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トクホの説明書
大豆イソフラボン
日経DI2012年6月号

2012/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年6月号 No.176

 先日、とある講演会で、「ここ何年も、新たな保健の用途が認められたトクホが出ていない」という話をしたら、聴衆の一人から、「歯茎によいトクホが許可されたと聞きましたが……」と言われた。確かにその通りで、2010年6月に「ハグキの健康を保つ」トクホが登場していた。関与成分は大豆イソフラボン。大豆イソフラボンは、歯茎とどのような関係にあるのだろうか。

 女性の場合、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下すると、骨密度が低下し、骨粗鬆症になりやすくなる。大豆イソフラボンは、骨に対してエストロゲンと類似の作用をするので、骨密度の低下を抑える働きがあることが知られている。そのため大豆イソフラボンは、「骨の健康が気になる方に適する」トクホの関与成分として認められている。

 実は、エストロゲンは、歯の健康にも関わっている。エストロゲン分泌量が低下すると、炎症性サイトカインなどが異常に亢進し、歯周炎の進行に影響を与えると同時に、歯槽骨や顎骨といった歯を支える骨の骨密度にも影響を与える。大豆イソフラボンは、歯槽骨や顎骨の骨密度の低下を抑える働きがあることから、「ハグキの健康を保つ」トクホの関与成分として認められた。

(1)大豆芽茶(フジッコTEL0120-15-2425)1本(195g)中に大豆イソフラボンが25mg(アグリコン換算)含まれる。1日1本を摂取の目安に。30本入りセットで4600円。保健の用途は「骨の健康に役立つ」。(2)オーラルヘルスタブレット カルシウム&イソフラボン(サンスター広報室TEL072-682-6212)2粒中に大豆イソフラボンアグリコン10mg、カルシウム500mgが含まれる。1日2粒を摂取の目安に。90粒入り5250円。保健の用途は「歯を支えるハグキの健康を保つ」。

 図は、閉経後15~16年経過した女性を対象に、大豆イソフラボンアグリコン10mgとカルシウム500mgを含むタブレットを摂取させた群の歯槽骨の骨密度の変化を、プラセボ群と比較した結果である。摂取12カ月後、プラセボ群では骨密度が低下したが、トクホ群では有意に増加した。この研究では、骨格の骨密度も測定されており、トクホ群では腰椎や橈骨の骨密度の低下が抑えられていた。

図 大豆イソフラボンとカルシウムを含むタブレットの摂取による歯槽骨骨密度の変化

閉経後女性に、大豆イソフラボンアグリコン(10mg)とカルシウム(500mg)を含むタブレット(14人)またはプラセボタブレット(18人)を摂取してもらった。12カ月後の歯槽骨骨密度は、トクホ群で増加し、プラセボ群に比べて有意な差があった(*:P<0.05)。(J Dent Hlth. 2004;54:224-32.)

 これらを踏まえて、購入希望者にはこう説明するとよいだろう。「歯周病の予防には歯を支える骨も重要です。骨を健康に保つ大豆イソフラボンを含むトクホは、オーラルケアにも役立ちます」。

講師
太田 篤胤
Atsutane Ohta
東京農工大学卒。テルモ、明治製菓を経て、2004年から城西国際大学薬学部教授。「オリゴ糖のミネラル吸収促進作用」の研究で、トクホを商品化した経歴を持つ。趣味はフルマラソン。

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