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薬局なんでも相談室2
相談室2:退職金が払われなかった同僚
日経DI2012年5月号

2012/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年5月号 No.175

 退職金というと、会社に長く勤めれば支払われるものと思いがちですが、退職金の支払いは会社の義務ではありません。従って退職金の制度がないことは違法ではなく、実際に退職金制度がない企業も存在します。

 厚生労働省の「平成20年就労条件総合調査結果の概況」によると、退職金制度がない企業は全国で16.1%あります。また「医療・福祉」の分野に限ってみると、退職金制度のない事業所が37.7%に上り、他の業種と比較して多いことが分かります。

 医療従事者は短期間で転職する人が多く、仮に退職金制度がある場合でも退職金の支給条件(例えば勤続3年以上など)に該当する前に退職してしまうケースもよくあります。

 こうしたことから、雇用の流動性の高い業種では、退職金制度を作らず、月々の賃金に退職金相当分を上乗せして支払う企業もあります。また、パートの方など長期間の雇用を前提としない場合についても、同様としているのが一般的です。

 退職金の有無は労働条件の一つなので、基本的には労使間の合意により決定されます。また、退職金制度がある場合には、「事業主は雇い入れに際してその内容を明示しなければならない」とされています(労働基準法施行規則第5条1項4号の2)。

 退職金の有無が労働条件とされている以上、雇用契約書や就業規則などに退職金の支給が明記されていないのであれば、労働者から退職金を求めることはできません。

 従って、退職金制度があるかどうかは、入社の際に必ずチェックしておくことが重要です。一般的に、退職金がない企業では労使間のトラブルを避ける意味で、雇用契約書に「退職金は支給しない」といった一文を記載していることが多いようです。

 ただし、退職金制度がない場合でも、事業主が「慰労金」として退職者に金銭を支払っている薬局も見られます。このように、退職に伴う金銭の支払いが薬局の慣例になっているのであれば、事業主に対して前例に沿った金銭の支払義務が生じます。

 今後、少子高齢化が進み、公的年金制度も大幅に変更されることが予想されます。定年退職後の生活設計の面からも、勤務先の退職金について不明な点は確認しておきましょう。

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