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日経DI2012年6月号

2012/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年6月号 No.176

ネット販売控訴審で逆転判決
東京高裁、2社に販売権認める

 OTC薬のネット販売をめぐり、ケンコーコムとウェルネットが、国を相手に省令の撤廃などを求めた行政訴訟の控訴審で、東京高等裁判所は4月26日、2社に対して医薬品ネット販売の権利を認める判決を言い渡した。

 この行政訴訟の争点は、厚生労働省が2009年、改正薬事法の施行に伴って発出した省令(厚生労働省令第10号)。OTC薬のうちリスクの高い第1、2類について、ネット販売など対面によらない販売方法を原則として禁じるとの内容が含まれている。

 これに対し、ケンコーコムなど2社は09年5月、(1)省令のうちネット販売を禁じる部分の無効確認・取り消し、(2)2社が医薬品のネット販売権を持つことの確認─の2点を求める行政訴訟を起こした。10年3月の1審判決では、(1)の無効確認請求を却下、(2)の販売権確認も棄却したため、これを不服とした2社が控訴していた。

 控訴審判決では、(1)については1審の判決を支持したものの、(2)に関しては、「医薬品のネット販売を禁じる規定は、薬事法から厚生労働省令への委任範囲を超えている」という2社の主張を容認。法律の委任なしに権利の制限はできないとして、2社のネット販売権を認めた。

 厚労省は5月9日、この判決を不服として最高裁へ上訴。日本薬剤師会も、現時点では規制は不可欠との見解を示した。


C型慢性肝炎薬のテラプレビルで重篤な腎機能障害

 田辺三菱製薬は5月9日、C型慢性肝炎治療薬のテラプレビル(商品名テラビック)について、急性腎不全を含む重篤な腎機能障害が報告されているとして、「適正使用に関する重要なお知らせ」を発表した。

 同薬は、2011年11月28日の販売開始以降、3358例の患者に使用され、急性腎不全7例を含む重篤な腎機能障害が17例報告された(12年5月8日時点)。17例の腎機能障害が発現した時期は、投与開始1週以内が12例と最も多かった。

 このことから同社は、本薬剤の投与時には定期的に腎機能検査を行い、特に投与開始1週間以内は少なくとも週2回、腎機能検査を実施するよう注意喚起した。


施設基準で2回目の疑義解釈、1週間の総開局時間が医療機関を超えていれば加算可

 今年度の調剤報酬改定で、調剤基本料の基準調剤加算の施設基準に開局時間に関する基準が盛り込まれたことについて、厚労省は4月27日、2回目の疑義解釈を発表した。

 改定では新たな要件として、「地域の保険医療機関の通常の診療時間に応じた開局時間となっていること」という項目が加わった。これについて、厚労省は3月30日に1回目の疑義解釈資料を発表し、「特定の保険医療機関の休憩時間に応じた一時閉局となっていないことが求められる」との条件を示していた。

 2回目は、「平日の日中に閉局日を設定している場合はどう解釈すべきか」との質問に対する回答を発表。平日(土曜日を含む)の日中の時間帯に、特定の医療機関の休憩時間に合わせて一時閉局していなくても、診療時間や休診日(半日または全日)に合わせて閉局している場合には、要件は満たさないとした。

 ただし、例外として、(1)特定の医療機関からの処方箋による調剤の割合が70%以下、(2)閉局時間もしくは当該閉局日を活用して在宅薬剤管理指導を恒常的に実施、(3)特定の医療機関は休診しているが日曜日も開局、(4)1週間の総開局時間が特定の医療機関の1週間の総診療時間(休憩時間を含む)を超えている─場合は、加算を認めるとした。


日本医療機能評価機構、インスリン含量の誤認で医療安全情報

 日本医療機能評価機構は5月15日、インスリンの単位を誤認して過量投与したことにより、患者が低血糖を来した事例が複数報告されていることを受け、「医療安全情報」を出した。本件に対して医療安全情報が出されるのは、2006年12月に次いで2回目。06年10月30日~12年3月31日に類似の事例が8件報告されたため、再度情報提供に踏み切った。

 インスリン製剤の濃度表示は、08年3月31日付の厚労省通知により、100単位/mLに統一され、現在は「1バイアル1000単位(10mL)」になっている。報告された8件のうち3件は、経験年数1年未満の医師や看護師によるものだった。


