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前立腺癌、無治療で大丈夫?
日経DI2012年4月号

2012/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年4月号 No.174

 最近、早期の前立腺癌に対し、手術をはじめとする治療を行わず、定期的な検査を行って経過を観察する方針を勧めるケースが増えています。こうした方針は、active surveillance(待機療法)と呼ばれています。

 前立腺癌は、70歳以上の男性の2~3割に発生する疾患ですが、多くは無症状で、非常に早期の場合、他の臓器に転移するまでに10~20年と進行が遅いのが特徴です。

 早期でも積極的な治療を行えば侵襲を伴いますし、経済的な負担もあります。そこで余命なども考慮して、経過観察しようというのが待機療法の考え方です。おそらくこの患者さんは、待機療法を選択されたのでしょう。

 もともと待機療法は欧州を中心に普及していた考え方で、早期から積極的な治療を行うスタンスだった米国とは、相反するものでした。しかし、エビデンスが蓄積され、2011年に発表された米国総合癌センターネットワークによる『前立腺癌の治療ガイドライン』では、病期、前立腺特異抗原(PSA)検査の結果、腫瘍の悪性度(グリソンスコア)、針生検の結果、余命を基に低リスクと判断されれば、待機療法が推奨されることになりました。こうした流れもあって、日本でも待機療法が選択されるようになっているのです。

 私自身は20年ほど前から、早期癌に待機療法の選択肢も提示しています。定期的な精査を行い、急激に進行するケースもフォローできています。

 最近ではPSA検診を行う自治体が増え、より早期で前立腺癌が発見されるケースが増えていますので、待機療法を選ぶ患者さんは増えてくると考えられます。薬剤師の方々には、患者さんが納得して治療を選択できるよう、サポートしていただければと思います。

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