DI Onlineのロゴ画像

処方箋の裏側
糖尿病患者の痛みや不眠を抗てんかん薬で改善
日経DI2012年4月号

2012/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年4月号 No.174

 金子真由美さん(当時57歳、仮名)が、口渇、 全身倦怠感、両下肢のピリピリした痛みで近医を受診したのは2年ほど前のことだ。HbA1c が12.2%(JDS値)で糖尿病と診断され、当院を紹介受診した。

 金子さんは、肥満傾向はなくインスリン分泌が低下していたので、まずグリメピリド(商品名アマリール他)を1mg/日処方。その後ビルダグリプチン(エクア)100mg/日を追加したところ、HbA1cは月に1.0%くらいのペースで改善していった。

 そんなとき、金子さんが「脚がピリピリ痛くなり夜眠れない」と訴えた。両下肢の痛みは、初診時からあったものだが、より強くなったという。金子さんのように、高血糖から治療を開始し、血糖コントロールが改善すると、かえって糖尿病神経障害が強く出ることがある。そこで抗てんかん薬のカルバマゼピン(テグレトール他)を追加することとし、ふらつきやめまいの副作用を考慮して、少量を眠前に投与した(右の処方箋)。すると2週間後、「痛みが和らいで眠れるようになった」とのこと。金子さんの痛みにはカルバマゼピンが効くようなので、徐々に増量して200mg/日を維持量にした。糖尿病神経障害の痛みは永続することもあるが、金子さんの場合は一時的で、半年後にはカルバマゼピンを減量・中止できた。

 糖尿病神経障害による痛みには、以前からカルバマゼピンや抗うつ薬のイミプラミン塩酸塩(トフラニール他)が有効であることが知られてきた。今でこそ、この適応を持つ薬は、メキシレチン塩酸塩(メキシチール他)のほかに、プレガバリン(リリカ)やデュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)が加わっているが、使い慣れているカルバマゼピンなどを適応外で使うこともある。薬剤師には、こうした適応外処方も知っていてほしい。(談)

福田 正博氏
Fukuda Masahiro
1982年滋賀医科大学卒、大阪大学医学部老年医学講座(第4内科)入局。1988年米国ハーバード大学ジョスリン糖尿病センターに留学。阪大第4内科に帰局後、豊中渡辺病院(大阪府豊中市)内科部長を経て、1996年にふくだ内科クリニックを開設した。クリニックでは糖尿病療養指導士とともに、糖尿病の薬物療法のみならず運動療法や食事療法にも力を入れている。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