。

 山本さんは、皮膚炎が治まったあとも同じ処方で治療を継続。5カ月後には面皰や紅色丘疹はほぼなくなり、肌もすべすべになった。(談) 

白井 明氏
Shirai Akira
東京大学で理学修士(物理学)を取得後に転身し、1998年同大医学部卒業。東京警察病院(東京都中野区)、関東労災病院(川崎市中原区)、関東中央病院(東京都世田谷区)などを経て、現在は国立病院機構相模原病院に在籍。「日常の」皮膚病治療のスペシャリストを自認している。

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