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トクホの説明書
トウチエキス
日経DI2012年4月号

2012/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年4月号 No.174

 トウチ(豆鼓)は、中華料理の調味料として使われる豆鼓醤(トウチジャン)の原料で、塩ゆでした黒大豆を麹で発酵させたものである。その抽出物であるトウチエキスが、「血糖値が気になり始めた方に適する」トクホの関与成分として認められている。

(1)豆鼓エキスつぶタイプ(日本サプリメントTEL0120-922-922)6粒当たりトウチエキスが0.9g含まれる。1日6粒を摂取の目安に。180粒入り4620円。(2)TGバランスつぶタイプ(日本サプリメントTEL0120-922-922)条件付きトクホ。6粒当たりトウチエキスが0.9g含まれる。1日6粒を摂取の目安に。180粒入り4620円。

 トウチエキスは、炭水化物をブドウ糖に分解するαグルコシダーゼを阻害する作用を持つ。これは、糖尿病治療薬の一つであるαグルコシダーゼ阻害薬と同じメカニズムである。臨床試験でも、トウチエキスの摂取により、糖負荷後の血糖値の上昇が緩やかになった(J Nutr. 2001; 131: 1211-3.)。

 このトクホの開発過程で、血糖値だけでなく、中性脂肪(トリグリセリド)も下がることが分かった。図は、トウチエキスを含むサプリメントを摂取させた群の中性脂肪の変化をプラセボ群と比較した結果である。摂取開始後2カ月目以降、トクホ群で中性脂肪が有意(P<0.05)に低値となった。

図 トウチエキス含有サプリメントの摂取による血清トリグリセリド値の変化

境界型および軽度高トリグリセリド血症の被験者を、1日0.3gのトウチエキスを摂取するトクホ群(25人)とプラセボ群(21人)に分け、6カ月間摂取させた。摂取開始後2カ月目以降、プラセボ群に比べてトクホ群の血中トリグリセリドが有意に低値となった。†:P<0.05、§:P<0.01。(Nutrition Research. 2005;25:681-92.)

 しかし、中性脂肪に関してはトクホとして認められておらず、条件付きトクホの扱い。そのため表示は「中性脂肪が高めの方に適している可能性があります」と、奥歯にものがはさまったような言い回しになっている。2012年2月現在、条件付きトクホは、トウチエキスを関与成分とするこの1品目しかない。

 そもそも、トクホとして保健の用途を表示するためには、臨床試験を行い、対照群に比べて統計学的な有意差、つまり危険率5%未満(P<0.05)であることを示さなければならない。トクホを開発する側にしてみれば、多額の費用をかけて実施した臨床試験が、5%を境に明暗を分けるというのは妙な話だ。

 ただし、これには救済制度(?)が設けられており、5%未満が達成できなくても、5%以上10%未満であれば、条件付きトクホとして許可される。トウチエキスの場合は前述の通り、5%未満という条件は満たしたものの、中性脂肪を下げるメカニズムが不明確であるため条件付きとなった。だが、メカニズムをどこまで解明すればよいのかという基準は、実ははっきりしていない。

 これらを踏まえて、購入希望者にはこう説明するとよいだろう。「トウチエキスを数カ月間摂取すると、血糖値の上昇が緩やかになるだけでなく、中性脂肪も下がるというデータがあります」。

講師
太田 篤胤
Atsutane Ohta
東京農工大学卒。テルモ、明治製菓を経て、2004年から城西国際大学薬学部教授。「オリゴ糖のミネラル吸収促進作用」の研究で、トクホを商品化した経歴を持つ。趣味はフルマラソン。

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