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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)小児片頭痛患者に出された抗アレルギー薬
日経DI2012年6月号

2012/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年6月号 No.176

出題と解答 : 東風平 秀博
(田辺薬局株式会社[東京都中央区])

A1

(4)シプロヘプタジンの抗セロトニン作用によって、脳血管の収縮を抑え、頭痛発作の頻度を減少させる。

 片頭痛は、繰り返し起こる慢性頭痛の一つであり、頭痛発作時は、日常生活に支障が出るほどの強い痛みを生じる。ズキンズキンとした拍動性の痛みや、動作による痛みの増悪が典型的な症状で、1回の発作は数時間から数日間持続する。悪心・嘔吐、光・音過敏などの随伴症状を伴うことが多い。

 片頭痛が発症するメカニズムには、脳血管の拡張が大きく関わるとされている。一説には、何らかの原因によってセロトニンが過剰に放出されると、脳血管が一時的に収縮し、反動で拡張する。それにより三叉神経支配下の血管周囲に炎症が起こり、痛みとして伝播するのではないかと考えられている。

 このような片頭痛は、成人のみならず小児にも起こり得る。小児の片頭痛は、発作の持続時間が比較的短く、拍動性でないケースが多く、頭痛に加えて吐き気や嘔吐を生じるという特徴がある。ほとんどの場合、患児の親も片頭痛を持っており、家族内発症する。Sちゃんのように小学校低学年までの小児は、症状を具体的に訴えることが難しいが、遊びや睡眠が妨げられるような頭痛発作が頻繁に起こる場合は、正確な診断と治療が不可欠である。

 小児に対する治療では、急性期治療薬として、イブプロフェン(商品名ブルフェン他)やアセトアミノフェン(カロナール他)が用いられる1)。一方、スマトリプタンの点鼻剤(イミグラン点鼻液)は小児での安全性が確立していないため、他の方法で効果がない場合に使用が考慮される。

 さらに、頭痛発作の頻度が高い場合は、発作予防薬も併用される。小児には、今回Sちゃんに処方されたシプロヘプタジン塩酸塩水和物(ペリアクチン他)のほか、アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール他)、バルプロ酸ナトリウム(デパケン他)などが適応外使用される。

 シプロヘプタジンは、抗ヒスタミン作用に加えて抗セロトニン作用を持つ抗アレルギー薬である。片頭痛では、頭痛発作時のセロトニンの過剰な作用をシプロヘプタジンが抑えることで、発作予防効果をもたらすと考えられている。シプロヘプタジンは、年少者によく用いられる薬剤であるため、特に年少者の片頭痛の発作予防に用いられることが多い。

 発症予防効果に関するエビデンスは少ないが、30人の小児頭痛患者に発作予防薬としてシプロヘプタジンを投与した結果をレトロスペクティブに解析した海外の研究では、83%の患者に何らかの症状改善が見られ、頭痛の回数は、平均で8.4回/月から3.7回/月まで減少した2)。実際の使用法としては、シプロヘプタジンを眠前に少量から始め、効果をみながら4mgまで増量するといった方法が取られる。

 Sちゃんの母親には、シプロヘプタジンの薬理作用に関する説明に加えて、発作予防薬の効果が現れるまでには少なくとも1~2カ月間の投与が必要であることを説明しておく必要があるだろう。また、発作予防薬を使用しても完全には頭痛発作を抑制できないため、頭痛発作が起こったときはこれまでと同様に急性期治療薬を使うよう説明しておきたい。

参考文献
1)『慢性頭痛診療ガイドライン』(2005)日本頭痛学会
2)Headache. 2004;44(3):230-7.
3)小児内科 2008;40(5):809-13.

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 確かに今回出されたペリアクチンはアレルギーに使うお薬です。ただ、ペリアクチンは、子どもの片頭痛に対して、頭痛が起きる頻度を減らすためにも使われます。実際にペリアクチンを片頭痛のお子さんに出したところ、頭痛を起こす回数が半分程度まで減ったという報告もあります。先生は、このような頭痛の予防効果を期待してペリアクチンを処方されたのでしょう。

 ただ、即効性があるわけではなく、効果が出るまでには1~2カ月間は飲み続けなくてはなりません。また、ペリアクチンを飲んでいても頭痛や吐き気が起きることはありますので、その場合は、これまでと同じようにカロナールやナウゼリンを飲ませてください。

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