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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)緊急避妊薬と低用量ピルはどう違う?
日経DI2012年6月号

2012/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年6月号 No.176

出題と解答 : 鈴木 光
(株式会社南山堂[東京都港区])

A1

(3)72時間

A2

(1)~(3)の全て

 緊急避妊法は、避妊せずに性交を行ったり、性交時に避妊に失敗した場合などに、起こり得る妊娠を回避するために実施する医療行為である。日本産科婦人科学会が2011年2月に発表した『緊急避妊法の適正使用に関する指針』では、緊急避妊法として、(1)緊急避妊薬であるレボノルゲストレル単味製剤(商品名ノルレボ)の単回投与、(2)銅付加子宮内避妊具の装着─という2つの手法が記載されている。

 今回、Aさんに処方されたレボノルゲストレルは、第2世代の黄体ホルモン(プロゲストーゲン)の単味製剤で、11年5月に発売されたものである。排卵前に服用すると5~7日間排卵が抑制され、その期間に女性の性器内の全ての精子が受精能力を失うことが、避妊効果をもたらす主体とされる。その他に着床抑制効果があることも示唆されているが、いずれにせよ、性交の後、速やかに服用するほど避妊効果は高まる。同薬の添付文書には、性交後72時間以内に1.5mg(0.75mg錠×2)を服用するよう記載されている。

 国内第3相試験における妊娠率は1.6%、妊娠阻止率は81.0%であり、レボノルゲストレルの服用で妊娠の確率は5分の1程度に下がるとされる。なお、海外の臨床試験における妊娠阻止率は84%、妊娠率は1.34%だった。これらの妊娠率は、経口避妊薬を飲み忘れなく服用した場合の年間妊娠率(0.3%)と比べて著しく高く、緊急避妊法は通常の避妊法に替わるものではない。

 レボノルゲストレルの承認前、わが国では緊急避妊法として「ヤッペ法」が広く実施されていた。エチニルエストラジオール50μgとノルゲストレル0.5mgの配合錠(プラノバール)を適応外使用するもので、性交後72時間以内に2錠服用し、その12時間後にさらに2錠服用する。レボノルゲストレル単味製剤は、このヤッペ法より避妊効果が高く、吐き気などの副作用も軽い。単回投与であるため服薬コンプライアンスの向上も期待できる。処方したその場で服用させる施設も多い。

 緊急避妊薬の服薬指導においては、月経再来までの残りの期間の避妊効果は保証されないことを伝える必要がある。月経再来までの間に性交し、避妊を希望する場合は、コンドームなどによる避妊を別途行わなければならない。緊急避妊が成功した場合は月経が見られるが、月経が予定より7日以上遅れたり、通常より軽い場合には、妊娠が成立した可能性があることも十分に説明しておきたい。

 なお、最も確実な避妊法の一つは、Aさんが医師から薦められた低用量ピルの連日服用である。低用量ピルとは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンの配合薬のうち、1錠中の卵胞ホルモンの用量が50μg未満のものを指す。避妊目的での低用量ピルやレボノルゲストレルには保険が適用されない。レボノルゲストレルを用いる緊急避妊の費用は、1万~2万円程度に設定している医療機関が多いようである。

参考文献
1)助産雑誌 2011;65:304-9.
2)HORM FRONT GYNECOL. 2010;17:140-9.

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Aさんに今回処方されたノルレボは、あくまでも緊急の避妊に用いるもので、先生がお薦めになった低用量ピルとは効き方がまったく違います。ノルレボを飲むと排卵が数日間抑えられますが、薬が切れたところで排卵が起こりますので、避妊効果は数日しか続きません。

 ですが、低用量ピルを毎日飲めば、排卵をほぼ完全に抑えられますから、はるかに高い避妊効果が得られます。こちらのパンフレットに低用量ピルの詳しい説明が書いてありますので、よろしければお持ちください。

 ところで、次の月経予定日はお分かりですか? この後、月経が来れば避妊に成功したことになります。しかし、月経が予定日から7日以上遅れたり、量が普段よりも少なかった場合は、妊娠をした可能性がありますから、先生に診てもらってくださいね。

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