DI Onlineのロゴ画像

トクホの説明書
乳塩基性蛋白質
日経DI2012年5月号

2012/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年5月号 No.175

 高齢者を対象にアンケートを行うと、洋の東西を問わず、介護が必要となったら延命措置は望まないと答える人が多いそうだ。だがその理由は東西で異なる。米国人は「自分の尊厳を守りたい」と考えるのに対し、日本人は「周囲に迷惑を掛けたくない」という気持ちが強い。

 こうした日本人の感覚は、世界に誇れるものだと思う。だがそうであれば、周囲に迷惑を掛けないために、自ら努力することも必要だろう。

 要介護に至る疾患の第1位は脳卒中、そして、意外かもしれないが、第2位は骨折である。高齢者の骨折を甘く見てはいけない。うっかり転倒して骨折してしまわないよう、日ごろから注意することが肝心だ。

 骨粗鬆症対策も重要だ。骨の健康には、主成分であるカルシウム以外にも、多くの物質が関与している。これまで本コラムでは、骨粗鬆症対策のトクホとして、ビタミンK2(本誌2011年1月号)とカルシウム(同2011年4月号)を紹介してきた。第3のトクホとして、乳塩基性蛋白質(Milk Basic Protein:MBP)を紹介しよう。

毎日骨ケアMBP(R)(雪印メグミルクTEL0120-301-369)1本(50mL)中にMBPが40mg含まれる。1日1本を摂取の目安に。30本入りセットで5355円。(MBPは雪印メグミルクの登録商標)

 そもそも骨粗鬆症は、加齢や閉経(女性の場合)に伴い、骨を壊す細胞(破骨細胞)の勢いが骨を作る細胞(骨芽細胞)を上回る状態が続いた結果、骨密度が低下することにより起こる。牛乳の乳清部分に微量に含まれるMBPは、破骨細胞を介する骨吸収を抑制することにより、骨密度の低下を食い止めると考えられている。

 図は、健康女性33人をランダムに2群に分け、17人にはMBPを40mg含有するトクホ飲料、残る16人にはプラセボ飲料を毎日1本ずつ飲んでもらい、個々の参加者の飲用前と飲用6カ月後の橈骨(とうこつ)の骨密度の変化を見た結果である。平均すると、プラセボ群では6カ月後に骨密度の有意な減少が見られたが、トクホ群では逆に骨密度が有意に増加していた。

図 MBP含有飲料の摂取による橈骨骨密度の変化

健康な女性33人に、MBP(1本当たり40mg)含有飲料(17人)またはMBPを含まないプラセボ飲料(16人)を、1日1本、6カ月にわたって摂取させた。飲用開始前と6カ月後における骨密度を比較したところ、プラセボ群では6カ月後に骨密度が有意(†:P<0.05)に減少したが、トクホ群では有意(**:P<0.0001)に増加した。(Biosci Biotechnol Biochem. 2002;66:702-4.)

 これらを踏まえて、購入希望者にはこう説明するとよいだろう。「年齢を重ねても骨の健康を維持するのは、簡単なことではありません。牛乳には、MBPという骨を直接元気にする成分が含まれています。でもその量はわずかなので、MBPを含むトクホを利用するという手もあります」。

講師
太田 篤胤
Atsutane Ohta
東京農工大学卒業。テルモ、明治製菓を経て、2004年から城西国際大学薬学部教授。「オリゴ糖のミネラル吸収促進作用」の研究で、トクホを商品化した経歴を持つ。趣味はフルマラソン。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