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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:エビリファイ液の水道水による希釈の可否(A)
日経DI2012年5月号

2012/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年5月号 No.175

出題と解答 : 笠原 英城
(千葉県済生会習志野病院[千葉県習志野市]薬剤部)

A1

(1)含量が低下する。

A2

(1)味噌汁、(3)烏龍茶、(4)硬度の高いミネラルウオーター

 エビリファイ(一般名アリピプラゾール)は、ドパミン受容体アゴニスト作用を持つ非定型抗精神病薬であり、統合失調症患者に広く処方されている。2009年に発売されたエビリファイ内用液0.1%は、水なしで服用できるが、甘味や酸味が気になる場合はコップ1杯(約150mL)の湯やジュースなどに希釈して服用してもよいとされている。ただし同薬の添付文書には、混合してはならない飲料物について細かな記載があり、その解釈をめぐって臨床現場に混乱が生じることも少なくない。

 同薬の添付文書には、希釈して使用しないよう指導すべき飲料物として、(1)紅茶、烏龍茶、緑茶、玄米茶などの茶葉由来飲料および味噌汁(混合すると混濁・沈殿を生じ、含量が低下するため)、(2)煮沸していない水道水(塩素の影響により混合すると含量が低下するため)─の2つが挙げられている。加えて、「一部のミネラルウオーター(硬度の高いものなど)は、混合すると混濁を生じ、含量が低下することがあるので、濁りが生じた場合は服用しないよう指導する」と記されている。

 製造販売元である大塚製薬が11年12月に作成した配合変化一覧表によれば、実際、紅茶や烏龍茶などとエビリファイ内用液を混合すると、混合直後のアリピプラゾールの含量は著しく低下する(表)。一方、エビリファイ内用液と水道水を混合した場合、1:49の比率では混合直後のアリピプラゾール含量が92.3%まで低下するものの、1:19では97.2%、1:9では98.7%と、含量の低下はわずかである。すなわち、Eさんが服用しているエビリファイ内用液12mLの場合、コップ半分程度(約100mL)の水道水であれば、煮沸せずに希釈して服用しても差し支えないと考えられる。

表 エビリファイ内用液0.1%と飲料水を混合したときの、アリピプラゾールの含量と外観の変化(大塚製薬が2011年12月に作成した配合変化一覧表より抜粋)

配合比に基づいて、エビリファイ内用液0.1%(含量100.7%)と室温で混合した。

 ただし、水道水による希釈では、含量が低下しても沈殿を生じたり変色したりせず、外見上は無色透明のまま変化がないため注意が必要である。コップ2杯以上の大量の水で希釈して服用する場合は、配合変化が生じない煮沸した水道水(湯冷まし)を用いるよう、指導すべきである。

 なお、統合失調症治療に用いられる内用液剤には、同じく非定型抗精神病薬のリスパダール(リスペリドン)もある。リスパダール内用液1mg/mLの添付文書には、紅茶、烏龍茶、日本茶などの茶葉由来飲料およびコーラへの希釈を避けるよう記されているが、水道水については言及されていない。これは、同薬がエビリファイ内用液に比べ、水道水との混合による含量の低下率が小さいためであると考えられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 この薬は、先生からお聞きになった通り、お茶や紅茶と混ぜると薬の含量が減ってしまいます。水道水も塩素の影響で含量を変えてしまうことがあるので、先日の薬局では、「水道水で薄めないでください」と説明されたのでしょう。

 ただ、水道水については、少量であれば混ぜても含量はほとんど変わらないことが実験で確かめられているので、湯飲み1杯程度の量なら薄めるのに使っていただいても問題ありません。必ず服用する直前に薄めてくださいね。

 もしご心配だったり、たくさんの水で薄める場合は、湯冷ましを使ってください。硬度が低いミネラルウオーターでもかまいませんが、硬度が高いと薬を混ぜた時に濁ってしまいます。濁った場合はその薬は服用しないでください。

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