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特集:一般名処方・後発医薬品
調剤報酬改定 現場の声:一般名処方・後発医薬品
日経DI2012年5月号

2012/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年5月号 No.175

表1 一般名が記載された処方箋をめぐる主なトラブル(調査を基に編集部まとめ)

 調剤報酬改定後、薬局業務に最も大きな影響を及ぼしたのは、一般名処方への対応だろう。

 一般名で処方箋を発行した場合、医療機関は処方せん料に2点を加算できることになり、多くの医療機関で一般名での処方が行われ始めている。

 本誌が、『DIオンライン』の会員薬剤師を対象に実施した調査によると、4月に入ってから「一般名で書かれた処方箋を応需した」との回答は、実に94.0%に上っていた(Q1)。現場からは「こんなに多くの一般名の処方箋が来るとは思わなかった」との声が上がった。

半数以上がトラブルを経験

 一般名処方への加算は、後発品の使用を促進するために導入された。

 薬剤師は一般名が書かれた処方箋を受け付けたら、先発品か後発品か、患者の希望を聞いた上で、調剤する銘柄を決めることができる。薬局では従来から、「後発品への変更可」とされた処方箋を持ってきた患者にどの薬剤を調剤するか、といった応対には慣れていたはず。そのため、改定後も問題なく対応できたと思いきや、現実はそうではなかったようだ。

 調査では、一般名で書かれた処方箋を応需した薬剤師の半数以上が、「薬局内で業務を行う上で問題があった」と回答した(Q2)。

 一般名の処方箋を応需した場合の手順を、「以前から決めていた」「今回の改定に合わせて決めた」のは、合わせて51.2%と半数に上った(Q3)。だが、細かく見ると、「今回の改定に合わせて決めた」と答えた217人の半数以上(120人)は、何らかの問題があったと回答していた。

一番の原因は「レセコンの不備」

 一般名処方をめぐる問題で最も多かったのが、処方箋に剤形や規格まできちんと記載されていなかったというもの。原因は、医療機関のレセコンに入っている医薬品名のソフトウエアが、一般名にうまく対応していなかったためと考えられる。

 厚生労働省は、標準的な一般名処方の記載例(医薬品マスタ)を同省のウェブサイトで公開している。だが、改定前に全ての薬剤について示されていたわけではなく、表記方法はレセコンメーカーが独自に決めていたのが実情だったようだ。(以下は、太字は調査に寄せられた自由意見)。

・「フェルビナクパップ」との一般名だけで、冷感のセルタッチなのか、温感のフェルナビオンなのか分からなかった。(30代男性)

・口腔内崩壊錠か普通錠かの記載がなく、確認のため処方医に問い合わせたが、処方元のレセコンが対応していなかった。(40代女性)

 規格の記載不備のために調剤する薬を迷ってしまった例として、多くの薬剤師が挙げていたのが、「ニフェジピン徐放錠」とだけ書かれていたケース。1日1回服用のアダラートCR錠か、1日2回のアダラートL錠のどちらを指しているのか分からなかったという。

 また、処方箋の一般名が薬局のレセコンでの表記と異なっており、レセコンを入力するスタッフが混乱したとの声もあった。

・レセコンで、一般名のフェルビナクから商品名のセルタッチを選んだ際、テープとパップが同じ表記で登録されていたため、どちらを選択すればよいか判断に困った。(40代男性)

・レセコンへの入力は薬剤師が行っていないため、処方箋の一般名がどの商品名を指しているか分からないことが多く、業務が滞った。(40代男性)

 2次元バーコード(QRコード)や手書き処方箋でも、一般名処方に伴うトラブルがあった。

・2次元バーコードを使用していたが、一般名の処方箋からは自動転記ができなくなり、一般名を手入力してから商品名を選ぶようになったため手間が増え、時間がかかる。(30代男性)

・手書き処方箋でベタメタゾン吉草酸エステルがベタメタゾンとしか書かれてなかった。(20代男性)

 患者も見慣れない一般名に不安を感じてしまったようだ。

・一般名の処方箋を持った初来局の患者が「いつもの薬の名前と違うので、薬が変わったのではないか」と不安になっていた。(30代男性)

