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特集:漢方
処方箋の裏側Special2012:漢方
日経DI2012年4月号

2012/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年4月号 No.174

 「近所の内科診療所に通院していたが一向に良くならない」。こう訴えて鈴木徳次郎さん(仮名、80歳)が当院を受診した。手足がほてる、よく眠れない、トイレが近いなど、原因不明の様々な体調不良に悩んでいた。

 そこで、初老期の訴えに有効な牛車腎気丸を4週間処方した。ところが4週間後の再診に訪れた鈴木さんは、「良くならない」と不満気だ。次に、手足のほてりに効くとされる三物黄ごん湯に変更して4週間試してもらったが、やはり症状の改善は見られなかった。

 診察時に鈴木さんの話をじっくり聞くと、日常の出来事にくよくよしたり、様々な事柄に不満を感じていることが分かった。女性の更年期障害に見られる精神状態に近いと感じたため、更年期障害や月経不順を含め女性の不定愁訴に最も繁用される加味逍遥散を処方してみた。

 一般に更年期障害は、男女ともに40~50代に見られ、加味逍遥散は、女性の更年期障害にしばしば使用されている。80歳の鈴木さんはとっくに更年期を過ぎているが、“更年期障害もどき”の症状に悩んでいたのだ。

 4週間後、診察室に入ってきた鈴木さんの表情は明るく、「手足のほてりが軽くなって、夜もぐっすり眠れるようになった」と喜んでくれた。その後も加味逍遥散を続けてもらっている。

 私の本業は外科医だが、漢方はうまく使えば本当によく効くことが分かり、10年ほど前から、西洋医学を補完する医療としての漢方にはまっている。患者さんは、現代の西洋医学的治療では治らない、悩みや症状を治してもらいたいのだ。効く可能性があるのならば試してみようというスタンスで、患者さんと一緒に有効な漢方薬を探していきたいと考えている。(談)

帝京大学医学部外科准教授
新見 正則 氏
1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年帝京大学医学部第一外科講師、2002年より同大外科准教授。専門は末梢血管外科。
(写真:山下裕之)

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