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特集:薬剤服用歴管理指導料
調剤報酬改定 現場の声:薬剤服用歴管理指導料
日経DI2012年5月号

2012/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年5月号 No.175

 一般名処方とともに、今改定でインパクトが強かったのが、薬剤服用歴管理指導料(薬歴管理料)の一本化だ。

 3月までは、お薬手帳による服薬情報提供を行った場合、薬剤情報提供料(15点)を算定できたが、4月以降はこの点数は廃止され、お薬手帳を介した情報提供は薬歴管理料の算定要件に含まれた。

 また、残薬の確認や、薬情による後発品の情報提供も要件に入り、薬歴管理料は3月までの30点から41点に引き上げられた。

 こうした中で、新・薬歴管理料はどのくらいの患者で算定されているのか。今回の調査では、患者全員で算定しているのは73.6%だった(Q9)。

手帳カバーやお試し用手帳を活用

 薬歴管理料を算定するために4月以降に取り組んだこと(Q10)としては、薬情での後発品の情報提供が最も多かったが、約7割はお薬手帳を広めるための取り組みを挙げた。

 お薬手帳の普及のために、現場ではどのような取り組みが行われているのか。調査では、「ポスターの掲示や患者への説明に力を入れている」という回答が目立った。

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・お薬手帳を配布する意義や目的について口頭で説明するのに加え、店内の数カ所に説明用の自作のパンフレットを置き、待ち時間に読んでもらうようにしている。(30代男性)

・お薬手帳の重要性を、東日本大震災の写真を張ってアピールした。(30代男性)

・お薬手帳の発行に関する手書きのポスターを患者の目線に合わせて掲示したところ、「手帳を持ってないんだけど」などと患者から申告してくれるようになった。(50代女性)

 ぼうしや調剤薬局城西店(兵庫県姫路市)では、お薬手帳の重要性について書いたポスター(取り組み(2))を、模造紙のサイズで薬局の壁面に張り、患者から処方箋を受け取る際は、まず「お薬手帳はお持ちですか」と尋ねている。「お薬手帳は持つのは自然なこと」という雰囲気をつくると、ほとんどの患者は手帳の作成を拒否しないという。

 株式会社ハーモニーの高野澤昇氏は、「大災害が起きたときにお薬手帳を持っていると役に立つことは、患者もよく理解しているようだ。ただ、患者によっては薬局ごとに1冊ずつお薬手帳を作っていることがあるので、重複投薬や相互作用防止の観点からも、今後も1冊にまとめることの重要性を伝えていきたい」と話す。

 ただ、それでもお薬手帳を忘れがちな患者や、受診回数が少ないためにお薬手帳を不要と感じる患者は少なくない。こうした患者への対応について、こんなアイデアが寄せられた。

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・表紙デザインの異なるお薬手帳を数種類用意して、患者に選んでもらえるようにした。希望者にはポケットがたくさんついたカバーも差し上げるようにした。(30代男性)

・患者全員にお薬手帳を渡せるように、お試し用として薄いお薬手帳を用意した。(30代男性)

 薬袋やお薬手帳などを製造、販売する株式会社シンリョウ(東京都豊島区)によると、診察券や保険証がはさめるお薬手帳用カバー(写真1)や、表紙がカラフルだったりページ数が少ない薄型のお薬手帳が、予想を上回る勢いで売れているという。

写真1 お薬手帳の持参率や所持率をアップさせる工夫

診察券や保険証を一緒に入れられるお薬手帳のカバー(写真左)や、薄くておしゃれな表紙の手帳(右)を患者に配布する薬局が増えている。

薬の整理を呼びかけて残薬確認

 薬歴管理料の算定要件には、残薬の確認も追加された。残薬が相当数あると判断した場合、処方医に報告して処方変更が行われると、薬局では重複投薬・相互作用防止加算(20点)が算定できることになった。アンケートでは約4割が、「4月以降、残薬確認を徹底して、処方医への報告の流れを決めた」と回答した(上記のQ10)。