薬局実務実習用のトラブル対応事例集を日薬が作成

 日本薬剤師会は4月27日、薬局実務実習のトラブル対応事例集を作成した。2011年8月、全ての薬学部・薬科大学と都道府県薬剤師会を対象に、薬局実務実習のトラブルについてアンケートを実施。その後、専門のワーキンググループを設置し、アンケートで報告された事例を基に対応事例集をまとめた。

 事例集は「学生と指導薬剤師用」と「指導薬剤師とスタッフ用」の2種類。実習開始前に学生と指導薬剤師が内容を確認し合ったり、学生を受け入れる薬局のスタッフが実習前の打ち合わせに使えるようにした。いずれも日薬のウェブサイトからダウンロードできる。


処方箋受取率が過去最高を更新、昨年12月に67.2%

 日本薬剤師会は5月24日、保険調剤の動向(2011年8月~12年1月調剤分)を発表した。処方箋受取率は、どの月も前年同月に比べて上昇。12月は全国平均で67.2%と、過去最高を更新した。

 処方箋受取率は、8月が62.9%(前年同月比1.6ポイント増)、9月が63.9%(同2.3ポイント増)、10月が64.8%(同1.7ポイント増)、11月が65.2%(同0.9ポイント増)、12月が67.2%(同1.8ポイント増)、1月が66.6%(同1.3ポイント増)と、医薬分業が進んでいることが明らかになった。

 都道府県別に見ると、1月調剤分では、受取率70%以上が18都道県に増加。一方、40%未満は福井県1県になった。


イレッサ訴訟、大阪高裁でも原告側が逆転敗訴

 非小細胞肺癌治療薬のゲフィチニブ(商品名イレッサ)の副作用で死亡したなどとして、患者や遺族が国とアストラゼネカに対し損害賠償を求めていた訴訟で、大阪高等裁判所は5月25日、アストラゼネカに賠償を命じた1審の判決を覆し、原告の請求を棄却した。

 裁判の争点は、2002年7月にゲフィチニブが承認された際の、間質性肺炎の副作用への注意喚起。間質性肺炎の発症頻度が他の抗癌剤より高いことなどは認めたが、承認時点では「従来の抗癌剤と比べて、重篤であるとか致死的であると予見できなかった」と判示した。原告側は上告する見通し。


新薬DIピックアップ
ミニリンメルトOD錠120μg、同OD錠240μg《5月29日薬価収載》
日本初の経口のデスモプレシン製剤

 夜尿症は、「夜間の尿量や膀胱容量の異常、睡眠覚醒の異常など、様々な要因で発症する疾患」である。6歳児の約10%、10歳児の約5%、16歳児の約2%、6~16歳児全体では7%が罹患しているとされる。デスモプレシンは、強い抗利尿活性を有し、尿を濃縮することで尿量を減少させる作用を有している。

 夜尿症治療において、デスモプレシンの点鼻薬を使用すると、デスモプレシンの経口薬を使用した場合に比べて低ナトリウム血症が多く報告されていることから、既に経口薬が承認されている国では、点鼻薬の適応から夜尿症が削除されていた。

 一方、日本ではこれまで経口薬が承認されていなかったことに加え、デスモプレシン製剤の適正使用に関する医療従事者の意識が高く、患者の水分摂取が適切に行われていたこともあって、点鼻薬の夜尿症への適応が維持されていた。2008年、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が製薬会社に対し、経口薬の開発についての意向確認を行ったのを機に、より安全性が高いと考えられる経口薬が開発されることになった。

 今回承認されたミニリンメルトは、デスモプレシン含有製剤では日本初の経口薬であり、しかも口腔内崩壊(OD)錠であるため、就寝前に水なしで服用できる。

 海外では、デスモプレシンのOD錠は、05年7月にデンマークで承認されて以降、12年2月現在、欧州を含む世界70カ国以上で承認されている。また、ICCS(国際小児禁制学会)では夜尿症治療の第1選択薬とされ、ICI(国際尿失禁会議)ではグレードAおよびエビデンスレベル1と高く評価されている。

 なお、承認時までの国内臨床試験で認められた副作用(臨床検査値異常を含む)は、腹痛・倦怠感(各2.2%)などであった。既存のデスモプレシン製剤と同様、最も留意すべき副作用は水中毒(重篤な低ナトリウム血症による痙攣など)なので、投与中には常に注意する。

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