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OTCセレクトガイド
疲れ目 第8回
日経DI2012年5月号

2012/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年5月号 No.175

講師 三上 彰貴子
Mikami Akiko
株式会社A.M.C 代表取締役社長
製薬会社勤務後、経営学修士(MBA)を取得。コンサルティング会社勤務を経て2005年より現職。医療分野のコンサルティングなどを行う傍ら、OTC薬に関する寄稿や講師としての活動も行う。薬剤師。

 パソコンや携帯電話の画面を長時間見る現代人の多くが、疲れ目に悩まされている。

 物を見る際に、水晶体の厚さを変えてピントを調節している毛様体筋が緊張した状態が続くと、眼の疲れを感じる。休憩によって回復する疲れを「眼疲労」、休憩しても症状が残ったり、長く続く状態を「眼精疲労」と呼ぶ。

 眼精疲労では、眼の乾きやかすみ、充血のほか、まぶたの奥の痛み、肩凝り、頭痛、吐き気といった症状を来す。進行すると、イライラしたり、「食欲や気力が湧かない」と訴えたりする。

この成分に注目

 疲れ目に対するOTC薬には、点眼薬と経口薬があり、患者の症状に合わせて双方をうまく組み合わせて薦めるとよい。

調節機能改善成分

 コリンエステラーゼ阻害薬のネオスチグミンメチル硫酸塩は、副交感神経が関与している毛様体筋に作用して調節機能を改善する。

ビタミン類

 ビタミンE(トコフェロール)は、血流改善効果を持ち、組織への栄養素補給に関与する。天然ビタミンEは、合成のものよりも吸収されやすく、効果が高い。

 ビタミンB12(シアノコバラミン)は、目の神経や毛様体筋に働き、微動調節機能を改善させる。

 ビタミンA(レチノール)は、網膜の感光色素(ロドプシン)の産生に必要な成分で、不足すると夜盲症(鳥目)になる。乾燥を防ぎ、眼の潤いを保つ役割もある。

 ビタミンB5(パントテン酸)は、新陳代謝に関与し、疲労回復を促す。

 ビタミンB6(ピリドキシン)は、新陳代謝や粘膜の維持、神経機能に関与する。

 ベンフォチアミン(チアミン塩化物塩酸塩)は、活性型ビタミンB1と呼ばれ、筋肉や神経の働きをスムーズにする。経口薬の主成分である。

アミノ酸類

 L-アスパラギン酸カリウム、同マグネシウムは、疲労回復を早める。また、ビタミンB1の働きを助けて、新陳代謝を促進させる作用がある。

 コンドロイチン硫酸エステルナトリウムは、涙の蒸発を防止し、角膜を保護する。

充血除去成分

 疲れ目の患者によく見られる充血に対して、交感神経刺激(α1)により血管収縮させ、結膜充血を抑える。ナファゾリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩がある。

抗ヒスタミン成分

 疲れ目の患者では、眼の乾燥やかゆみも訴えることが多いため、抗ヒスタミン成分を配合する点眼薬が多い。クロルフェニラミンマレイン酸塩やジフェンヒドラミン塩酸塩がある。

無機塩類

 涙液に近い成分で、涙液の補充を促して乾燥による炎症や疲れを防ぐ。塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなど。

増粘成分

 ヒドロキシエチルセルロース(HEC)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)がある。点眼薬の粘度を高め、薬液の蒸発や眼の乾燥を防ぐ。

アミノエチルスルホン酸(タウリン)

 細胞の新陳代謝を促進する作用を持つ。点眼薬に配合する場合は、製剤の安定性や主成分の吸収を高める目的もある。

製品セレクト

 疲れ目の患者では、充血やかゆみを伴うことも多いため、ロートV11(ロート製薬)をまずお薦めしたい。

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 その名の通り、疲れ目、充血、かゆみ、炎症に効果のある11種類の成分が含まれている。

 調節機能改善成分であるネオスチグミンメチル硫酸塩のほか、疲労回復に効く成分として、ビタミンB6、酢酸d-α-トコフェロール(天然ビタミンE)、L-アスパラギン酸カリウム、タウリンを含有している。また、眼の乾燥を防ぐコンドロイチン硫酸エステルナトリウム、抗炎症作用のグリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛水和物、アラントインも含有している。

 比較的清涼感の高い差し心地で、眼をよく使うビジネスマンをターゲットにした商品である。

 薬局や薬店に行く時間がない患者には、インターネットでも購入できる第3類医薬品のサンテフォーカスV(参天製薬)を薦めるとよいだろう。

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 同製品には、ネオスチグミンメチル硫酸塩など8種類の成分が配合されている。

