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DIクイズ2(A)
オーグメンチンはピルケースで保管してもいい?(A)
日経DI2012年4月号

2012/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2012年4月号 No.174

出題と解答 : 後藤 洋仁
(横浜市立大学附属病院薬剤部)

A1

(2)アルミ包装の開封後は、PTPシートの状態でも28日以内の使用が望ましい。
(3)吸湿により、クラブラン酸カリウムの力価が低下する。

A2

(1)食直後の服用とする。
(3)耐性乳酸菌を追加する。

 クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物(商品名オーグメンチン配合錠)は、動物の口腔内細菌に対する感受性が高く、イヌやネコなどにかまれた際によく用いられる。「250RS」と「125SS」の2種類があり、RSはレギュラーサイズ、SSはスモールサイズの略称である。

 同配合錠には、クラブラン酸カリウムとアモキシシリン水和物が配合されている。抗菌活性を持つのはβラクタム系化合物のアモキシシリンである。

 βラクタム系化合物は、耐性を獲得した菌が産生するβラクタマーゼにより加水分解され、失活してしまうため、正しく服用しても期待した効果が得られないことがある。このような耐性菌に対応するために配合されているのが、クラブラン酸カリウムである。クラブラン酸は、耐性菌が産生するβラクタマーゼに不可逆的に結合する。その結果、βラクタマーゼは活性を失い、アモキシシリンが殺菌活性を持ち続けることができる。

 オーグメンチンのPTPシートには、「吸湿注意」との記載がある。これは、クラブラン酸カリウムの吸湿性が極めて高く、吸湿により力価が低下するためである。同薬のインタビューフォームの「取扱い上の注意等」に関する項目には、貯法・保存条件として「アルミ袋開封後、1カ月以内に使用すること」との記載がある。従って、今回のような4日分の処方の場合、湿気を避けられる条件下であれば、アルミ袋から出して持ち歩いても差し支えない。

 ただし、PTPシートから取り出した裸錠で保管すると、吸湿がより進み、1週間程度で錠剤が膨張してしまうといった報告がある。Gさんは、PTPシートから薬を出してピルケースに入れたいと希望しているが、品質上の問題から、持ち歩く際もPTPシートから取り出さないよう伝えるべきである。

 さて、抗菌薬の服用に際しては、下痢や嘔吐といった消化器症状が起こりやすい。この消化器症状の予防のために勧められることの一つが、食直後や食中の服用である。

 健常人を対象に、オーグメンチンを食事とともに投与した群と、空腹時に投与した群で下痢の発現率を比較したところ、食事とともに投与した群では、空腹時投与群に比較して有意に下痢と悪心・嘔吐の発生率が低かったという報告がある。

 また、耐性乳酸菌を追加すると、消化器症状の頻度を低下させることができる。 なお、オーグメンチンを投薬する際には、抗菌薬へのアレルギー歴を確認する必要がある。同剤は、他のペニシリン系抗菌薬と同様に皮疹などの皮膚症状が見られることがあるため、服薬指導時には過去にこうした症状がなかったかどうかも尋ねる。

 併用薬の確認も必要で、オーグメンチンは、プロベネシド(ベネシッド)やワルファリンカリウム(ワーファリン他)、経口避妊薬との相互作用がある。

 プロベネシドとの併用では、アモキシシリンの代謝が遅れ、血中濃度が長時間維持される。また、ワルファリンは、アモキシシリンによる腸内細菌への影響からビタミンKの産生量が低下し、ワルファリンの作用が増強される恐れがあることに留意しておきたい。

参考文献
1)薬局 2003;54:1435-9.
2)J Antimicrob Chemother. 1982;10:131-9.

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 オーグメンチンは大変湿気やすいお薬なので、アルミの袋から出した後も、湿気を避けて保管することが必要です。ただ、4日間くらいでしたら、Gさんのおっしゃるようにシートで持ち歩いても構いません。しかし、シートから錠剤を取り出してピルケースに入れておくと、湿気ですぐお薬が変質してしまいますので、錠剤は飲む直前までシートから取り出さないようにしてください。

 ところで、Gさんは、これまで抗生物質をお飲みになって、皮膚に発疹やかゆみなどが出たことはありますか。抗生物質では、こうしたアレルギー症状のほか、下痢、吐き気といった胃腸の症状が出ることがあります。胃腸の症状は、食事の直後に飲むと予防できますので、オーグメンチンは食事のすぐ後に飲むことをお勧めします。お薬を飲んで、何か気になる症状が出るようでしたら、いつでも先生か私どもにご相談ください。

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