 ただ、「相当数」がどの程度の量を指すのか、厚労省からは示されておらず、「患者からの聞き取りだけで確認できるのか」といった疑問を持つ薬剤師は少なくない。

 クオールグループセラ薬局レインボー店(岡山県高梁市)では、改定以降、お薬手帳に「○月○日までお薬があります」と書かれたシールを貼って、患者にも残薬を意識してもらうようにした(取り組み(3))。

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 さらに、患者の印象に残りやすいよう、待合の床に、薬の整理をした写真と「余ったお薬を整理します」と書かれたポスターを張った。「残薬を確認しても、薬を整理して患者がきちんと飲めるようにしなければ意味がない」と、クオール西日本第3事業部岡山ブロック長の堀淵浩二氏。これまでも、薬の整理をヘルパーや家族から依頼されることが多く、サービスの一環で行っていたが、改定を機に外来服薬支援料(185点)の算定にもつなげたいという。

薬情には実際の差額を表示

 薬歴管理料の算定要件として、薬情に後発品の備蓄状況や、備蓄している先発品と後発品の価格を記載することも盛り込まれた。

 薬価の表示方法には様々なパターンがあるが、ぼうしや調剤薬局城西店では、「備蓄している後発品で調剤した場合、実際の患者負担額がいくら安くなるか」という情報が一目で分かるようにしている(取り組み(4))。

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 「後発品に変えるといくら安くなるのか、という情報を患者は知りたがっている。分かりやすさを重視して、負担の差額を記載した」と、ぼうしや調剤薬局執行役員の安田幸一氏は話す。

 薬情に書かれた差額がきっかけになり、患者から「後発品に替えてほしい」という要望や質問が増えることを期待しているという。

 同薬局では、一般名処方の処方箋が増え、患者に後発品の希望について尋ねる機会が増えた。だが、一気に後発品に変更するのではなく、薬剤変更によるトラブルを避けるため、薬情を使った説明を丁寧に行い、少しずつ変更することを勧めているという。

乳幼児には飲み方+αの情報も

 薬歴管理料に乳幼児服薬指導加算(5点)が新設されたことも、回答者の関心が高かった。算定要件は、「服用に関して必要な指導を行い、お薬手帳に指導内容などを記載すること」。では、どの程度の指導を行い、手帳に記入したらよいのか。明確な基準は出ていないが、調査では手帳への記載内容を薬局内で改めて確認したり、患者説明用の資料を作ったという声が目立った。

・乳幼児服薬指導加算を算定するため、お薬手帳への記載の方法を考え、年齢や使用経験に合わせた指導内容の資料を作り、手帳に張ったり記載するようにした。 (40代女性)

 クオールグループセラ薬局レインボー店では、患者に合わせて指導した内容に加えて、小児の体重もお薬手帳に記入している。例えば、散剤が飲めない乳幼児に対する指導では、ココアやアイスクリームなどお薦めの矯味剤を、保護者と会話しながら、調剤した薬剤の横に書き込んだり、その食べ物のイラストが書かれたシールを貼っている。

 堀淵氏は、「保護者は、薬剤の量が正しいかどうかも気にする傾向がある。お薬手帳には服用方法や矯味剤といった情報だけにとどまらず、体重も記載して、保護者の不安を取り除くような配慮をしている」と話す。

4分の1が薬歴管理料で減収?

 さて今回、薬剤情報提供料(15点)が薬歴管理料(41点)に一本化されたことで、薬局経営にはどの程度の影響があったのだろうか。

 3月までの薬歴管理料は30点。薬歴管理料を算定していた患者に薬剤情報提供料の15点を算定していれば、計45点を算定できた。4月以降、41点となるので、こうした薬局では患者1人当たり4点のマイナスになる。

 仮に15点を算定していた患者の割合をXとすると、「30+15×X」が41点に満たなければ減収となる。Xが0.73、つまり7割以上の患者で算定していた場合は改定後にマイナスになると考えられる。調査では計25.4%が7割以上で算定していた(Q11)。薬歴管理料に関していえば、約4分の1の薬局で減収となっていることがうかがえた。

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