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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:ラミクタールによる副作用を心配する患者(A)
日経DI2012年5月号

2012/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年5月号 No.175

出題と解答 : 川原 弘明
(株式会社コム・メディカル[新潟県三条市])

A1

(1)2、(2)100、(3)200、(4)7

A2

(3)ジプレキサ(一般名オランザピン)
(4)エビリファイ(アリピプラゾール)

 Aさんが罹患している双極性障害は、以前は躁うつ病と呼ばれていた疾患であり、躁病相とうつ病相を繰り返す精神疾患である。躁状態がある場合(双極I型)と軽躁状態がある場合(双極II型)の2型に大きく分けられるが、ともにうつ病相を示す期間が圧倒的に長く、うつ病相の時に受診する傾向が多いことから、単なるうつ病と誤診されることが多い。

 また、躁状態でもうつ状態でもない寛解期においては、健常人と何ら変わりがない点も特徴であるが、双極性障害を無治療のままにしておくと重症化を招くこと、うつ病相では抗うつ薬に治療抵抗性であること、自殺率が高いことなどから、正しい診断と早期治療が非常に重要である。

 双極性障害の薬物治療は、躁状態に対する治療、うつ状態に対する治療、寛解期での再発抑制に分けられる。

 従来は炭酸リチウム(商品名リーマス他)、バルプロ酸ナトリウム(セレニカ、デパケン他)、カルバマゼピン(テグレトール他)の3剤に「躁うつ病の躁状態」の適応があったが、2011年7月、抗てんかん薬のラモトリギン(ラミクタール)に「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」の適応が追加された。また、非定型抗精神病薬のオランザピン(ジプレキサ)に10年10月、アリピプラゾール(エビリファイ)には12年1月に、それぞれ「双極性障害における躁症状の改善」の適応が追加された。さらにオランザピンは、12年2月に「双極性障害におけるうつ症状の改善」の適応も得ており、ここ数年で双極性障害治療の選択肢は拡大している。

 なお、Q2の選択肢に挙げたリスペリドン(リスパダール)とクエチアピンフマル酸塩(セロクエル)については、12年4月現在で双極性障害への適応はないものの、有効性を示すエビデンスは存在する。またクエチアピンは「双極性障害におけるうつ状態の改善」に対する国内開発が行われており、適応拡大が期待される。

 Aさんに処方されたラモトリギンは、副作用として皮膚障害があり、添付文書によれば双極性障害に使用した場合の発疹の発現頻度は7.0%である。そのため、処方医はAさんに注意を促したのだろう。

 しかし、こうした副作用は、承認用量より高い用量で頻度が高くなる傾向があり、承認用量内での発現頻度はそこまで高くないと考えられるので、患者に不安を抱かせないようフォローすることが重要である。

 ラモトリギンの用法・用量は、(1)バルプロ酸併用例(2)グルクロン酸抱合を誘導する薬剤併用例(3)その他─で異なる。これは、同薬の主な代謝経路がグルクロン酸抱合であり、グルクロン酸抱合を誘導する薬剤との併用で代謝が促進され血中濃度が上がりにくくなる一方、バルプロ酸のようにグルクロン酸抱合を阻害する薬物と併用すると代謝が阻害され血中濃度が上がりやすくなるためである。

 Aさんは既にバルプロ酸が投与されていることから、(1)に該当し、ラモトリギンの投与開始から2週間は1日25mgを隔日投与し、その後漸増して6週目以降は100mg(最大量は200mg)を維持量とする用法・用量で処方されると考えられる。服薬指導時には、用法・用量を患者が間違えないように、服用する日をカレンダーに書いておくようアドバイスしたい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 明日の朝から飲んでいただくラミクタールは、気分がより安定するように働くお薬です。確かに肌にぶつぶつや赤みが出やすいというデータがありますが、その多くは決められた量以上を飲んでいたことが原因だったといわれていますのでご安心ください。それでもぶつぶつが出たときのために、念のため、先生はすぐに薬をやめて受診するようにおっしゃったのだと思います。

 ラミクタールは、一緒に飲んでいる薬によって、飲み方が変わるお薬です。Aさんはデパケンをお飲みになっているので、最初の2週間は2日に1回、朝ご飯の後に飲んでください。飲む日を間違えないように、カレンダーにあらかじめ印をつけておくと分かりやすいと思います。今までのお薬も飲み忘れないようにしてくださいね。

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