4月の調剤報酬改定で、薬剤服用歴管理指導料の算定要件に「残薬の確認」が盛り込まれ、服薬コンプライアンスのチェックを、これまで以上に行うようになった薬局もあると思います。
ただ、今回のケースのように「実は薬は余っているけれど、先生には言わないでほしい」と頼まれることはよくあります。私の経験では、投薬カウンターで「きちんと飲んでいる」とおっしゃっていても、自宅を訪問してみると、何百錠などと、びっくりするほどの残薬が発見されることが少なくありません。
患者が薬をきちんと飲んでいなかったり、余っていることが分かると、私たち薬剤師はすぐに薬を整理したり、医師に報告しなくてはと考えがちですが、焦って対応しないことがポイントです。重要なのは、飲めていない理由を確認し、剤形変更などを提案することです。それでも飲んでもらえない場合は、服用の必要性を説明して納得してもらいましょう。
その際、注意したいのは、現時点できちんと飲めていないにもかかわらず状態が安定しているならば、きちんと飲むことでかえって薬が効きすぎてしまう可能性があるということです。こうした点もきちんと説明し、患者自身から医師に状況を説明してもらうようにするのがベストだと思います。それには時間がかかるかもしれませんが、根気強く患者に働きかけることをお勧めします。
患者から「薬剤師から医師に言ってほしい」と依頼されたら、文書で伝えるとよいと思います。電話ではうまく伝わらなかったり、記録が残らないためです。服薬状況と薬局の対応(一包化や服薬カレンダーの提案など)に加えて、患者が言い出せなかった状況について申し添えるなど、患者が罪悪感を感じないようにフォローもしておきましょう。
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