 そのほか、自由意見で多かったのは、処方箋の受付時に、一般名で処方されている旨を患者に説明し、先発品と後発品のどちらを選ぶかを尋ねるプロセスが増えたため、「待ち時間が長くなった」というもの。「調剤した薬剤を医師にフィードバックする件数が急増して、手間が増えた」という声もあった。

銘柄は「患者に選んでもらう」が6割

 調査では、一般名処方の場合、調剤する薬をどのように決めているかについても尋ねた(Q4)。「備蓄状況や先発品と後発品の価格などを患者に伝えた上で、患者に選んでもらう」という回答が60.7%と最も多く、会社(薬局)が決めた銘柄を薦めているのは約2割だった。

 宇都宮市に4店舗の薬局を経営する株式会社ハーモニー代表取締役社長の高野澤昇氏は、「患者に決めてもらうと、薬価だけで判断してしまいがち。それでは薬剤師が介在している意味がない。これまでの経験や安定供給の観点も踏まえて、自信を持ってお薦めの銘柄を紹介している」と話す。

 また、一般名で処方されていたにもかかわらず、実は医療機関が銘柄を指定していたケースもあった。例えば、剤形が不明だったため疑義照会したところ、「先発品を出してほしい」と言われたり、一般名の後に商品名が書かれていたという。

 こうした混乱がある一方、調査では、一般名処方の調剤業務をスムーズに行うため、対応する様子もうかがえた。

・調剤棚に一般名と対応する銘柄を書いた表を張り、調剤時に確認する。レセコンの画面と薬剤情報提供文書(薬情)でも確認し、トリプルチェックを行う。(30代女性)

・一般名の名称をスタッフで暗記した。(30代女性)

 永山中央薬局(北海道旭川市)では、処方箋の原本を見ながら調剤するため、一般名の横に調剤する銘柄を、消せる赤ボールペンで記入している(取り組み(1))。その後、調剤録を処方箋の裏に印刷するが、書き込んだ赤ペンの字はレーザープリンターの熱で消えるので、処方箋を汚さずに済む。同薬局管理薬剤師の堀籠淳之氏は「以前から鑑査時にこの赤ペンを使っていたが、一般名処方の調剤時にも使えるのではないか、と思い付いた」と話す。

 レセコンで使用する医薬品マスタについては、より多くの医薬品名をカバーするソフトの開発が進められている(別掲記事参照)。

日経DI×システムヨシイ

一般名処方に対応した薬剤名検索を提供開始

 日経DIは、医薬品情報関連企業のシステムヨシイ(岡山市)と共同で、一般名処方に対応した薬剤名検索システムの提供を開始した。

 『DIオンライン』のトップページで検索すると、一般名処方の際に処方医が記載すべき一般名(処方用一般名)が表示される。ウェブサイトでの検索は無料。PDF版、電子書籍版、iPhoneアプリは有料で提供する。

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7割が「後発品率アップしそう」

 後発品の使用促進策として、後発医薬品調剤体制加算もメリハリの利いた改定が行われた。

 改定前は、後発品調剤率が20~25%未満は6点、25~30%未満は13点、30%以上は17点だった。それが4月からは、調剤率が30%以上は15点、35%以上は19点とアップした半面、22~30%未満は5点に引き下げられた。

 アンケートで3月と4月の同加算の算定状況を尋ねたところ、「算定している」割合はほぼ変わっていなかった(Q5、6)。細かく見ると、3月に6点を算定していた回答者の約7割は5点に下がっており、15点に上がったのはたった8%。また、3月に13点を算定していた回答者の2割は4月には5点となり、大幅なマイナスとなっていた。

 改定の影響が出始める7月以降に、後発品の調剤率がアップしそうかも聞いたところ、約7割が「調剤率がアップしそう」と回答した(Q7)。特に、現在5点を算定している人の6割以上が15点に大幅アップしそうだと予想した。

 その理由(複数回答)を尋ねると、やはり「一般名処方の処方箋を多く受けるようになった」が圧倒的に多かった。続いて「薬情に後発品の価格などを表記するようになった」「『後発品に変更不可』とされる処方箋が減った印象がある」との回答が約25%だった(Q8)。その他の意見としては「マイスリー(一般名ゾルピデム酒石酸塩)やニューロタン(ロサルタンカリウム)など新たな後発品が発売される」「保険者からの文書を見て患者が希望する」というコメントが複数挙がった。

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