ご相談のケースでは、突然、医師から「余計な説明をしないでほしい」と言われてしまったということですが、その医師との関係を良好にするための方法を考えてみましょう。
まずは、電話やメールでなく、その医師に直接会いに行ってみることをお勧めします。その際、服薬指導の有用性を一から説明したり、「服薬指導をやらせていただきたい」と懇願するのではなく、「今度、当薬局で勉強会を行いたいと思っています。その講師をぜひやっていただけないでしょうか」と熱くお願いしてみましょう。
その皮膚科診療所のある地域の薬剤師が大勢集まるような勉強会であれば、ベストです。院外処方にしている医師であれば、「自分の処方意図を薬局に知ってほしい」「自分の診療スタンスを理解してほしい」という気持ちが少なからずあるはずですし、薬剤師から熱い思いを伝えられて、悪い気はしないと思います。
勉強会には質疑応答がつきものですから、開催することができたら、その医師に、実は使い方がよく分からないと訴える患者さんが少なくないことを率直にお伝えしつつ、「薬剤師はそんなときどうすればよいのか」といったことを質問するなど、ワンクッション置いた対応をしてみてはいかがでしょうか。ドクターも患者さんのことを第一に考えているはずですから、何かよい落としどころが見えるのではないかと思います。
ここで薬剤師がひるんではいけません。今回の質問者の方には、「今のままではいけない。患者さんに正しい薬の使い方を知ってほしい」というお気持ちがあるはずですよね。どうか原点に戻って、頑張ってください。
今回のご相談を伺って、ある患者団体の方が、薬剤師向けの講演会で話されていたことを思い出しました。「薬剤師さんは、患者と話していても、常にその後ろにいるドクターの顔色を気にしていることが、ひしひしと伝わってきます。患者である私のことを見てくれないんです」。
読者のみなさんはどうでしょうか。患者さんとコミュニケーションを取る時、処方医を意識したものになってしまい、つい「それは私どもでは判断できませんので先生に聞いてください」と説明してはいないでしょうか。
患者さんはきっと、そんな薬剤師の心を見透かしていると思います。ですから、初心に返って自分にこう投げかけてください。「薬剤師は誰のためにいるのだろうか」と。答えはもちろん、患者さんのためであって、医師のためではありません。
「全ては患者さんのために…」。本当にこの言葉が原点のように思います。まずは、電話ではなく、一度そのドクターとじっくり話す時間をとってみることをお勧めします。
患者の味方であることを自覚して
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