 疲れ目がひどく、肩凝りもあるという患者にお薦めしたいのが、経口薬の新キューピーコーワi(興和)である。

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 筋肉や神経の動きを改善する活性型ビタミンB1のベンフォチアミン、ビタミンB2、B6、Eのほか、それらの吸収を促進し、血流も改善させるオキソアミヂン末、γ-オリザノールなども配合している。15歳未満の小児は服用できない。60錠、120錠、180錠入りがあるので、患者のニーズに合わせて薦めるとよい。

こんな製品も

 清涼感の強い点眼薬を好む患者には、(a)スマイルピット(ライオン)を薦めるとよい。点眼直後の爽快感が持続するのが特徴で、抗炎症作用を持つεアミノカプロン酸を含有している。

 (b)ロート養潤水α(ロート製薬)は、就寝前に点眼し、眠っている間の角膜細胞の修復をサポートするというユニークなコンセプトの製品である。寝る3分以上前の点眼が望ましく、差した後に2~3回瞬きをするとよい。コンドロイチン硫酸エステルナトリウム、タウリン、酢酸d-α-トコフェロール、L-アスパラギン酸カリウムが含まれる。

 同じシリーズのロート新緑水は、朝、就寝中にたまった老廃物が目やにとなったり、炎症が起きて不快感があったりする人向けの製品である。炎症を抑える成分のベルべリン硫酸塩水和物、アズレンスルホン酸ナトリウム水和物のほか、クロルフェニラミンマレイン酸塩、コンドロイチン硫酸エステルナトリウムが含まれる。

 疲れ目は小児にも見られる症状である。これまで紹介した点眼薬の添付文書には、使用年齢については明記されておらず、「小児に使用させる場合には保護者の指導監督の下に使用させること」と記載されている。

 ただし刺激感のあるものが多いので、保護者から相談されたら、(c)こどもアイリス(大正製薬)を薦めたい。刺激感はほとんどなく、ネオスチグミンメチル硫酸塩、タウリン、L-アスパラギン酸カリウムのほか、クロルフェニラミンマレイン酸塩やグリチルリチン酸二カリウムを配合しているので、疲れ目だけでなく、花粉などによるかゆみ、プール後の眼病予防など、汎用性が高い。

 疲れ目用のOTC薬で、7歳以上の小児でも服用可能な経口薬が、(d)ポポンピュメリ錠VB(塩野義製薬)である。ビタミンBを中心とした配合で、瓶入りの錠剤である。朝食後または夕食後なるべく30分以内に、水またはぬるま湯で服用する。

 疲れ目の患者は、眼の乾燥も訴えることが多い。そんな患者には、ビタミンAを含有した(e)カワイ肝油ドロップS(河合製薬)も合わせて薦めるとよいだろう。ビタミンAとカルシウムの吸収に関係するビタミンDも配合しており、バナナ味のゼリー状のドロップで、水なしでかんで服用する。1歳以上から服用できる。

 同じシリーズには、ビタミンCも含有したカワイ肝油ドロップC20と、カルシウムを含有したカワイ肝油ドロップM400もある。

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患者へのアドバイス

受診勧奨

 疲れ目に対して、5~6日点眼薬を使用しても改善しない場合や、眼のかすみが良くならない場合には、眼科を受診するよう勧める。

 また、眼の乾燥が重度な場合は、ドライアイの可能性もあるので、同様に受診を勧める。

 眼鏡やコンタクトレンズを使用している患者では、レンズの度が視力に合っていないために、疲れ目を来していることがあるので、そのような患者にも受診を促す。

副作用

 いずれの点眼薬も、緑内障の患者は使用が禁忌であるため、販売前には必ず確認する。

 点眼薬の使用後、皮膚に発疹やかゆみ、眼の充血やかゆみ、腫れ、刺激感が見られた場合、あるいは5~6日使用しても改善しない場合は、使用を中止する。

 抗ヒスタミンの成分は、点眼でも眠気を生じることがあるので、車の運転や機械類の操作は注意するよう伝える。

 血管収縮成分の使い過ぎは、逆に充血を悪化させたり、まぶしさを感じるようになることもあるので、注意を促す。

その他

 過剰に滴下すると、点眼薬は鼻涙管から鼻腔に移行し、全身性の副作用を呈することがある。そのため、滴下後、眼を閉じて眼頭の下を押さえたり、あふれた薬液はティッシュペーパーで拭うなど、副作用を防ぐよう指導する。

 特にソフトコンタクトレンズを着用している場合は、防腐剤や清涼化剤、抗ヒスタミン薬などが吸着しやすいので、レンズを必ず外してから点眼を行い、5~10分たってから装着するように促す。また、点眼薬には防腐剤が入っているが、開封後3カ月程度を使用期限とするよう指導する。

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